中国 - 錦州について

錦州は中国の遼寧省に位置する都市です。錦州はかつて徒河と呼ばれていました。それが遼代になると錦州という名が用いられるようになったのです。日本人にとって錦州はゆかりのある土地といえます。その理由は、戦後に旧満州から引き上げてくる日本人が錦州にまでやって来ていたからです。この地域は満州国の時代には日本の占領地とされていました。近くにある葫蘆島には、戦後に日本へ帰るための船が多く出ていたため、この島と一緒に錦州という街の名前は日本人に知られるようになりました。当時の人たちの書いた手記のなかにも錦州という名前が出てくることは多いです。当時は日本人もたくさん住んでいました。

現在は工業都市として発展している街です。交通の要地となっていて、多くの人が集まります。近くには炭田があるため、化学をはじめとした工業が盛んです。さまざまな業種の工業企業があって、多様な需要に対応することができます。また、農業も盛んであり、省内においては農業生産で重要な地とされています。主な生産物は米やとうもろこしなどです。野菜の生産量も増加していて、種類も豊富です。気候や地質的に果物の栽培にも適しているため、リンゴやスモモ、梨、ブドウなどの品種の生産も行われています。さらに海沿いの都市のため、漁業も盛んです。魚やカニ、エビなど豊富な品種を水揚げすることができます。水産品は日本に輸出されるものもたくさんあります。広い草原があるため、牧畜業も発展していて、65種類もの生産品があるのです。

中国でベストセラーになった小説であるワイルド・スワンの舞台としても有名です。こちらの作品はユン・チアンという中国人小説家の自伝的な作品であり、中国近現代史の激動の時代が描かれて話題になりました。

観光地としては遼瀋戦役記念館が特に有名です。こちらは共産党軍が国民党軍に勝利したことで、東北地区の解放につながったことを記念した施設です。また、西南海岸には筆架山島があり、引き潮になると歩いて渡れることから天橋と呼ばれています。歴史的な遺産もたくさん残されていて、観光地となっているところが多いです。

気候は夏は高温多湿になって、冬はとても乾燥してかなり寒いです。1年を通して-30度から30度まで気温は変化します。そのため、特に冬に訪れるときには注意しましょう。四季ははっきりとしています。日照時間は十分にあり、基本的に過ごしやすい気候です。

このような特徴のある錦州にはどういった名所があるのか紹介しましょう。
・遼瀋戦役記念館
かつての共産党の戦いの模様がよくわかる記念館です。それぞれの戦役についてどういった推移となったのかがわかりやすく解説されています。どういった兵士や将官が参加していたのかといったことまで説明されているのです。ジオラマは戦場全体の様子がわかるようにつくられていて、実際に使われた兵器まで展示されており、戦場の様子をよくイメージできるでしょう。当時の兵器に興味のある人にとっては興味深い展示がたくさんされています。小火器類などの展示もあります。

・医巫閭山
中国東北部にある三大名山のひとつとして知られています。最高峰は海抜867メートルのところにあり、植物やきれいな岩、寺廟などが美しい場所として有名です。山の名前は満州語で「緑あふれる山」という意味です。また、中国の五大鎮山の1つでもあります。国立公園となっていて、しっかりと管理されている場所です。かつての皇帝たちは神に参るためにこちらの山に来ていたと伝えられています。昔から地元の人たちにも親しまれていて、美しい山の景観を楽しめるでしょう。

・大広済寺塔
1057年に建立された塔で、高さは71.25メートルもあります。古塔公園のなかに立地していて、本来の大広済寺は錦州博物館として仕切られており、入り口も別々です。レンガ造りであり、さまざまな彫刻が施されています。塔がある地域は古塔区に属していて、こちらの塔はランドマーク的な存在です。

ホテルはそれほど数が多くなく、市街地のなかに集中しています。錦州駅の近くにあるホテルならば交通に便利でおすすめです。

こちらは中国内では比較的治安の良い都市といえます。たとえば、基本的に中国ではタクシーの前後の席を仕切る鉄格子がつけられていることが多いのですが、こちらではそのようなものはないのが普通です。夜に外を歩くのもそれほど危険ではありません。ただし、注意点として日本と比較するとかなり車の運転が荒いため、交通事故には注意しましょう。歩道にまで車が突っ込んでくるようなケースがあるため、油断はできません。