中国 - 温州について

温州は、中華人民共和国浙江省東南部にあり、中国の中では東側のほぼ中央に位置します。面積は11784平方キロメートルで、東は東シナ海に接し、温州港は古くから浙江省南部山間地帯の物産の積出港として栄えた都市です。4市轄区・3県級市・5県を管轄しています。
北部には川が流れ、町全体を覆うように水路や川が張り巡らされています。市内には大型マーケットが設置され、世界各地からバイヤーが集まります。人民中路と人民東路の附近が市内中心部で、新しいビルがたくさん並ぶ経済発展の進んだ大都市というよりは、中国でよく見かける地方都市の姿が見られます。観光地化され過ぎていないのも魅力です。
温州は紀元前192年には東甌王の都となり、323年に建郡して永嘉郡となりました。伝説によれば建郡の時に、白鹿が花を咥えて城を一周したといい、このため鹿城の異名を持ちます。唐時代に入り、この土地の気候の温暖さから、675年に初めて温州の名がつきました。南宋時代には対外通商港となり、海上貿易で繁栄しています。明清時代には温州府が設置され、近代には茶の輸出港となりました。
そもそも温州は周りを海と山に囲まれ耕地が狭く、鉄道が開通するまでは上海航路だけが主な交通手段という「陸の孤島」でした。また、台湾に近く、国防の最前線だったため、国からの投資もなく貧しい地域でしたが、1978 年の改革開放以降、企業家精神に富んだ民営企業家を多数輩出し、全国平均をはるかに上回る経済成長を遂げました。大成功を収めた温州地域は、農村の経済発展モデル、「温州模式」として国内外から注目を集めています。古くから商才に長け、「中国のユダヤ人」とまで称される温州人の気質によるところも大きいのかもしれません。
気候は、亜熱帯海洋性気候に属し、年間平均気温は18度、その名の通り年間を通じて温暖です。厳しい寒さがないので、快適に過ごせるでしょう。日本とよく似た気候ですが、夏は暑く湿度もかなり高くなります。冬の体感温度は日本より低く感じられる事もあり、どんよりとした曇天が多くなります。
温州のランドマークといえば、温州永昌城でしょう。龍湾区永中鎮にあり、450年の歴史をもつ古城です。東に東海を望み、西には大露山があります。永昌城は南北778メートル、東西445メートルと巨大で、城壁の高さは8メートルもあります。鮮やかな明の時代の石橋もあり、人気のスポットになっています。
その他にも温州市には名所が沢山ありますので、ご紹介いたします。
・江心島
甌江の中間部にある、中国で最も有名な4つの小島の一つです。歴史の古跡、文化遺産も豊かで、「甌江蓬莱」や「不死の桃源郷」や「世の中の仙境」と呼ばれています。
島に名所旧跡は多く、例えば宋文信国公祠、浩然楼、謝公亭などがあります。有名な詩人李白、杜甫、孟浩然などもこの地を訪問し、江心島をよんだ歌が800編近くあるそうです。東西展望台からは島と海の景色を一望できます。
・桐渓景観地
温州市の永嘉県に位置し、国家重点風景名勝区に指定されています。8つの風景区に分けられ、その面積は670平方キロメートルもあります。澄んだ水、変わった形の岩、多くの滝や林など昔の村の風景が楽しめる素晴らしい景勝地です。
・ 雁蕩山
雁蕩山は浙江省の南部、温州市楽清県にあり、中国十大名山の1つ。雁蕩山は独特の峰や石、洞窟、石室、瀑布で有名な場所です。古くから、「海上名山」、「寰中絶勝」と讃えられ、「東南第一山」と称されています。
総面積が450平方キロメートルもあり、8つのエリアに500カ所以上の観光ポイントが分布。そのうち、霊峰、霊岩、大竜湫の3つが「雁蕩の三つの絶景」と呼ばれています。
・温州博物館
3万件以上の文物を所有しており、特に陶磁器、色彩彫刻、書道書画が沢山展示されています。収蔵の逸品としては、宜山出土の東晋時代の朱曼妻薛氏の土地の購買券、白象塔出土の北宋色彩彫刻、西山出土の北宋青磁などの国内外の珍品があります。近代的で美しい建物も魅力です。
宿泊施設は、中心部の鹿城区周辺に点在しており、5つ星ホテルから、安宿までさまざまです。予算に応じて予約する事をおすすめします。中央部には飲食店やショッピングモールもあり、食事やショッピングには困らないでしょう。特に五馬歩行街地区は有名なショッピングスポットとなっています。
温州市は中国の中でも比較的近治安の良い場所とされていますが、スリやぼったくりは発生しています。人気のない場所や、夜の1人歩きは避けるようにしましょう。