中国 - 泉州について

泉州は中国福建省に位置し、四つの区、三つの県級市、五つの県を管轄しています。福建省内で人口の最も多い都市で、経済の中心地でもあります。とりわけ烏龍茶、靴、石材、磁器、酢は名産品として有名です。その他にも伝統芸能も盛んな地域として知られており、無形文化財として指定されているものもあります。

古くは交易都市として栄えていた歴史があります。特に13世紀は栄華を極め、海のシルクロードとも言われる陶磁の道の拠点として、海洋貿易が盛んに行われました。マルコ・ポーロやイブン・バットゥータもこのことについて記録をしており、「世界最大の港」とも称されるほど当時は広く知られていました。その後貿易の中心地としての役割が別の場所に移行され往時の勢いはなくしたものの、様々な国との交易は継続されたようです。

現在の泉州市としての成立は1986年の行政改変時となります。長い間多様な国・人種の人々が大量に訪れたことから、宗教や文化も様々なものが存在している点が泉州の特徴です。ランドマークは福建省でも最大級の寺院である開元寺や古く巨大な洛陽橋が挙げられます。その他にもたくさんある名所をいくつかご紹介します。

・開元寺
鯉城区に位置する歴史のある仏教寺院です。福建省でも最大級の大きさを誇ります。成立は7世紀頃で、以前は分院がたくさんありましたが、現存するものは非常に少なくなっています。特に東西にある石造りの五重塔は圧巻です。それぞれ西を仁寿塔、東を鎮国塔と呼びます。この塔はレンガでできていたものが13世紀に改築されたものです。観察してみると非常に繊細な彫りが施されていることがわかります。塔以外にも塀や本殿にいたるまで、古めかしく歴史を感じさせる空間です。広大で緑も多く、多くの観光客の訪れる人気のスポットです。

・清源山
国の名勝として定められている山で観光地として人気の名所です。山道は整備されているため歩きやすいですが全て歩くには数時間かかります。バスで頂上まで向かうことも可能です。たくさんの銅像や石像を、美しい自然とともに楽しむことができます。特に老君岩という老子の石像は巨大で見ごたえがあります。周辺には飲食店も多いため休憩することもできおすすめです。入山料がかかるため事前に準備しておきましょう。

・泉州海外交通史博物館
世界的な貿易港として栄えた泉州の貿易について学ぶなら泉州海外交通史博物館がおすすめです。外観は近代的な作りの建物で、内部も美しく整備されています。展示は写真や映像、模型など多岐に渡ります。特に様々な船の模型は印象的です。かつて多くの国の人々が行き来したことから宗教に関する展示もたくさんあります。

・関岳廟
宋代に建造された長い歴史を持つ寺院です。関帝廟とも呼ばれます。あまり広くはありませんが、その独特の存在感を放つ中華様式の建築物には目を見張るものがあります。赤みを帯びた屋根に数々の龍の意匠は目にも鮮やかな印象です。いたるところに置かれた唐獅子の石像も必見です。訪れた際には線香を供えることをおすすめします。周辺では食事ができるところもあるので合わせて訪れても良いでしょう。多くの観光客が訪れる人気のスポットの一つで常に賑やかな雰囲気です。

・清浄寺
およそ1000年前に建造された石造りの寺院です。中国で現存する最古のイスラム寺院として有名です。イスラム建築の特徴ある巨大な門を抜けると、内部には異国情緒の漂う遺跡のような趣があります。様々な国と交流があった泉州の歴史に思いをはせることができます。開元寺から比較的近い位置にあるので合わせて訪問するのがおすすめです。

・洛陽橋
中国四大古橋に数えられる洛陽橋は洛江区にあります。1200mもの長さの非常に大きな石造りの橋で、成立したのは11世紀の北宋時代のことです。厳めしく武骨な作りは1000年の歴史を感じさせてくれます。いくつも並んでいる橋脚の形が特徴的なので通る際はぜひ注目してみてください。ゆっくりと歩きながら遠くの街並みや川の流れ、自然を眺めて過ごすのも良いでしょう。

ホテルは鯉城区、豊沢区、晋江市付近に多く、鯉城区周辺は特に有名な歴史的建造物も多いため観光の拠点としても最適です。福建省は中国国内では比較的治安が良い方ですが、出歩く際にはぼったくりやスリ等の観光客を狙った犯罪によく注意しましょう。泉州と一口に言っても非常に広いため、観光の際にはルートをしっかりと確認し計画を立てて行動することをおすすめします。