中国 - 杭州について

杭州は、浙江省の北部に位置し、中国八大古都のひとつとされています。
「上有天堂、下有蘇杭。(上に天国あり、下に蘇州・杭州あり。)」と詩で称えられるほど、美しい街です。
その歴史は古く、新石器時代の遺跡が発掘されていることからもそれがわかります。
589年、隋朝により杭州と名付けられ、清朝末期までこの名が使われることになります。
隋代に大運河が建設され、その南端に位置していたため、貨物の集積地として発展し、経済の中心地となりました。
その後、何代かの王朝により、水利事業が進められ、元代にはマルコ・ポーロがその繁栄ぶりを『東方見聞録』に記しました。
明代になると、江南の経済の中心地として、蘇州とともに江南の大都市へと発展しました。
清朝末期には、日本の租界となった時期もありましたが、中華民国の成立により、杭州市となり、中華人民共和国が建国されると省轄市とされ、現在に至ります。

杭州の気候は、温暖湿潤気候に属し、年間平均気温は17.0℃です。
夏は短いですが、蒸し暑く、冬は寒さが厳しいです。
降水量は夏場に多く、冬は乾燥しています。


杭州は風光明媚な景勝地として知られていますので、見どころとなる観光スポットはたくさんあります。
そのいくつかをご紹介しましょう。

・西湖

2011年に世界遺産に登録されました。
杭州市の西に位置するため、西湖と呼ばれています。
中国国内に西湖と名の付く湖はいくつかありますが、一般に西湖と言えば、この杭州の西湖を指すほど有名な湖です。
中国四大美人の一人、西施が身を投げたなど、多くの伝説も残っています。
西湖十景(断橋残雪、平湖秋月、曲院風荷、蘇堤春暁、三潭印月、花港観魚、南屏晩鐘、雷峰夕照、柳浪聞鶯、双峰挿雲)と宋代に詩に詠まれた美しい湖の周りを一周してみましょう。
広い湖ですが、遊覧船に乗ったり、レンタサイクルを利用したりすれば、効率よく見どころを巡ることができます。
夜、静かに水をたたえた西湖はまた違った趣を見せてくれます。

・雲隠寺

西湖の西に位置し、雲林禅寺とも呼ばれており、中国禅宗五山十刹のひとつとされています。
326年にインドの高僧、慧理によって建立されました。
境内には天王殿、大雄宝殿、観音殿、直指堂、薬師殿、華厳殿など雄大な伽藍及び素晴らしい文化財があります。
年間約300万人の参拝客が訪れています。

・六和塔(りくわとう)

杭州市南方にある月輪山に位置し、高さ59.89メートル、敷地面積約890平方メートルです。
外から見ると13階建てに見えますが、中に入ると７階までしかありません。
北宋代に銭塘江の氾濫を鎮めるために建立され、川を行き交う船の灯台の役目もしていました。
一度焼失しましたが、1152年に現在まで残る塔身が再建されました。
塔の一番上まで登ると銭塘江が一望でき、雄大な眺めを楽しむことができます。

・西印社(せいれいいんしゃ)

西印社は西湖に浮かぶ島、孤山にある篆刻を中心とする学術団体及び庭園の名称です。
清代末期に、浙江省出身の篆刻家たちが篆刻の振興や伝統継承を目的として、仮の本部を置いたのが始まりです。
西印社の庭園は、元々景勝地であった孤山の麓に、広い敷地面積を持ち、趣のある建物が点在していることから、中国江南の優れた庭園のひとつとされています。
中国の古風な庭園の造りで、歴史を感じながら散策するのにぴったりです。

・雷峰塔

西湖の南岸に立つ仏塔です。975年から６年の歳月をかけて建てられ、元代に倭寇との戦いで木製の部分は焼失し、レンガでできた塔身だけが残りました。このレンガに病気を治すという言い伝えがあったことから、人々に削り取られ1924年に倒壊しましたが、2002年に再建されました。
「雷峰」という名は、西湖南岸の夕照山の最高峰、雷峰頂に由来しています。
西湖十景のひとつである「雷峰夕照」として、多くの観光客が訪れています。


西湖は、高速鉄道を使えば、上海から約１時間と充分日帰り可能な距離ですが、宿泊設備も多く、いいホテルが市の中心にたくさんあります。
高速鉄道のほとんどが杭州東駅を発着しますので、杭州東駅に近い地下鉄１号線沿線に泊泊するのが、観光にも買物にも便利がいいでしょう。


杭州はそんなに大きな街ではないので、治安は概ね良好ですが、他の有名観光地同様、外国人を狙ったスリや置き引きの被害は報告されています。
街歩きの際には、貴重品には充分注意して管理してください。