名称:フェズ旧市街(Medina of Fez)
住所:Central Fez, Fes 30000, Morocco
北アフリカ北西端に位置するモロッコ王国は、アフリカ・ヨーロッパ・アラブをつなぐ交易の十字路として古くから栄えてきた国。その歴史から、あらゆる文化が混じり合い独特のエキゾチックな美しい景観を作り出しています。
今回はそんなモロッコの世界遺産、全9か所をご紹介します。
目次
モロッコの世界遺産|魅惑的な全9か所をご紹介!
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1.フェズ旧市街
1981年にモロッコ国内で初めて世界遺産に登録されたのがフェズ旧市街です。かつての多くのイスラム王朝の首都であり、サハラ交易の重要な地として商人や巡礼者のための商店などが作られました。首都でなくなった現在でもモロッコの人々にとってフェズは特別な場所です。
城壁に囲まれた2.2kmx1.2kmの範囲には、細く曲がりくねった細い道が迷路のように張り巡らされています。その数は1000以上といわれ、世界屈指の迷宮都市と呼ばれるのにも納得です。階段や急坂も多く見通しがきかないので、迷子になったら地図を見てもさっぱりわかりません。
道が狭いので、物資運搬は、今もロバやラバまたは人力によって行われています。また近代的な建物も周りには無く、中世時代のイスラム都市そのものの雰囲気。モスクやハンマーム(公衆浴場)や様々な商店が並ぶ様子に、タイムスリップしてしまったかのうような気分になるでしょう。
モロッコに来た際はあなたもフェズ旧市街で迷子になってみませんか?
2.マラケシュ旧市街
モロッコのほぼ中央に位置し、モロッコで4番目に大きな町マラケシュは、1985年にユネスコ世界文化遺産に登録されました。マラケシュはベルベル語で「神の国」という意味を持ち、別名「赤い街」とも呼ばれ、オレンジの壁の城壁や建物がとても印象的です。
このマラケシュの中でももっとも有名なのがジャマエルフナ広場で、400メートル四方の広場は、文化交易の中心として重要な役割を果たしてきました。
昼間は大道芸人がいたり子供が走り回ったりしているような広場ですが、夕方ごろになるとどこからともなく人が集まり、テントが立ち並びマーケットができあがります。夜が深まるにつれ賑やかになる市場は活気に満ち溢れ、その喧騒はまるで大きなお祭りに来ているようです。
雑貨や絨毯などエキゾチックなモロッコ雑貨はもちろん、美味しそうなにおいも漂い、日本では決して味わえない異世界のムードたっぷりです。このマラケシュの街が醸し出す雰囲気をぜひ味わってみてください。
名称:マラケシュ旧市街(Medina of Marrakesh)
住所:Marrakesh, Morroco
公式・関連サイトURL:http://www.morocco-emba.jp/aboutmorocco/city_marrakesh.html#img/marrakesh/marrakesh1.jpg
3.アイット=ベン=ハドゥの集落
アイット=ベン=ハドゥの集落は、モロッコの中部の都市ワルザザートの近郊アトラス山脈の中にあり、カズバと呼ばれる干し煉瓦で作られた城砦建築です。この地域周辺には、数多くのカスバが建てられていました。その中でも最も有力であったハドゥ族が、約500年ほど前に建てたのがこのアイット=ベン=ハドゥの集落です。
孤立した集落を盗賊から守るために城砦構造になっており、集落に入る入口は一つだけです。通路は入り組んでいてまるで迷路。外壁には銃眼が設置されています。最上部には、籠城のための食糧庫がありました。
荒涼とした山岳地域にある集落を望む景色はとてもダイナミックで美しく、まるで映画の中に入り込んだような錯覚に陥ります。実際に「グラデュエーター」や「ハムナプトラ」など多くの映画のロケ地にも使われています。アイット=ベン=ハドゥを後ずれる際は、ここで撮影された映画を事前に見ておくと、より一層モロッコ旅行が楽しくなりそうです。
名称:アイット=ベン=ハドゥの集落(Ksar of Ait-Ben-Haddou)
住所:Ait Ben Haddou, Morocco
4.古都メクネス
モロッコの首都ラバドから東に130km、フェズの西60kmに位置する古都メクネスは、11世紀にアル・ムラービト朝の軍事施設として建設され、その後1675年から1728年までアラウィー朝のムーレイ・イスマイルによって、王都に定められ壮大な都がつくられました。残念ながらムーレイ・イスマイルは都の完成を見ずに亡くなってしまうのですが、イスラムとヨーロッパの様式が融合調和したメクネスは今も17世紀の面影を現代に伝えています。
見どころはムーレイ・イスマイル廟と都市の入口にあるマンスール門。どちらもイスラム建築の最高傑作といわれ、施されたモザイクや漆喰彫刻は息を呑むような美しさです。マンスール門はモロッコ一美しい門とも言われています。
フェズから鉄道で日帰りで訪れることも可能なのでイスラム建築の最高傑作を見に行ってみてはいかがでしょうか?
