五島の世界遺産を訪ねるならフェリーが便利!観光の魅力とコツをご紹介

五島の世界遺産を訪ねるならフェリーが便利!観光の魅力とコツをご紹介

2018年にUNESCOの世界遺産に登録された「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」には、長崎県五島列島の4か所の教会および集落が含まれています。世界的にも稀有な信仰の歴史の例として、近年注目を集めている五島の文化遺産。ですが、潜伏キリシタンという性質上、いずれも容易にはたどり着けない場所にあります。この記事ではそんな五島列島の世界遺産の魅力と、フェリーを使った観光のコツをお伝えします!

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五島の世界遺産を訪ねるならフェリーが便利!観光の魅力とコツをご紹介

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世界遺産「潜伏キリシタン関連遺産」とは

江戸時代から明治初期にかけて、日本ではキリスト教が禁止されていました。とくに1637年の島原の乱以降は徹底して弾圧されましたが、それでも多くのキリシタンが、表向きは神道や仏教に転向したふりをして、密かに信仰を保ち続けました。

しかし、幕府の追及が厳しくなると、こうした潜伏キリシタンの一部は迫害を避けて新天地を求めました。五島に残る世界遺産の集落は、このときに移住してきたキリシタンによって作られたものです。江戸時代も後期に入ると潜伏キリシタンの存在は公然の秘密となり、移住の背景には人減らしをしたい九州本土の諸藩と、人手不足に悩む五島藩の間の暗黙の合意があったとされています。

とはいえ人目を憚らなければならないことに変わりはなく、彼らがあてがわれ切り拓いた土地はいずれも厳しい環境にありました。作物も育ちにくく往来も不便な険しい土地で、潜伏キリシタンたちは正式な聖職者もなく自分たちだけで信仰を貫き、独自の生活と文化を形成・継承してきたのです。明治新政府が諸外国からの圧力によってキリスト教を解禁すると、ようやく彼らは自らの信仰を公にし、自分たちの教会を建てる自由を得ました。

五島の世界遺産めぐりにおすすめのフェリー「太古」

五島列島で定期便が就航している空港は、福江島の福江空港のみです。そして、世界遺産に登録されている教会や集落は、福江島以外の複数の島に点在しています。

これらの島々を巡るには、船を利用するしかありません。なかでも観光に便利なのが、博多を夜中に出発し、福江に翌朝到着する野母商船のフェリー「太古」です。

太古は途中4つの島に寄港するので、上手に使えば効率よく複数の世界遺産の島を訪ねることができます。また、船自体も新しくとっても快適!せっかくの離島観光ですから、フェリーでじっくり旅してみませんか。フェリー太古の魅力と予約・利用方法などは、リンク先の記事をご参照ください。

▶ 博多と五島を結ぶフェリー「太古」の魅力!世界遺産の島々を船で巡ろう

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1. 無人島「野崎島」の野首教会

五島の世界遺産の教会で最も知られているのは、トップ画像にもあるこちらの野首教会ではないでしょうか。野首教会は、五島列島北部の小値賀島(おぢかしま)の隣に浮かぶ、縦に長い野崎島にあります。

打ち捨てられ、他に建物の残っていない集落跡にポツンと佇む赤レンガの教会は、それが世界遺産であるとないとに関わらず訪れる人の心に残ります。島の波止場から歩いて20分弱、トップ画像のアングルで撮影するにはさらに10分ほど歩かなければなりません。

野首教会は、明治41年(1908)にもともとあった木造の教会を改築したもので、長崎県周辺の多くの教会を手掛けた棟梁鉄川与助の作品です。煉瓦造に瓦葺と、和洋の折衷した独特の外観をしています。

内部も見学できますが、写真撮影はお断りとなっています。

野崎島は2001年に最後の住人が島を離れたため、現在は無人島です。島内は鹿の楽園となっていて、朽ち果てた集落や田畑の跡を、のびのびと駆け回る鹿たちの姿を目にすることができます。

島への公的な交通機関は、小値賀港からの町営渡船「はまゆう」に限られます。基本的に朝夕2便の運航で、土日祝日などには午前中の増便もあります。ただし、ダイヤは流動的かつ日によって異なるので、旅程が決まったら必ず観光協会のHPで確認するようにしましょう。

フェリー太古で博多から来港した場合、夜明け前に着くため小値賀港ターミナル内の仮眠室等で待機することになります。観光案内所は6:30にオープンするので、そこで野崎島への行き方や島での過ごし方について聞くことができます。

