中国 - 張家界市について

張家界市（ちょうかかいし）は中国、湖南省の北西部にあります。この街で何といっても有名なのは「武陵源」でしょう。街には武陵山脈があるため、険しい峰が連なり、幻想的な風景ができあがっています。これが武陵源自然風景区で、ユネスコの世界遺産になっています。
武陵源の険しい峰々は、カルスト地形といいます。これは土地が石灰岩などでできていると、水に溶けやすいため、雨や地下水に侵食されて、思いもよらない珍しい地形になることをいいます。武陵源はまさに自然によって作られた彫刻といえます。幻想的な風景が高く評価されて、映画のモデルに使われたこともありました。
岩だらけで荒涼とした風景に見えても、麓には渓流が流れていて、森林もあり、様々な生態系を育んでいます。
・武陵源自然風景区
張家界国家森林公園など、いくつかの風景区の総称が武陵源自然風景区です。
・張家界国家森林公園
中国で初めての森林公園に認定されました。2002年にエレベーターが設置されたために、2分足らずの時間で、326mの高さを登れるようになりました。エレベーターはガラス製なので、乗りながら雄大な景色を楽しめます。
また、2016年には長さ380mのガラスの橋が張家界大峡谷にオープンしました。東洋のグランドキャニオンの異名を持っているほどの高さがあるため、ガラスの橋にはかなりスリルがありますが、観光客には大人気だということです。
・袁家界（えんかかい）
武陵源の西北にあり、もっとも武陵源らしい風景が見られる場所です。運がよければたくさんの石柱の間に雲海が見られるでしょう。中でも「南天一柱」は高さ、形の両方が目を引く、有名な奇岩です。
・楊家界風景区（ようかかい）
新しく開発された風景区で、まだすべてが公開されていません。観光客もそれほど多くなく、原始的な自然の風景がそのまま残されています。断崖絶壁が連なる風景を、自然の万里の長城と呼ぶ人もいるようです。
・策渓峪風景区（さくせいよく）
この風景区の名前には、土地にかつて暮らしていた少数民族の言葉で、雲と霧に包まれ、山と谷がそばにある村、という意味があるそうです。名前の通り、もやに包まれていることが多い場所です。宝峰湖や黄龍洞といった観光スポットがあることでも知られています。
仙女が住むといわれている宝峰湖は、周りには木々が茂り、湖面は紺碧で、武陵源でもっとも美しいといわれています。
黄龍洞は石灰岩層でできた鍾乳洞で、カルスト洞窟ともいわれます。中国では最大の洞窟で、中はライトアップされていてとても神秘的です。
・天子山風景区
天子山の山頂まで、全長2100m、標高差700mのロープウェイで行かれます。山頂から見る景色が雄大なのはもちろん、ロープウェイからの景色もおすすめです。山頂までの時間はわずか10分ほどですが、充分に楽しめるはずです。日の出や霧、雪景色など、天候によって違う美しさが見られ、何度行っても飽きることがありません。カメラマンにも人気の風景区です。
・ホテルに泊まるなら
市内でホテルを探すなら、武陵源地区がおすすめです。たくさんのホテルがあるため、予算に合わせて選べます。ドミトリータイプのホステル（シャワーやトイレなどが共用の相部屋タイプの宿泊施設）なら低価格で泊まれますし、設備の充実した高級ホテルもあります。
物価が安い上に、治安がよく、料理もおいしい張家界市は、旅行に行くのに最適です。
・おいしいものが食べたい
旅の楽しみは、グルメという人も多いでしょう。この街では、中国八大料理の1つといわれている湖南料理が食べられます。辛い味付けに酸味が加わった、濃いめの味付けが湖南料理の特徴です。青とうがらしと細切れの豚肉を炒めた「辣椒炒肉（ラージャオチャオロウ）」は、この街のおふくろの味です。シンプルなしょうゆ味が日本人にもピッタリですから、ぜひ味わってくださいね。
・張家界市の気候
中国南部にあるので、亜熱帯モンスーン気候により、湿度が高い地域です。真夏はかなり暑くなるため、観光によいのは4月と10月だといわれています。
ただし、武陵源の気温は市内のほかの地域に比べると差があります。夏などは市内が39℃あっても、武陵源では30℃くらいしかないことがあるそうです。春と秋でも市内よりも気温が低いため、長袖の服を用意するなどの注意が必要です。5月には雨がよく降るので、雨具の準備も忘れないでください。
大自然を満喫できる張家界市への旅行は、ホテルだけでなく季節に注意をして出かけてくださいね。