名称:古都メクネス(Historic City of Meknes)
住所:Meknes, Morocco
5.ヴォルビリスの古代遺跡
モロッコの古代ローマ遺跡「ヴォルビリス古代遺跡」は、北アフリカにあるローマ遺跡の中で最も保存状態が良いと言われています。
ローマ帝国の勢力が現在のモロッコ周辺まで広がっていた頃、ヴォルビリスは勢力範囲のいちばん西に位置し重要な都市の一つでした。この地に町がつくられたのは紀元前3世紀ごろ。その後西暦40年以降はローマ帝国の属州となり、油などの交易で商業都市として繁栄していきました。
遺跡内にはカラカラ帝の凱旋門、公衆浴場、ユピテルネ神殿など多くの建物の外壁や柱、美しいモザイク画などが状態よく残されており、当時いかにヴォルビリスが栄えていたかを伺うことができます。またヴォルビリスはベルベル語で植物のキョウチクトウを意味し、昔はこのあたりにも花がたくさん咲いていたそうです。
ローマ帝国時代のモロッコを想像しながら古代ロマンを感じてみましょう!
名称:ヴォルビリスの古代遺跡(Archaeological Site of Volubilis)
住所:Route de Volubilis
6.テトゥアン旧市街(旧名ティタウィン)
テトゥアンはモロッコの北部、モロッコとスペインの間のジブラルタル海峡から40kmほどのところに位置し、リーフ山地の斜面に広がる街です。別名「白い街」と呼ばれ、街の中の建物は多くが白く塗られ、白い街が山の斜面に広がる景色は、テトゥアンの代名詞となっています。
特に旧市街は低層の白い住宅が集まって独特の景観が作られており、この部分が1997年に世界遺産に登録されました。街の中はほかのモロッコの旧市街と同様に細い道が複雑に入り組み迷路のようです。白い街はところどころカラフルに塗られており、実際に歩いてみると色とりどりに塗られた壁や建物は見ているだけで楽しい気分にさせてくれます。
名称:テトゥアン旧市街(Medina of Tétouan/formerly known as Titawin)
住所:Tetouan, Morocco
7.エッサウィラの旧市街
エッサウィラはモロッコのほぼ中央、マラケシュの西の大西洋沿いの街で、17世紀にフランス人建築家よって設計されたヨーロッパ建築様式の要塞都市。城壁に囲まれた旧市街は、西洋式の建物や、北アフリカのアラブ様式で建てられたモスク、カスパと呼ばれる西アフリカの城砦建築で建てられた住居など、あらゆる文化が混在しエキゾチックな雰囲気です。
エッサウィラは一年を通して気候も良く、青い海と空、白い建物のコントラストが美しくモロッコ人がハネムーンに選ぶ都市としても知られています。また観光地化されすぎていないので、フェズやマラケシュなどモロッコを代表する他の都市に比べると過ごしやすい印象を受けます。
名称:エッサウィラの旧市街(Medina of Essaouira/formerly Mogador)
住所:Essaouira, Morocco
8.マサガン(アル・ジャディーダ)のポルトガル都市
アル・ジャディーダはモロッコ西部にある港湾都市です。16世紀初頭からポルトガルに占拠され、ポルトガル領マサガンとして発展。ポルトガル人によって造られた旧市街のヨーロッパとモロッコの文化が混ざり合った風景が評価され、2004年に世界文化遺産に登録されました。
街全体が重厚な壁に囲まれた城塞都市で、当時はインド貿易の重要な中継地とされていました。約200年に渡ってマサガンはポルトガルに支配されましたが、1796年にモロッコ人によってポルトガルは追い出され、1832年に街の名前もマサガンからアル・ジャディーダに改名されました。
その後19世紀後半にはユダヤ人が流入、20世紀初頭にはフランスの保護下に入ります。こうした歴史の中で様々な文化が混ざり合い現在のアル・ジャディーラのエキゾチックな景観が生まれました。現在は避暑地としても人気の観光地となっています。
名称:マサガン(アル・ジャディーダ)のポルトガル都市(Portuguese City of Mazagan/El Jadida)
住所:El Jadida, Morocco
9.ラバト:近代都市と歴史的都市が共存する首都
ラバトはモロッコ中西部にある都市で首都に定められています。モロッコ王国の首都でありながら、大都市カサブランカに比べると小さ目で落ち着いた印象を受ける街です。
ラバトは中心部が城壁に囲まれた城塞都市で、旧市街・新市街の両方が世界遺産に登録されている珍しい例でもあります。北側の旧市街は12世紀のムワッヒド朝の時代に造られた街でアラビアンな雰囲気が漂い、多くの商店が並ぶ庶民の活気あふれる街です。
一方で新市街は20世紀前半のフランス統治の時代にフランス人によって造られ、近代ヨーロッパ風の街並みを見ることができます。
街角にはおしゃれなカフェやレストランが並び、ふとモロッコにいることを忘れてしまいそうです。モロッコ旅行の際はこのイスラム文化とヨーロッパの街並みが見事に融合したラバトの街をぜひ訪れてみてください。
名称:ラバト:近代都市と歴史的都市が共存する首都(Rabat, Modern Capital and Historic City: a Shared Heritage)
住所:Rabat, Morocco
◎モロッコ王国の世界遺産まとめ
今回はモロッコ王国の世界遺産全9か所をご紹介しました。モロッコの長い複雑な歴史の中で築かれてきたエキゾチックな街はどれも印象的で、魅力が溢れています。迷路のような街や、イスラム文化とヨーロッパ文化が融合した街、さらにはローマ時代の遺跡まで、飽きることなく楽しませてくれそうです。
まるで映画の中にいるような異世界の雰囲気を味わうことができるモロッコを次の旅先にしてみませんか?私たち日本人を魅了してくれること間違いなしです!