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その他のアクセス方法としては、周辺の港で船をチャーターすることも可能です。チャーター船は時間が自由なのが利点ですが、船単位でのレンタルなので人数が少ないと割高となってしまいます。

野首教会の麓には、廃校を利用した「野崎島自然学塾村」があります。事前予約制で休憩や宿泊ができる有料施設で、シャワーや炊事場もあります。

無人島の野崎島には商店などもないため、食料は持参しなければなりません(飲料の自販機はあり)。小値賀港ではカップラーメンなども販売されているので、自然学塾村でお湯を沸かして食べることも可能です。ただし、生ごみを除くごみ類はすべて持ち帰りとなります。

また自然学塾村から海に下りると、こ~んなキレイな白砂のビーチが現れますよ!野崎島は交通手段が限られているので、島にいる人の数がだいたい分かります。午前中の船の乗客が少なければ、ほとんどプライベートビーチのように思いっきり海水浴や浜遊びが楽しめるんです。

野崎島を訪れる際は移動手段を問わず、必ず小値賀町のNPO法人「おぢかアイランドツーリズム」に事前に連絡をするようにしましょう。自然学塾村の利用申し込みや各種ツアーの受付も、おぢかアイランドツーリズムのHPで行っています。

野首教会や自然学塾村、港のビジターセンター(写真の建物)などにはふだん鍵がかかっています。渡航者ありの連絡があれば職員が鍵を開けてくれるのですが、この職員さんたちも、同じ渡船で行き帰りします。連絡を怠ると施設が使えないだけでなく、うっかり無人島に取り残されてしまうという恐ろしい事態にもなりかねませんよ!

2. 久賀島と奈留島はツアーがおすすめ!

五島列島で最も大きな福江島には、美しい教会はいくつかあるものの世界遺産はありません。福江島の北東に並ぶ久賀島(ひさかじま)と奈留島(なるしま)には、それぞれ世界遺産の集落や教会があります。

奈留島には博多からのフェリー太古も寄港し、また久賀島へは福江港からわずか20分で渡ることができます。ですが、隣り合う久賀島と奈留島の間の移動はチャーターの海上タクシーに限られます。また両島とも険しい地形で、島内の移動も容易ではありません。

そこで、この2つの島の世界遺産を効率よく観光するには、五島市観光協会主催のツアーがおすすめです。個人ではチャーターしにくい島内タクシーや海上タクシーを利用して、リーズナブルかつテンポよく観光スポットを巡ることができます。また、世界遺産の教会の見学にはそれぞれ事前連絡が必要なため、ツアーに参加すればその手間を省けるのも利点の1つです。

申し込みは電話で、締切は出発日の3日前までとなります。集合場所は、福江港ターミナル内の観光協会窓口前です。フェリー太古で来港すると、ちょうど出発の数十分前に到着できます。

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逆に長崎港からの船だと、ギリギリすぎてツアーの出発に間に合わないこともあるそうです。というのも、最初に乗る久賀島までの船はチャーターではなく公共の乗り合いなので、待っていてはくれないのです。

3. 久賀島のみどころ

福江島のすぐ隣にある久賀島は、U字型をした五島列島で3番目に大きな島です。とはいえ島内には平地が乏しく、車なしには移動は困難です。

島全体が「久賀島の集落」として世界遺産の構成資産となっていて、江戸時代後期に多くの潜伏キリシタンが入植しました。

久賀島の観光の中心は、東岸にある旧五輪教会堂(きゅうごりんきょうかいどう)です。もともとは明治14年(1881)に島の西岸の浜脇地区に建てられたもので、昭和6年(1931)に現在の場所に移築されました。

五輪教会へ行くには、ガードレールのない細い山道を数十分車で進み、そこからさらに15分ほど山道を歩かなければなりません。海上タクシーなら波止場に着けてすぐですが、やはりツアーに参加するのが確実です。

旧五輪教会堂は、五島の世界遺産の教会で唯一内部の写真撮影が許可されています。外観は一見すると古い小さな公民館のようですが、ひとたび中に入れば静かで厳かな祈りの空間が広がります。

とくに、アーチを並べたリブ・ヴォールト天井は必見!欧米の石造の教会ではよく見られる構造ですが、木材を曲げてこの流線を作り出せるのは、日本の大工ならではの職人技なんですよ!

