中国 - 銀川について

銀川は中国寧夏回族自治区の首府に定められている都市です。3つの区、1つの県級市、2つの県を管轄しています。標高1000mの高さに位置する高原都市で、冬場は寒いですが夏場は比較的涼しく過ごしやすい雨の少ない土地です。歴史的に貴重な遺跡が多く存在しています。

11～13世紀頃に栄えた西夏に占領され、その首都であった歴史があります。西夏は後にモンゴル帝国によって滅ぼされ、その後その地に寧夏府が置かれました。古くは農業が盛んな地域でしたが、近代に至ると蘭州と内モンゴル自治区包頭をつなぐ包蘭鉄道が開設され、銀川駅が置かれたことにより人の行き来が活発になり発展しました。

中国最大のムスリム系少数民族である回族が多く住まう地域であるため、建造物や文化等にもその特徴が随所に見られます。中国的特徴とイスラム的特徴が混じり合う不思議な街並みは中国でも独特の雰囲気を醸し出しています。ランドマークはピラミッドのような形状が特徴的な遺跡群西夏王陵や、小天安門とも呼ばれる毛沢東の肖像が飾られた鐘鼓楼です。その他の名所についてもご紹介します。

・西夏王陵
中国のピラミッドとも呼ばれる遺跡を見ることができる、銀川でも随一の人気を誇る観光スポットの一つです。土を固めて作られた小さな山のようなものが、荒野にたくさん並んでいる光景は印象的です。これらはすべてが墓で11～13世紀に栄えていた西夏の王族や官僚が埋葬されています。敷地は広大で文物等の貴重な資料を保存した博物館もあるため、全てを見ようと考えたら非常に時間がかかります。現地では専用車もあるためこれに乗って移動するのがおすすめです。場所は賀蘭山の東のふもとに位置しており、ここにアクセスするにはタクシー等をチャーターするのが良いでしょう。

・賀蘭山岩画景区
中国の国家自然文化遺産にも選ばれ、世界遺産の予備名簿にも名を連ねている場所です。この山自体は岩肌がむき出しになっている部分が多く、緑は少ししかない、荒涼とした土地ですが、賀蘭山には貴重な壁画がたくさん残されています。賀蘭山壁画の特徴は岩に傷をつけるようにして描画されており、顔料はほとんど使われていないことです。これらの絵の多くは北方遊牧民族によって描かれた春秋戦国時代のものであるとされています。動物や人の顔など様々な絵があります。

また、銀川世界岩画館も併設されており、資料や種々の岩、加工品を展示しているので合わせて訪れるのも良いでしょう。時にはこの山に住むヤギの群れを見ることもできます。周囲は荒野となっており休憩できる飲食店等はないため食事は事前に済ませておくのがおすすめです。

・南関清真大寺
金鳳区中心部に近い位置にあるイスラム寺院です。玉葱型の緑の屋根とその上に伸びる銀色の月のモニュメントが特徴的です。白い壁には金色の細やかな細工が施されており、宮殿のような趣もあります。この周辺は街並み全体にムスリムの特色が強く出ており、ハラルレストランなどもあります。礼拝堂にはイスラム教徒以外は立ち入ることはできません。

・承天寺
承天寺は金鳳区にある寺で、現在では歴史施設として利用されています。特徴は聳え立っている大きな塔です。この塔は11階建てで、上までのぼることができます。のぼること自体は大変ですが、街を一望できるため必見です。寺は朱塗りの壁が美しい中華様式の建築で、周囲には小さな庭園もあり、中国の観光地の中でもゆっくりとした時間を過ごすことができる数少ない場所の一つです。

・寧夏回族自治区博物館
回族は中国でも最大のムスリム系少数民族です。国内でも1000万人ほど存在しており、寧夏回族自治区にはその多くが住まっています。この博物館では回族に関する展示が行われています。置かれているものは多種多様で、先史から現代にいたるまで幅広い歴史を網羅しています。彫刻や芸術作品等も必見です。建物は新しくよく整備されており見学しやすいです。市街地付近に建っているため、周辺には飲食店も多く、アクセスしやすいというメリットがあります。

銀川の治安は維持されており、比較的安全に観光することができます。金鳳区は街並みが整っており大きなホテルも多いため宿泊する際はここでホテルを選ぶのがおすすめです。人気の観光スポットは公共交通機関で行くのは難しいところも多いため、現地ではタクシーなどのチャーターを必要とする場面も多くなるでしょう。事前に計画を立てておくことをおすすめします。