名称:イェリング墳墓群、ルーン文字石碑群と教会(Kongernes Jelling /Jelling-monumenterne)
住所:Gormsgade 23, 7300 Jelling / Thyrasvej 1, 7300 Jelling
北欧デンマークのユネスコ世界遺産登録は、デンマーク領グリーンランドを含む、文化遺産7件と自然遺産3件を合わせた10件です。デンマークの国土は日本の10分の1程度、土地の起伏も少ないので、世界遺産を巡りやすいのがポイント。ではさっそく、どんな世界遺産があるのかご紹介していきます。
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行ってみたくなる!北欧デンマークが誇る10の世界遺産をご紹介
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1.イェリング墳墓群、ルーン文字石碑群と教会
1994年世界文化遺産に登録された「イェリング墳墓群、ルーン文字石碑群と教会」は、デンマークのユトランド半島中部のイェリングにあります。ふたつの大きな墳墓のそばに、そのふたつの古代ゲルマン語のルーン文字で刻まれた10世紀頃の石碑があり、その側に、白壁の可愛い小さな教会が残っています。
大きなふたつの石碑はデンマーク最古のもの。小さい方はデンマーク最初の国王ゴルム王とその妻であるチューラ王妃について刻まれたもの、大きい方は彼らの息子のハーラル王の記念碑であることが判明しています。これらの石碑にはデンマーク人のキリスト教への改宗とハーラル王のデンマーク・ノルウェー征服が刻まれていて、デンマーク国家誕生の貴重な資料となりました。教会と石碑とふたつの大きな墳墓、土着の宗教とキリスト教の遺跡が並んだ珍しい世界遺産です。
2.ロスキレ大聖堂
1995年にユネスコ世界遺産登録されたデンマークの世界文化遺産「ロスキレ大聖堂」。首都コペンハーゲンのあるシェラン島内、コペンハーゲンから列車でおよそ30分のところにあるデンマークの旧首都ロスキレにあります。
12世紀初期にロマネスク様式で建築が開始された大聖堂は、紆余曲折を経て100年以上の歳月の後ロマネスク様式でようやく完成しました。長年の建築中、ポーチ、王家埋葬チャペルが加えられ、15世紀より、代々の君主、王や女王、王妃などの王族が40体埋葬され続け、今では、世界の中で最も王族が埋葬されている教会となっています。荘厳な雰囲気を味わいにぜひ訪れてみてくださいね。
名称:ロスキレ大聖堂(Roskilde Domkirke)
住所:Domkirkepladsen 3, 4000 Roskilde
公式・関連サイトURL:http://www.roskildedomkirke.dk/english/
3.ワッデン海
「ワッデン海」は、オランダからドイツを経てデンマークに広がる北海の水域面積およそ11400平方キロメートルと、海岸線約500kmに及ぶ大湿原の干潟です。世界遺産登録以前の1978年から、3国はワッデン海の保護と保存のため協力。世界自然遺産としては2009年にオランダとドイツ、2014年にデンマークで登録されました。
人の手が入っていない自然のままの沿岸は、時間・季節によって様々な姿を見せます。
ワッデン海に生存するゼニガタアザラシは、愛らしいそのその姿から観光で訪れる人々を和ませています。貴重な自然の姿を観賞しに訪れてみてくださいね。
名称:ワッデン海(Wadden Sea)
住所:オランダ・ドイツ・デンマーク
4.クロンボー城
2000年に世界遺産として登録された「クロンボー城」。コペンハーゲンのあるシェラン島の北部ヘルシンガーの町にあり、シェークスピアの戯曲『ハムレット』の舞台になったお城です。海峡を挟んで僅か7kmほど先にスウェーデンを目視できる海辺にあります。
クロンボー城は400年もの間通行料を強いる事で富を得ていましたが、1629年の大火事によって荘厳に装飾された城の姿は変わり果てました。スウェーデンとの戦いで1658年から2年ほど奪われてしまいましたが、奪還。その後は約300年にわたり、デンマーク軍の住居と要塞として使用されていました。
外部からの攻撃から逃れようと多くの兵士や馬が隠れた防護施設のケースメイトがクロンボー城の地下にあり、その地下には国を救うという伝説の大巨人「ホルガー・ダンスク」の像が今も静かに眠っています。いにしえのデンマークの古城を鑑賞しに、クロンボー城を訪れてみてください。
名称:クロンボー城 (Kronborg Slot)
住所:Kronborg 2C, 3000 Helsingør
5.イルリサット・アイスフィヨルド
2004年に世界遺産に登録された「イルリサット・アイスフィヨルド」。デンマーク領グリーンランドの西側に位置する街イルリサットにあります。
第四紀の最終氷河期に形成されたヤコブスハブン氷河(セルメク・クジャレク氷河)は、南極を除く世界最大の氷河。標高約1200mから海へ向かって、1日で約40m/日も流動しています。これは世界最速!氷産出量はグリーンランド全体の10%を占めるています。しっかり防寒して、ダイナミックな自然の姿を堪能してみてください。
名称:イルリサット・アイスフィヨルド(Ilulissat Icefjord)
住所:ILULISSAT - Grønland(Greenland)
6.ステウンス・クリント
