トルコ - アドゥヤマンについて

アドゥヤマンはトルコ共和国の南東アナトリア地方にある都市です。トルコの中でも人口増加が目立つ都市で、観光や農業、石油を主力として成長してきました。工芸では、絨毯、サヴァン布織、イーネ・オヤスで有名です。トルコ各地から陸路でアクセス可能で、1988年にはアドゥヤマン空港が開港し、定期便が発着しています。また、鉄道ではギョルバシュ郡に乗り入れできます。

紀元前 4,000 年に遡る歴史があるアドゥヤマンは、アラビア半島北部の砂漠を沿うように流れるユーフラテス川とチグリス川に挟まれた古都です。肥沃な土地に恵まれ、何千年もの間、商業と文化の中心であり続けました。街にある洞窟には4万年前に人類が生きていた形跡があり、ユーフラテス川の上流でも最古の歴史が刻まれる場所としても有名です。紀元前69年、コンマゲネ王国の支配下となったこの都市は、その後、ビザンチン帝国、ウマイヤ朝、アッバース朝の支配を経てビザンチン帝国によって再支配されました。その後は、アラブ人、テュルク人、モンゴル人からも攻撃を受けました。1298年約200年間はマムルーク朝が支配し、1516年オスマン帝国のセリム1世が君臨します。初代オスマン1世に始まったオスマン帝国は、36代メフメト6世が廃位される1922年までこの地を支配し、今日に至るトルコ人（オスマン人）を形成しました。現在では、多くの歴史の傷跡が残る遺跡の宝庫として、トルコの観光拠点のひとつとなりました。歴史、文化、自然、どれをとっても申し分ないこの都市は、独特の雰囲気を味わえます。

アドゥヤマンの夏は非常に暑く、空気が乾燥した日が続きます。最高気温が40℃を超えることも珍しくありません。一方で、冬の寒さは厳しく、降水量が一番多い時期になります。内陸部で高緯度に位置するため、霜と雪の日が多いでしょう。

・ネムルト山
アドゥヤマンのシンボルと言えばネムルト山です。世界遺産にも登録されていて、標高約2100mの山頂にある遺跡群は圧巻です。紀元前69年、この都市を支配していたコンマゲネ王国の王の墓がそこには眠っています。周りにはギリシャ神話の神々が立ち並んでいるのですが、どれも首から上がなく頭部が像の足元に散在し、同じ方角を見つめているという神秘的な遺跡です。東側の神殿から西側の神殿まで、ぐるりと一周、散策を楽しめます。観光客がよく訪れるのは6月～8月で、ヘリコプターによる観光もできます。

・カラクシュ
こちらもコンマゲネ王国の墓でコンマゲネ王朝ミトリダテス2世の母や姉などが埋葬されています。巨大な石積み円柱が墓を取り囲むように立ち並び、自然の中でここだけ時が止まっているような、静けさの中に異空間を感じるスポットです。カラクシュは標高が少し高い場所にあるため周辺の町がきれいに見渡せ、ネムルト山まで眺められる絶好のフォトスポットとなっています。

・ジェンデレ橋
大きな石積みのアーチが特徴的なジェンデレ橋は、古代ローマの貴重な遺跡のひとつです。ユーフラテス川の支流で、西暦200年頃、皇帝セプティミウスを称えるために建造されました。観光客だけでなく、地元のこどもたちに大人気なスポットで、橋の先につながる美しい渓谷には、きれいな水が流れ、夏場はここがアドゥヤマンの憩いの場になります。

・アルサメイア
アルサメイアは、エスキ・カレ（古い城）とも呼ばれている、山の上の王宮跡です。紀元前2世紀に建造されたもので、遺跡だけでなく、王宮跡への山道がポイントで、目の前に広がる眺望には目を見張るものがあります。宮殿の原型はありませんが、周辺の石碑や彫像を近くで見る貴重な経験ができます。ほかにも、全長158mの洞窟やヘラクレスのレリーフなど、見どころ満載です。

・アドゥヤマン博物館
アドゥヤマン博物館は街の中心部にあり、手軽な観光スポットのひとつです。ユーフラテス川で発掘された約22000点の出土品や多くの民俗学的作品も展示されています。また、ネムルト山の山頂の模型があり、巨大な首の像が縮小されて並んだ模型は実物とは違う味わいがあります。


アドゥヤマンで宿泊する際は、空港の周辺ではなく市街地に出る必要があります。空港からは22km離れており、午前 11 時～午後 4 時までシャトルバスが運行されており、所要時間はおよそ 25 分です。時間がないときは、乗り合いバスやタクシー、レンタカーで移動することもできます。市街地の中でも、アドゥヤマン博物館周辺が便利で、公的機関や公園も近く、レストランも充実しています。