500年の歴史!世界初の水中文化遺産「レッドベイのバスク人捕鯨基地」

画像出典:Alina Strandberg

500年の歴史!世界初の水中文化遺産「レッドベイのバスク人捕鯨基地」

カナダには、文化遺産が9か所、自然遺産が10か所、複合遺産が1か所の合計20の世界遺産が登録されています(2022年3月現在)。今回はその中から、2013年に世界遺産登録を果たした「レッドベイのバスク人捕鯨基地」を紹介します。世界中でも珍しい「水中文化遺産」は、一体どんな場所なのでしょうか?

目次

500年の歴史!世界初の水中文化遺産「レッドベイのバスク人捕鯨基地」

レッドベイのバスク人捕鯨基地とは?

レッドベイのバスク人捕鯨基地

出典: Alina Strandberg

レッドベイのバスク人捕鯨基地は、カナダ北東部のニューファンドランド・ラブラドール州にある世界遺産です。カナダの国定史跡にも指定され、ここは16世紀にバスク人により捕鯨基地として使用されていた場所で、陸上及び海底にその遺跡が残されています。

ラブラドール地方の沿岸部では、アザラシやセイウチなどを狩猟しながら約9000年前から人が生活していました。そして1550年から1625年にかけて、この地で捕鯨を行っていたのがフランスやスペインから集まったバスク人。この一帯では多数の捕鯨基地が発見されており、干物を作るための施設や鯨油融出用のかまどを備えた捕鯨基地も見つかりました。水中から発見された捕鯨船は陸に引き上げられましたが、一部は海底に残っています。

レッドベイのバスク人捕鯨基地がユネスコ世界遺産の暫定リストに記載されたのは2004年1月。この地に残された捕鯨基地の規模や保存状態、そして歴史を物語る考古学的要素などが認められ、9年後の2013年にカナダで17件目の世界遺産に登録されました。海底に残された遺跡も登録の対象であり、水中文化遺産を含む世界初の世界遺産として話題になりました。

レッドベイのバスク人捕鯨基地へのアクセス

レッドベイのバスク人捕鯨基地がある場所は、カナダのニューファンドランド・ラブラドール州レッド・ベイ、大西洋岸のラブラドール地方とニューランドランド島の間のベルアイル海峡の北部に位置します。トロントやバンクーバーなどの大都市からはかなり距離があるので、飛行機を乗り換えてニューランドランド・ラブラドール州のセント・ルイスのフォックスハーバー空港やシャーロットタウン空港を利用すると便利です。空港からレッドベイへは、車かツアーとなります。トランス=ラブラドール・ハイウェイと呼ばれる510号線を2時間半から3時間ほどドライブ。また、ニューファンドランド島からフェリーでアクセスすることもできます。

レッドベイのバスク人捕鯨基地のおすすめポイント

海底に沈む遺物に歴史を感じる

バスク人によって70年もの間捕鯨基地として使われたレッドベイ。一帯には製油装置や桶といった遺物のほか、波止場、墓地などの遺構が残されています。また、海中には難破船やクジラの骨などの遺物も見られ、捕鯨をしながらこの地で暮らしたバスク人の生活の様子を知ることができます。

1978年から1984年にかけて海中に沈む文化財の引き上げ作業が行われ、バスク人のガレオン船3隻と小型の舟艇が4隻、そして16世紀の捕鯨船1隻が引き上げられました。現在でも4隻の船体が海底に残されており、そのうちの1隻スペインのガレオン船「サン・フアン号」からはクジラの脂を運ぶために使用されたとされる複数の樽が見つかっています。レッドベイからボートに乗ってサドル島に渡ります。

レッドベイの歴史を学ぶ

世界遺産レッドベイのバスク人捕鯨基地を訪れる際には、レッドベイの歴史を学ぶことのできる施設「Right Whale Exhibit Museum」も忘れずに訪問しましょう。ここはレッドベイを訪れる観光客向けに作られたオリエンテーションセンターです。一帯で発見された難破船やクジラの骨などを展示しているだけでなく、フレンドリーで知識豊富なスタッフによる説明を聞くこともできます。

Right Whale Exhibit Museumはとても小さな博物館ですが、実際に使用されていた船やクジラの骨格は迫力満点!展示品には写真付きの丁寧な説明もあり、レッドベイの歴史についてしっかりと学べること間違いなしです。捕鯨の歴史を知る上で重要な世界遺産、レッドベイのバスク人捕鯨基地。博物館とセットで訪問して知識を深めましょう!

◎まとめ

カナダが誇る世界遺産、レッドベイのバスク人捕鯨基地を紹介しましたが、いかがでしたか。約500年前の捕鯨基地の様子が良い状態で残されたレッドベイ。歴史を物語る遺跡だけでなく、世界遺産の対象の一部が水中にある点も魅力ですね!悠々と海を泳ぐクジラに出会える可能性もある世界遺産をぜひ、訪れてみてくださいね!

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