中国 - 無錫について

無錫は中華人民共和国江蘇省の南部にある市です。
小さな河川が多く流れており、典型的な江南の水郷地帯で、水産物が豊富なため、古くから『魚米の郷』と呼ばれてきました。
7千年ほど前から住居や農耕の跡があり、長江文明の遺跡なども発掘され、ここが呉の発祥地と言われています。
元々は、錫を多く産出する鉱工業都市で『有錫』という名でしたが、前漢までに掘り尽してしまい、『無錫』という地名になったという説もあります。
前漢がここに無錫県を置き、隋代には大運河が建設され、江南の農産物や織物が集められて、中国各地に送られる重要な経済・商業都市となりました。
清代後期になると、農産物の集積を背景に、その米相場は江蘇省の範囲を超える影響力を持つようになりました。また、この頃、紡績業や繊維業も発展しました。
経済の発展は文化の発展にもつながり、多くの文化人を生み、優れた庭園が建設されたのもこの頃です。1912年頃には、『小上海』と言われるほど、繁栄しました。
1953年に江蘇省の直轄市となりましたが、文化大革命により経済は大きく衰退しました。
しかし、改革解放以来、経済は大きな再起を遂げ、目覚しく発展し、様々な都市ランキングで中国上位に位置しています。
多くの大手日系企業も進出している都市となっています。


気候は、亜熱帯季節風海洋性気候に属し、四季がはっきりしており、夏は湿度が高いため蒸し暑く、冬は寒さが厳しいです。年間平均気温は15.5℃、年間平均降水量は1000mmに達します。東シナ海に近いため、モンスーンや台風の影響を受けやすくなっています。


無錫は典型的な中国の古い城壁都市で、中心部を貫く大運河には、今でも多くの船が行きかっています。長い歴史を持つこの無錫の観光スポットをご紹介します。

・錫恵公園

無錫のシンボルである錫山と恵山の二つの山に挟まれた公園で、その名もこの二つの山からとって付けられています。
典型的な中国式庭園で、園内には、明代に建てられた寺院や古民家、宋代に架けられた橋、庭園と1000年の歴史を持つ見どころもたくさんあります。
古い屋敷町がそのまま公園の中にあるような感じで、一日散策しても飽きません。

・南禅寺

高さ43メートルの妙光塔は無錫の街のランドマークにもなっています。
元々は、運河の水害から街を守ることを祈念して建てられました。
門前から発着する遊覧船で、運河を観光することもできます。
無錫で人気の観光スポットで、周辺は土産物店などが軒を連ねる繁華街です。
伝統工芸品から地元の中高生に人気のファッション雑貨店やアニメショップまで様々な店があり、現地の流行を知ることができます。
夜にはライトアップされた美しい寺院が見られます。

・三国城・水滸城

ドラマの三国志と水滸伝が撮影された場所を公開しているテーマパークです。
無錫でも指折りの観光スポットとなっており、歴史ファンやドラマファンが毎日訪れています。
馬に乗って行われる戦闘シーンのショーは迫力があり、とても見応えがあります。
ほかにも、ワイヤーアクションを使ったショーも見られます。
セットとして再現された昔の街並みや、建物ひとつひとつが重厚にできています。
太湖に面しているので、呉の軍用船で遊覧を楽しむこともできます。
本物の撮影シーンに遭遇することもあります。

・頭渚(げんとうしょ)

頭渚のとはスッポンのことです。太湖の北西に位置する半島が、スッポンが水から頭を出しているように見えるので、この名が付けられました。
園内には、3万本約100種類の桜の木が植えられており、開花時期には国内外から多くの観光客が訪れます。
園内の小高い山『鹿頂山』に立つ塔からは、無錫の街が見渡せます。
演歌『無錫旅情』の歌詞に出てくる通りの景色で、日本人に人気のある場所です。

・清名橋古運河景区

無錫の中心部にあり、その昔の水郷の雰囲気が、今なお残るノスタルジックな風景地区です。
明代や清代の古民家や道路の景観を損なわないように都市整備が行われているので、とても風情のある街並みとなっています。
遊覧船に乗り、運河から眺める街並みもまたロマンチックですばらしいものです。
夜間営業をしているバーやカフェなどもありますので、夜の街を散策するのもまたステキです。


市内には格安ゲストハウスから五つ星の高級ホテルまで、様々なランクのホテルがあります。市の中心部に泊まれば、観光のアクセスも良好です。


治安は、中国国内でも上位に数えられるほど、良好ですが、ほかの有名観光地同様、人の多く集まる場所でのスリや置き引きの被害がまったくないわけではありません。
街歩きの際は、貴重品の管理には充分注意しましょう。