中国 - 呼和浩特について

呼和浩特は、フフホトの漢字表記で、モンゴルとの国境に位置する中華人民共和国の内モンゴル自治区の省都です。
呼和浩特の名はモンゴル語で『青い城』を意味しています。
16世紀半ば、モンゴルにより、移住してきた漢人を居住させる町として建設され、16世紀の終わりには、明との貿易が始まり、その集積地として栄えました。
17世紀の半ばに満州民族の後金に占領され、内モンゴル全体がその支配下に置かれ、その際、国号が清と改められました。
清代以降現在まで、中央政府の直轄地として、政治、経済、文化の中心地となっています。
1950年に市に昇格し、呼和浩特市となりました。
現在では、人口のほとんどが漢民族であり、16世紀後半にモンゴルによって建てられた多くのチベット仏教寺院のほかには、モンゴル特有の要素は感じられなくなっています。

呼和浩特の気候は、温帯大陸性モンスーン気候を主とし、四季の変化が激しく、年間や昼夜の気温差が大きいのが特徴です。
夏は短く、降水量が集中し、冬は長く、厳しい寒さとなります。
1月の平均最高気温は、－5℃、平均最低気温は－16.8℃、7月の平均最高気温は28.5℃、平均最低気温は16.4℃です。降水量は、7月8月が最も多くなっています。


呼和浩特は、内モンゴルの名の通り、郊外に行くと青い空に緑の大草原という雄大な風景に出会えます。
そこで遊牧民の暮らしを体験できる草原ツアーはとても人気があります。
パオに泊まれば、草原で降るような美しい星空を眺めることもできます。
市街地は、中国のみならず、モンゴル、チベット、イスラムの文化が混在しています。
見どころはたくさんありますので、そのいくつかをご紹介しましょう。

・大昭寺

チベット仏教の寺院です。チベット語で『昭』は寺院を意味します。
明代の1579年に、モンゴルの指導者アルタン・ハーンによって建立されました。
呼和浩特で最も古い寺院ですが、今では呼和浩特一番の観光名所となっており、多くの観光客が訪れています。
寺院では、僧侶が共同生活を送っていますので、その暮らしぶりを垣間見ることもできます。

・呼和浩特五塔寺

その名の通り、長方形の台座の上に五つの塔を戴く寺院です。
清代に建てられ、元の名を『慈灯寺』といいます。
塔は石積みで、塔の上半分には、1119体の彫像があり、下半分には、モンゴル語、チベット語、サンスクリット語で『金剛経典』が記されています。
門の壁には、モンゴル語で天体図が描かれており、世界で最も保存状態の良いモンゴル語による天体図とされています。天体図の直径は1449メートルあり、天体知識の資料としても一見の価値があります。
天体に興味のある方は、ぜひ訪れてみてください。

・呼和浩特清真大寺

1693年に建てられたイスラム教の寺院、モスクです。
建てられた当時は、小さく簡素なものでしたが、清代に多くのムスリム、回族が移住してきたため、その寄付により改修増築を経て、現在の規模になりました。
青緑を基調としたタイル風の壁は、イスラムの雰囲気を感じさせ、とてもエキゾチックです。

・昭君墓

古代中国四大美人の一人、王昭君が眠るとされている墓地です。
漢と匈奴の友好のために、自ら申し出て匈奴に嫁いだという伝説があります。
最初に建てられた際には、盛り土されただけの墓でしたが、その後、建て直され、漢代における中国最大の墓となりました。
この墓地が観光資源となり、周辺地域の経済を発展させました。
秋になり、周りの草木が全部枯れても、昭君墓だけは緑に覆われていることから、『青家』の別名もあり、杜甫を始め多くの詩人たちの詩に詠まれています。

・イスラム風情街

呼和浩特市内にある回民区のことです。
呼和浩特は中東のイスラム教国と古くから交流があったので、イスラム教徒が多く住む町が形成され、イスラム風情街ができあがりました。
1950年に中国で最初の回民自治区となり、1956年に回民区と改名されました。
エキゾチックな風情で、観光客に人気のスポットですが、それだけでなく、呼和浩特の経済や文化の重要な中心地となっています。
中国にいながらにして、イスラムの雰囲気が味わえます。

呼和浩特の治安はあまりいいとは言えません。
人の集まる場所でのスリの被害が多く報告されています。
街歩きの際は、貴重品の管理には充分気をつけてください。
また、市街地は交通量が多く、交通事故も多発しています。
道を歩く際は、歩道にいても、車が突っ込んでくることがあるので、注意が必要です。