中国 - 吉林/きつりん/チーリンについて

吉林/きつりん/チーリンは、中国の吉林省中央部の松花江の両岸にまたがる人口約450万人の都市です。吉林省では省都である長春市に次いで2番目に大きな都市で、国の歴史文化名城にも指定されています。
松花江はアムール川と合流し日本海につながる水路で、吉林市は古くから造船業が盛んなまちでした。
吉林の名は、川沿いにある村という意味からつけられたものです。明朝の時代には女真族に支配されておりウラ国と言われました。1613年以降はヌルハチが興した後金の支配下に入りました。さらに中華民国設立の後は吉林県となり、満洲国の建国に伴い吉林省公署が設置されました。その後、満州国が滅亡すると国共内戦の戦場となるなど、幾多の変遷と苦難の歴史をたどってきました。
吉林市の気候は大陸性気候で、冬は零下20℃まで下がる厳しい寒さになります。一方、夏の平均気温は20℃台前半ですが、日によっては36度以上の猛暑になることもあります。
交通手段は、空港は吉林市にはありませんので、長春市の長春龍嘉国際空港を使うのが便利です。鉄道が敷かれており、吉林駅から長春や瀋陽を始めとする国内主要都市まで行くことができます。
市内の交通は、バスかタクシーの利用が便利です。地下鉄や路面電車はありません。
それでは吉林の主な観光スポット・見どころをご紹介していきましょう。
・松花湖・霧松島の霧氷
12月に入ると吉林市の松花江にある霧松島で樹氷を見ることができ、国内外から多くの観光客が訪れます。樹氷は現地では霧松や樹掛とも言われ、松花江沿いの数十キロ間でもこの現象が見られます。松花湖を中心に幅広い地域で多彩な霧氷を満喫できます。川沿いの木々に真っ白い花が咲いたような絶景です。年に一度この時期にしか見られませんので、見逃せません。
この松花湖を中心とする霧氷の美しさは、「寒江雪柳」として、黄山の雲海・泰山の日出・銭塘江潮とともに中国の4つの自然奇観の1つとされています。
・松花湖景勝地（豊満水力発電所）
吉林市南部に位置する松花湖景勝地は、豊満水力発電所のダム湖です。豊満水力発電所は、吉林市の東南24kmの第二松花江上にあります。満州時代の1937年に建設が始められ、1号機が稼働を始めましたが、日本の敗戦後に破壊されました。現在の発電所は戦後に再興されたものです。
松花湖のダム湖は、全長180㎞、水域面積3620・湖面積550、最大貯水量108億、最深部77.5mの規模を誇る壮大な人造湖です。
松花湖には、五虎島・竜潭・風舞池・石竜壁・波浪山・双峰・駱駝峰・青山・北天門など9つの観光スポットがあります。松花湖は中国避暑第一湖と呼ばれ、夏季のリゾート・レジャーの最適地でもあります。
・北山公園
北山公園は、吉林市の西北部にある景勝地で、「九竜聖人境」とも呼ばれます。「竜興の地」と呼ばれた時期もありますが、清朝の康煕皇帝や乾隆皇帝もこの山を巡ったとされています。
清代に建設されたお寺などが多数あり、関帝廟などがあるほか、スキー場もあります。
・吉林隕石博物館
隕石博物館は、松花江南岸に隣接しています。1976年に、吉林市の北郊外永吉県境内に史上まれな大量の隕石が落下しました。世界を驚かせた吉林隕石雨で、数量・重量・分布範囲のいずれもが特異な最大規模でした。吉林1号と名付けられた隕石は1770㎏もあり、世界史上最大のものです。
・吉林文廟
吉林文廟は、市の中心から約1kmにある吉林省の一番古い文廟です。吉林文廟は東北地区で最大規模の孔子廟で、孔子や儒学などに関する紹介をしています。
清の乾隆帝が建造を指示したものです。現在の文廟は1907年に建造されたもので、全長221m、幅74m、総面積が16354㎡もあります。文廟は、大成扉、大成殿、崇聖殿から構成され、他にも目照壁、池、状元橋などの構築物があります。
・吉林北大湖スキー場
吉林北大湖スキー場は、吉林市内から56kmの地にあります。中国で最大規模、最先端の設備を有する自然資源に恵まれたスキー場です。氷雪旅行の窓口でもあります。
全体が山で囲まれているため、風の影響が少なく、雪降期が長いなどの特徴があります。雪景色が美しいスキー場です。
吉林市のホテルは松花江を挟んだ両岸を中心に立地しています。中心部の吉林大街の通り沿いには高級ホテルもあります。吉林は日本の山形市・気仙沼市・松江市と友好都市になっており、対日感情は悪くはありません。ただ外出の際は注意を怠らない方がよいです。