中国 - 成都について

成都は、中国四川省にある省都です。日本の政令指定都市が、都道府県とほぼ同程度の権限を持つように、成都も副省級市として高度な自治権を持ちます。険しい山岳地帯の四川省にあって成都周辺は肥沃な平原が続くため古くから天府の国と呼ばれており、高い人気を誇る三国志に登場する蜀の首都としても知られています。

成都市の面積は、東京都5つ分に匹敵する1万431平方キロメートルあり、中国全人口の約1/100に相当する約1600万人が生活しています。四川省の行政や経済、交通や教育医療などの要であると同時に西域開発の拠点でもあるため、資源開発なども活発で、経済成長著しい都市です。この他にもジャイアントパンダの繁殖の拠点や3000年前の文化財も多数保存されており、観光都市としても人気を集めつつあります。

成都の気候は、夏は蒸し暑く、冬は乾燥しており晴れの日が多いです。1年で最も暑くなる6～8月の平均最高気温は28～30度前後と暑く、5～8月まで雨季が続くため湿度も高めになります。また最も寒くなる12～2月の平均最高気温は9～11度前後となっており、雨が少ないため乾燥しています。ベストシーズンは過ごしやすい3～4月、9～11月です。

成都のランドマークが、安順廊橋でしょう。シャングリラホテルの前を流れる錦江をまたぐ橋の上に、宮廷を思わせる建造物があります。夜になるとライトアップされ幻想的な輝きを放ち、川の鏡面に映し出される美しい光景が知られています。この安順廊橋は2002年に再建されたもので、以前の橋は1980年代の洪水で破壊されました。13世紀の探検家マルコポーロの東方見聞録で「印象に残る橋」として記録されたことでも有名です。この他にもシャングリラホテル周辺には、唐の時代に憩いの場として使われていたという合江亭が、1989年に再建されました。

武侯祠は、三国志好きにはたまらない観光地です。三国志の蜀漢皇帝劉備と天下三分の計を発案した諸葛孔明が祀られています。施設内には劉備や諸葛孔明の祠に加えて武侯祠博物館があり、三国時代の資料や文化財、京劇に登場するような人形を見学できます。劉備の像は伝統的に皇帝が着用する前後十二旒の冕冠をかぶっており、孔明の像は渦を巻き模様のある綸巾を被り、手には羽扇を持っています。武侯祠の隣にある錦里は、明・清時代の建築物を再現しており、音楽などのイベントが行われています。

金沙遺址博物館も訪れてほしいスポットです。成都市青羊区金沙街道の因習時代の遺跡から発掘された文化財を5000点以上も収蔵しています。いずれも紀元前17～12世紀の遺構と考えられており、中国の伝説的な存在であった夏王朝の実在が証明された画期的なものでした。漆を背景に金箔を張り巡らした太陽神鳥金箔の他、祭祀に使われたと見られる十節玉琮、人の形をもした青銅立人、石を彫刻した跪坐石人像が代表的です。また3階層にわたる枝に9羽の鳥を配置した青銅神樹は、中国古典山海経に描かれた扶桑樹の原型ではないかと指摘されています。青銅縦目仮面と呼ばれる目が飛び出た青銅の仮面など他、極めて貴重な古代の文化財を見学できます。

成都大熊猫繁殖研究基地は、ジャイアントパンダの繁殖と研究を行う施設です。市の北東にある約6平方キロメートルもある広大な敷地内にパンダが飼育されていて、繁殖のための様々な試みが行われています。動物園のように観察できるため人気が高く、国内外から多くの人々が訪れる観光スポットです。蒸し暑い夏に訪れるとパンダが日差しのある場所から出てこなかったり、姿を見せてくれても夏バテで身動きしないこともあるので、涼しい季節に訪れることをおすすめします。併設されている博物館も訪れるとパンダをより一層理解できます。

杜甫草堂博物館は、成都にゆかりのある唐時代の詩人杜甫をテーマにした博物館です。杜甫が住居にした草堂を再現している他、広い庭園が整備されており園内を散策できます。園内の各所に日本語の解説や説明があるため、利用しやすくなっており、併設されているショップには杜甫に関係した書籍や簡体字以前の漢字で描かれた作品もあります。近隣に古物を扱うアンティークショップがある他、名物の麻婆豆腐を食べられる飲食店も利用できるなど、1日がかりで楽しめる施設です。驚くような発見はありませんが、竹林や緑が豊富でゆったりとした時間が流れています。安禄山の乱から成都に逃れた約4年は、杜甫が名作を生み出した時期でもあります。