名称:SGang Gwaay
住所:Ninstints, British Columbia, Canada
公式・関連サイトURL:http://whc.unesco.org/en/list/157
カナダのブリティッシュコロンビア州西部にある無人島「スカン・グアイ」。かつてカナダの先住民・ハイダ族が暮らしていた島です。ここには当時のハイダ族の暮らしや文化がそのままの姿で残されている、貴重な世界遺産です。白人の入植によってもたらされた疫病によって島のハイダ族は壊滅状態となり、19世紀末ごろには島は廃墟となりました。朽ちかけたトーテムポール群をはじめ、修復が行われない無人島は「朽ちていく世界遺産」とも呼ばれています。この記事ではそんな世界遺産「スカン・グアイ」の魅力をご紹介します。
目次
朽ちてゆく世界遺産!カナダのスカン・グアイの魅力をご紹介します
スカン・グアイとは?
世界遺産スカン・グアイは、カナダのブリティッシュコロンビア州西部にあるクイーン・シャーロット諸島にある無人島です。スカン・グアイは国定史跡でもあるグアイ・ハアナス国立公園の最南端に位置します。グアイ・ハアナス国立公園は1993年に、この地域を保護するためにカナダ政府と先住民族の間で協定が結ばれ設立されました。クイーンシャーロット島は北島と南島を中心に南北300キロメートルに渡り大小異なるおよそ1800の島々から構成されています。
世界遺産スカン・グアイはカナダ・ブリティッシュコロンビア州クイーンシャーロット島に居住する先住民族ハイダ族のが暮らしていた集落です。今からおよそ1万年前にカナダの先住民族ハイダ族はこのクイーン・シャーロット島へ来たといわれています。彼らの文化・芸術であるトーテムポールを始め様々なハイダ族独自の文化が生まれた場所でもあります。
当時のハイダ族の伝統的な文化や芸術を学べる貴重な例としてスカン・グアイは1981年に世界遺産に登録されました。スカン・グアイが世界遺産として登録される際に、ハイダ族の人々は「自然のままであること、自然の摂理に従うこと」を要望しました。そのため一般的な世界遺産とは逆に、意図的に修復・復元などが行われない「朽ちていく世界遺産」となりました。
スカン・グアイへのアクセス
カナダ・ブリティッシュコロンビア州にある世界遺産スカン・グアイへのアクセスは日本の成田空港からカナダのバンクーバー空港までエアカナダの直行便を利用して約9時間のフライトです。
バンクーバーからはモースビー島サンドスピットの国内線の乗り継ぎます。フェリーを利用して、グラハム島スキッドゲートへ向かいます。世界遺産スカン・グアイがあるグアイ・ハアナス国立公園へは、ボート、カヤックなどで向かうことができます。
スカン・グアイのおすすめポイント
ハイダ族の歴史
1700年代後半にヨーロッパ人が島へ入植。ハイダ族の間で毛皮交易が開始されると、ヨーロッパ人との接触から天然痘が島に持ち込まれました。当時多くのカナダ先住民族が、天然痘に苦しんだといわれています。その中でも島で暮らすハイダ族は他民族に対する免疫が弱く、特に被害が大きかったそうです。多くのハイダ族の人々が命を落とし、島を離れていく結果となりました。この頃著しく島の人口が減少している記録が残されています。そしてハイダ族の村は放置され、廃墟と化していきました。
放置された村やトーテムポールは世界遺産に登録された後も、修復されることなくただ朽ちていきます。これはハイダ族の精神を尊重した、意図的なものです。ハイダ族はトーテムポールなどを保護するためにスカン・グアイから他の場所へ移すことを拒みました。今もハイダ族によって自然に還っていくスカン・グアイは見守られています。
トーテムポール
カナダの先住民族ハイダ族の象徴ともいえるトーテムポール。ハイダ族はお墓としてや家の前に立てるものとして、またお祭りの際の記念としてトーテムポールを作っていました。世界遺産スカン・グアイには、ハイダ族の人々が作った当時の姿のままのトーテムポールが残されています。先住民族によって作られたトーテムポールは国立公園として保護される以前にヨーロッパ人に盗まれてしまったり、保護のために移動されたりして当時のままの姿を見ることはなかなかできません。
スカン・グアイでは朽ちていくまま自然のままの姿をしたトーテムポールを目にすることができます。スカン・グアイのトーテムポールはこの先数十年ほどで完全に朽ち果てるといわれており、今を逃すと永遠に失われてしまう貴重な世界遺産。ちなみに国立公園内に年間で入園可能な観光客数は制限されています。そして訪れる人々には、ハイダ族の文化や思想を理解するオリエンテーションへの参加が義務付けられていますよ。
◎まとめ
カナダの世界遺産「スカン・グアイ」の魅力についてご紹介しました。スカン・グアイはカナダの先住民族ハイダ族のスピリットまで感じることができる世界遺産といえます。今しか見ることのできない、朽ちて自然に還っていく世界遺産スカン・グアイへぜひ足を運んでみてくださいね。