2014年に世界遺産に登録された世界自然遺産「ステウンス・クリント(スティーブンス・クリント)」。デンマークシェラン島にある首都コペンハーゲンから南へ約45kmの海岸沿いにある石灰断崖です。
隕石衝突による気候変動によって恐竜をはじめとした多くの生物が絶滅。その当時の様子が垣間見える化石が発見されました。約6500年前の巨大隕石の衝突によってできた地層が、15kmにも渡って見られます。恐竜絶滅を説明する貴重な証拠であるとされ、それが世界遺産に値する決め手となりました。地球の生命の歴史の貴重な痕跡を見学しに行ってみてくださいね。
名称:ステウンス・クリント(Stevns Klint)
住所:Højerup Bygade 39, 4660 Store Heddinge
7.シェラン島北部のパル・フォルス式狩猟の景観
2015年に世界遺産に登録された「シェラン島北部のパル・フォルス式狩猟の景観」は、デンマークの首都コペンハーゲンから北方面へおよそ30km行ったところにあります。
この世界遺産の舞台は、デンマーク王家が狩猟場として使用してきたストア・デュアヘーヴェとグリブスコウ狩猟森林と鹿公園、そしてバロック式の狩猟小屋です。君主の絶対的な権力を誇示するために用いられたという幾何学的な道路群が特徴の「パル・フォルス式」の猟法を用いた狩猟場は、17世紀から18世紀時代のデンマーク王家の思想と文化交流を伝える貴重な文化遺産です。
名称:.シェラン島北部のパル・フォルス式狩猟の景観(The par force hunting landscape in North Zealand)
住所:Dansk Jagt- og Skovbrugsmuseum, 2970 Hørsholm
8. モラヴィア教会の入植地、クリスチャンスフェルド
2015年世界遺産登録された「モラヴィア教会の入植地、クリスチャンスフェルド」。デンマークユトランド半島南部にあり、1773年にモラヴィア教会によって創設された計画都市です。
街は教会広場を中心にしてプロテスタントの理想都市を目指し建設されました。建築物は同等かつ質素で、1~2階建ての赤いタイルの屋根に黄色いレンガの外壁の建物です。今も残るその建物は、モラヴィア教会の重要な歴史的資料となっています。1970年から2007年の間クリスチャンスフェルド市が置かれていましたが、市町村統合によりコリング市に吸収され街として残っています。
名称:モラヴィア教会の入植地クリスチャンスフェルド(Moravian Church Settlements)
住所:Nørregade 14, 6070 Christiansfeld
9. グリーンランドのグヤダー:氷冠縁辺部におけるノース人とイヌイットの農業景観
2003年から暫定リストに記載されていた「グリーンランドのグヤダー」。ついに2017年に、文化遺産「グリーンランドのグヤダー:氷冠縁辺部におけるノース人とイヌイットの農業景観」としてデンマークの世界遺産に登録されました。
グリーンランド語の「グヤダー (Kujataa)」は、ノース人の東入植地の遺跡を意味しています。ノース人とイヌイットの伝統的な狩猟文化が融合し、両者の生活様式が共存するユニークな文化的景観が形成されました。厳しい気候条件の中で適応し、生活していたかを示す貴重な証拠と、農業技術や社会生活が反映された遺跡が点在しています。
名称:グリーンランドのグヤダー:氷冠縁辺部におけるノース人とイヌイットの農業景観
(Kujataa Greenland: Norse and Inuit Farming at the Edge of the Ice Cap)
公式・関連サイトURL:https://whc.unesco.org/en/list/1536/
10. アーシヴィスイト=ニピサット、氷と海の間のイヌイットの狩場
出典: Chmee2/Valtameri - 投稿者自身による著作物, CC 表示 3.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=11514825による (CC BY 3.0)
グリーンランド西部のアーシヴィスイト周辺からニピサット島周辺にかけての文化的景観が、「アーシヴィスイト=ニピサット、氷と海の間のイヌイットの狩場」という名称で2018年に文化遺産として世界遺産登録されています。これらのエリアは、イヌイットの狩猟文化が長い間続いてきた証拠が残されており、先史時代から続く人間と自然の共生が見られます。
イヌイットの生活様式が反映された狩猟活動の遺跡群は、イヌイットの狩猟文化がどのように発展し、厳しい環境に適応してきたかを理解するための重要な遺産となっています。
名称:アーシヴィスイト=ニピサット、氷と海の間のイヌイットの狩場
(Aasivissuit – Nipisat. Inuit Hunting Ground between Ice and Sea)
公式・関連サイトURL:https://whc.unesco.org/en/list/1557/
◎デンマークの世界遺産まとめ
北欧デンマークの世界遺産をご紹介しました。豊かな自然を持ち、古くはヴァイキングが活躍した時代から現代まで長い歴史を持つ国デンマーク。自然遺産はスカンジナビア半島の成り立ちを感じさせ、歴史遺産は強大な多くの隣国に影響を受けつつも独自の文化を守り抜いてきた自信と風格を感じる、デンマークらしい興味深いスポットが満載です。
観光で訪れた際にはどれか一つでも訪れてみると、今までとはまた違ったデンマークの姿を知ることができるかもしれませんよ。