ちなみに旧五輪地区は、歌手の五輪真弓さんのお父さんの出身地。お祖父さんはこの旧五輪教会堂のオルガン奏者だったそうです。五輪という名前も、もちろん五輪地区にちなんだものです。

久賀島でもう1つ訪れてほしいのが、中央部の入り江に臨む「牢屋の窄(さく)」。ここは明治新政府による弾圧の際、捕えられたキリシタンの島民を収監したところです。

わずか12畳の牢に約200人が押し込められたとされ、直立不動のまま床に足を付けることもままならず、老若男女42名が不衛生な環境下で亡くなりました。ある少女はウジに下腹を食い破られて命を落とし、別の少女は髪が抜け熱にうなされながらも、「これからパライゾ(天国)に行くから」といって息を引き取ったそうです。

こうした迫害の惨状を知った西洋列強の抗議によって、初めて明治政府は禁教令を解き、キリスト教容認へと方針転換しました。それでもなお、この牢から人がいなくなるまでは数年を要したといわれています。

4. 奈留島の江上集落

久賀島の隣の奈留島はψの字型の複雑な形状をしていて、農業主体の久賀島に対して漁業の島といわれています。

世界遺産の江上集落は島の北西部にあり、やはり港からは距離があるため、車か最低でも自転車は必須です。港周辺には飲食店や民宿もあり、道路も比較的整備されているので、久賀島よりは比較的個人でも観光は容易です。

キリシタン移住者が開拓した江上集落には、大正7年(1918)に建てられた江上天主堂があります。前出の教会建築の名工鉄川与助が手掛けたもので、やはり堂内にはりっぱなリブ・ヴォールト天井を見ることができます。

江上天主堂の一番の特徴は、地面からやや浮いた高床式になっていること。これは、山がちな五島のなかでも森に囲まれた水はけの悪い土地に建てられているためで、日本の大工ならではの配慮といえます。

ほかにも、軒に模様で象った通気口を設けたり、柱の下地にベンガラを塗って防虫とするなど、建物を長持ちさせるための工夫が随所にみられます。

そして最近注目を集めているのが、このアングルの写真。右上の木の枝に注目!そう、ハートの形をしているんです!

教会で自然が作り出したハートに出会えるなんてステキですね!五島の世界遺産はカップルの旅行にもピッタリの観光スポットです。

5. 新上五島町の頭ヶ島

出典: junjun / PIXTA(ピクスタ)

五島列島で2番目に大きい中通島(なかどおりじま)を擁する新上五島町に、4つ目の世界遺産の集落「頭ヶ島(かしらがしま)」があります。フェリー太古の着く青方港からは、有川港でバスを乗り継いでいくことになります。ただし、バスは本数が1日2~3本しかないので、レンタカーやタクシーの利用がおすすめです。

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頭ヶ島は中通島と橋で結ばれていますが、島内はパーク&ライドとなっています。島には休港中の上五島空港があり、ここに車を止めて、シャトルバスに乗り換えます。空港から頭ヶ島集落まではたったの7分で、シャトルバスは30分おきに出ています。

出典: ニッシー / PIXTA(ピクスタ)

頭ヶ島はもともと無人島でしたが、新政府による弾圧を逃れ、中通島の鯛ノ浦のキリシタンが明治初期に移住しました。大正8年(1919)に完成した現在の教会は、西日本で唯一の石造教会として知られています。

設計はやはり鉄川与助ですが、頭ヶ島天主堂の天井にはアーチが用いられていません。青を基調とした堂内の雰囲気も独特で、五島列島に数あるキリスト教関連施設のなかでも、とりわけ評価の高い建物です。

◎世界遺産以外にも魅力がいっぱい!

五島列島に散らばる4か所の世界遺産について、見どころやアクセス、観光の際のポイントなどをご紹介しました。ひっそりと信仰を守ってきた潜伏キリシタンの集落ということから、効率よく見学するにはコツが要ります。博多を夜に出航するフェリー太古と、福江港から出発する久賀島・奈留島のツアーを利用すれば、船中泊込みの最短3泊3日で4か所すべてを観光することも可能ですよ!

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また今回は世界遺産にフォーカスしましたが、五島には他にも観光の魅力がたくさんあります。五島の観光スポットやおすすめのプランについては、ぜひ次の記事も参考にしてみてください。

▶ 東京や関西からも週末にゆったり楽しめる、五島列島のフェリー旅プラン!
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