中国 - 徐州について

徐州は、中華人民共和国の江蘇省北西部に位置する都市です。市内には劉邦の故郷があるほか、項羽の都になっていた地もあります。四方を丘陵に囲まれていたことから要塞として優秀であり、商人が集まる地でもあったことから勢力争いの場になっていました。

かつては彭城と呼ばれ、約2,600年の歴史があると言われています。戦国時代には宋や楚が彭城をめぐって争い、秦による統一の後は彭城県がおかれました。秦代の末期には農民一揆の中心地となっています。

項羽と劉邦の時代においても争いの舞台として度々歴史に登場しています。「西楚覇王」を名乗る項羽によって都と定めれたほか、劉邦が60万の軍勢で占領して項羽軍と戦って敗れています。

三国時代にあっては曹操、劉備、呂布、袁術たちが彭城をめぐって争い、勝利した魏の曹操によって徐州が設置されました。

西洋諸国が中国に進出してきた際には、外国勢力との戦いに身を投じる人物の多くが現れます。義和団や辛亥革命の参加者には徐州出身者が多く存在していました。

日中戦争時代には「徐州会戦」の舞台となりました。中国軍の激しい抵抗の中、援軍が到着した日本軍が占領して日本の統治下におかれました。日本軍の支配は1945年の終戦まで続きました。1946年には中国の人民解放軍と国民党軍の戦争の舞台にもなっています。

1952年には江蘇省の所属に戻り、現在に至っています。徐州観音空港や京杭断運河など交通の要衝が多く整備されているほか、2019年には地下鉄も開通しました。高速鉄道も通っており、北京と上海という大都市にそれぞれ約3時間でアクセスすることができます。

徐州の気候は多湿モンスーン気候と呼ばれており、温帯と亜熱帯の中間に属しています。年間平均気温は16℃程度と温暖であり、季節ごとの変化がはっきりしており降雨量が多いです。雨の半分以上は6～7月に降るため、春と秋が訪問に適しています。

江蘇州の三大都市圏として知られ、電子工学や建材工業、シルク加工など2次産業が発達しています。中国資本の会社以外にも、アメリカや日本、ドイツなどの先進国の企業が多く進出している都市です。

長い歴史を持つ徐州における、おすすめのスポットをいくつ紹介していきます。

・雲竜山
市の城南に位置する山です。「石仏山」の別名もあり、くねくねとした9つの岐路があることで知られています。山の多くの部分に文化財があり、景観を楽しむ以外にも文化財スポットとしても知られています。魏から清までの中国歴代王朝の文化財を見ることができる貴重な観光名所です。

・漢画像石博物館
風光明媚な場所として知られる雲竜湖区域にある博物館です。面積は2万平方メートル、敷地は8,000平方メートルという広さをもち、「国家4Aレベル」の指定を受けた景勝地として知られています。漢王朝の墓前にあった石像や、大型動物の彫刻などの歴史的な遺産が展示されています。

・雲龍湖
市の中心部に位置する湖です。天候によって霧に包まれることが知られており、1年中観光客が訪れるスポットです。ビーチや公園のほか、子供用のプールもあるため家族連れに人気があります。

・漢文化国際旅行節
毎年10月に開催される古文化イベントです。舞踊、音楽、出土品、工芸品など漢文化に触れることができます。

・漢文化景区
市内の雲竜区にある観光スポットです。獅子山楚王陵、兵馬俑博物館など漢文化に関連する多くの見所が集中しています。広場や茶園、芝生などくつろげる場所が多く存在することから、気楽に立ち寄れる憩いの場としても人気です。

・亀山漢墓
亀山景区の主要観光スポットの1つです。700平方メートルの面積を持ち、山をくりぬいたような構造をしています。地下宮殿のような形状をしており、南北に50m以上の坑道が彫られている様子は圧巻です。多くの謎に満ちてることから「東洋のピラミッド」という異名で呼ばれます。

・彭祖園
市の郊外にある観光スポットで、地区の始祖である「彭祖」を祀った公園です。動物園と植物園を組み合わせたような施設として多くの観光客を呼んでいます。付近にある寿山の山頂には高さ18ｍの大彭閣があり、楼閣に登れば市内を一望することができます。

徐州を含む江蘇省には日本人を含む多くの外国人が居住しており、中国内陸部に比べて治安は良好です。人口比での統計においては日本より犯罪が少ないという記録もあります。置き引きやスリ対策といった基本的な防犯策を講じていれば、渡航には問題ないでしょう。