中国 - 大同について

大同は中国の山西省の北部に位置する都市です。山西省においては太原市の次に大きな規模の都市として知られています。大同は戦国時代には趙が管轄していたエリアでした。秦によって中国が統一されたあとは平城県が設置されました。大同は中国文化のなかにありながら、モンゴルに近いことでそちらの影響も受けている地域です。

そんな大同は鉱物資源に恵まれていて、大同炭田があることで知られています。また、鉄や銅、金、アルミニウムといった鉱石も産出されます。ほかにも、ウンモや石灰石、長石といったものが産出しており、原料供給地として重要な存在となっているのです。これらの原料をほかの地域に供給するだけではなく、大同内でも重工業が発展しています。

こちらには空港があり、そこからは北京や上海といった地域への航空便が出ています。そのため、中国大都市とつながっており、多くの人が訪れているのです。鉄道や高速道路も整備されています。

大同のある山西省は中国の沿岸部と比較するとかなり貧しい地域です。それでも近年は経済発展を続けていて、多くの人が集まるようになっています。このような特徴のある大同について、代表的なスポットを紹介しましょう。
・雲崗石窟
市街地から西方20キロのところにある石窟寺院です。ユネスコの世界遺産に登録されていて、観光地として知られています。石仏寺などと呼ばれることがあります。460年頃からの歴史があり、次々に大規模な石窟がつくられていきました。最初期にはグプタ朝やガンダーラーの影響が見られて、そのあとはギリシャ様式の唐草模様などの意匠が凝らされるようになりました。末期になるとあまり力強さを感じられない造形が増えていくようになります。石窟に興味のある人はぜひとも訪れたい場所です。中国以外の影響を強く受けているため、エキゾチックな雰囲気があります。さまざまな大きさや表情をした像を見ることができます。なかには5万を超えるほどの彫像があるため、すべてを見ることは難しいでしょう。さまざまな石窟のなかでも特に有名なものは20窟です。こちらは北魏の太祖である道武帝を表現しているとされています。耳が長く肩まで垂れていて、平べったい顔をしており、アフガニスタンにあるガンダーラ仏の影響を受けているとされる石窟です。どの石窟も保存状態がよく、世界遺産に選ばれるのも納得できる迫力があります。

・懸空寺
市の中心部からは60キロ南東に離れたところに位置する寺院です。5世紀末に造営されました。仏教と道教、儒教の3つが一体となっている独特の宗教寺院です。現存している建物は、明清代に修繕されたものです。1957年には山西省の重点文化財になり、1982年には全国重点文化財に指定されました。主要な建物は全部で6つあり、それぞれは木製の桟道によって結ばれています。それぞれの建物のなかには塑像が置かれています。三教殿には、仏教と道教、儒教の開祖の塑像が一同に並んでいるため、ほかでは絶対に見られない稀有な眺めを楽しめるでしょう。

・万里の長城
世界遺産に登録されている城壁の遺跡です。かつての中国王朝が北方の異民族からの侵攻に備えるために築いたのが万里の長城であり、大同市に現存しています。省の重点文化財となっていて、貴重な文化財として管理されています。

・華厳寺
遼代に建てられた下華厳寺と金代に建てられた上華厳寺があります。古城内に存在していて、観光地として多くの人が訪れる場所です。薬師如来像や月光菩薩像、日光菩薩像などがあります。

・九龍壁
明の太祖である朱元璋の第十三子である朱桂の王府跡です。中国にはさまざまな照壁があり、そのなかでも龍を主題として特に大きなものが九龍壁です。横幅は45メートル近くあり、高さは8メートル、厚さは2メートルもあります。その迫力は見るものを圧倒する力強さがあって、一見の価値があるでしょう。この壁の背後に当時は大きな邸宅があったのです。

大同には高級ホテルから格安ホテルまでさまざまな選択肢があります。市の中心部にたくさんホテルが集まっており、各地へのアクセスに優れていて便利です。公共バスがたくさん運行されていて、タクシーにも乗りやすい場所です。

治安に関してはそれほど神経質になる必要はありません。治安が極端に悪いということはなく、安心して観光できるでしょう。ただし、スリや置き引きなどには注意して、夜に外を出歩くこともやめたほうがよいです。日本と同じような感覚で過ごすことは避けましょう。