オーストラリア - エアーズロックについて

エアーズロック＝ウルルはオーストラリアの中央部のノーザンテリトリー州でウルル-カタ・ジュダ国立公園の中に位置する、ユネスコの世界遺産にも登録されている世界で2番目に大きい単一の岩石です。エアーズロックという名称は、イギリス人の探検家によって発見された当時の南オーストラリア植民地の首相にちなんで名づけられたものですが、イギリスなどヨーロッパの植民地となる以前から住んでいる先住民族のアボリジニによる呼び名は「ウルル」とされています。そして1980年代からは正式名称として、この「ウルル」が採用されました。
エアーズロック＝ウルルの周辺は砂漠気候であるため、1年を通して雨が少なく乾燥しており、時折強い風が吹くこともあります。エアーズロック＝ウルルに訪れるのに比較的適している時期は、3から5月と9月から11月の秋と春の時期です。この時期は日中の気温が20度から25度ほどで気温が落ち着いています。逆に厳しい時期は、南半球の夏にあたる12月から2月と冬にあたる6月から8月です。特に夏の時期は雨が降ることがほとんどなく、日中の最高気温が40度を超える日もありますし、紫外線も強くなります。冬になると、日中は20度を超す日もありますが、昼と夜の寒暖の差は激しく、朝晩の気温は10度を下回ることもあり冷え込みを感じます。また、気温が高くても風が強い日が多いため、体感気温が低くなるのも特徴です。
エアーズロック＝ウルルでランドマークとなるのは、なんといってもこの世界最大級の一枚岩でしょう。その大きさは標高が800mを超え、周囲は9km以上となり、地表から垂直にそそり立つ岩山です。そしてこちらの岩を形作っている砂岩の成分には鉄分が多く含まれていて、外観は鉄が酸化して赤色に見えます。この赤色は太陽の日の当たり方で様々な色に変化して、特に朝焼けや夕日の時間帯には赤色がより鮮明になります。また、エアーズロック＝ウルルの周辺には高い山などがなく、巨大な赤い岩が孤高の姿で自立していますから、日が落ちて夜になると満天の星空を見ることも可能です。以前は登山なども認められてきたエアーズロック＝ウルルですが、先住民族のアボリジニがこの場所を聖地としていることを尊重し、2019年10月をもって観光客向けの登山が禁止となりました。しかし、その後も眺める景色の荘厳さは変わることがありません。
エアーズロック＝ウルルは観光地として世界的に有名ですが、エアーズロック＝ウルルの周辺地域にも多くの見どころがあります。まずエアーズロック＝ウルルの周囲をウォーキングするベースウォークの途中に点在する様々な洞窟です。その中にはアボリジニが子どもたちに教えを残すために書かれた貴重な壁画を見られる場所や、波が覆いかぶさるような形をしているもの、女性たちが料理をしていたものなど、多くの見どころがあります。さらに、エアーズロック＝ウルルから30kmほどのところにあるカタジュタにある巨大岩も特徴的で人気の観光スポットです。カタジュタはアボリジニの言葉で「たくさんの頭」という意味がありますが、その名前の通り、人や動物の頭に見える36もの岩があり、それらがすべて地下でつながっています。エアーズロック＝ウルルと同じ国立公園内にあるので、現地ツアーやレンタカーを使って行くことができます。さらに、エアーズロック＝ウルルからは95kmほど離れたマウントコナーは、エアーズロック＝ウルルと似た大きな岩です。こちらはエアーズロック＝ウルルとは少し違い、岩の上部がテーブルのように平らに見えるきれいな左右対称の岩で、非常に美しく見えます。山頂までは切り立った垂直な形となっているので、登るとしても難易度が高いので、あくまで遠くから眺める方がよいでしょう。加えて、エアーズロック＝ウルルから300km程離れますが、ワラルカ国立公園の中にあるキングスキャニオンは、地層化された岩が連なる独特の景観の峡谷で、高さ270mほどの絶壁から眺める景色が人気です。キングスキャニオンには「風の谷」と言われる散策コースも用意されているので、時間を取って自然美を間近に楽しむことができます。いずれの周辺観光地もエアーズロック＝ウルルからツアーやレンタカーが出ており、英語以外のガイドが同行するツアーもあって、内容も充実しているためエアーズロック＝ウルルだけでなく、周辺地域も訪れることが多くなっています。