名称:Parc national de Miguasha
住所:231 Route Miguasha Ouest, P.O. Box 183, Nouvelle (Québec) G0C 2E0, Canada
公式・関連サイトURL:http://www.sepaq.com/pq/mig/
カナダ東部のケベック州に「ガスペジー(Gaspesie)」と呼ばれる半島があります。ここはフランスのカナダ植民地化が始まったとされる場所で、昔ながらの街並みが色濃く残っているのが特徴です。このガスペジー半島の一部は自然保護区にもなっており、「ミグアシャ国立公園(Parc national de Miguasha)」として1999年に世界遺産にも登録されました。
ミグアシャ国立公園は別名「化石の宝庫」と呼ばれており、約3億7000万年前のデボン紀の化石が多数発掘されたことで有名です。雄大な自然の中で何十億年にもおよぶ魚類の進化の過程を観察できる場所とあって、化石や自然が好きな方には特におすすめの世界遺産となっています。
それでは、カナダの世界遺産「ミグアシャ国立公園」の魅力をたっぷりとご紹介しましょう。
目次
カナダの世界遺産・ミグアシャ国立公園でデボン紀の化石を観察しよう!
ミグアシャ国立公園とは?
出典: Dennis Jarvis/Flickr (CC BY-SA 2.0)
かつて赤道近くにあったとされるこの土地には、温暖な気候と豊かな自然に恵まれていたことから様々な生物が生息していました。特に河口付近にはたくさん魚類が生息していたのですが、水中で変化が起こると同時にその環境に適応するため、魚たちは徐々に細胞分裂を繰り返し進化して行ったと考えられています。
1999年に世界遺産に登録された「ミグアシャ国立公園(Parc national de Miguasha)」は、魚類が四肢動物へと進化するデボン紀の化石が多数発掘された場所です。中でも水中から初めて陸上に進出し四足歩行をしたと言われている「ユーステノプテロン」の化石に至っては、いくつも発見されたそうですよ。
ミグアシャ国立公園が「化石の宝庫」と呼ばれるようになったのは、シャルール湾(Baie des Chaleurs)の断崖に残る約3億7000万年前の地層「エスクミナック層」があるからなんです。この地層からは魚類や脊椎動物の化石21種類と植物10種類の化石が発見されており、どれも非常に状態が良いことから生物学者や地学者たちの注目を集めています。
公園内にある「自然歴史博物館」には、このエスクミナック層で発掘された化石がたくさん展示されているのでぜひ足を運んでみてください。化石の中には血管の跡まで鮮明に見えるものもあるそうですよ!これは見逃せませんね。
ミグアシャ国立公園へのアクセス
ミグアシャ国立公園を観光する場合は、ケベック・シティーを拠点にすると良いでしょう。公園まで行ける公共交通機関はないため車のレンタルは必須。ケベック・シティーからの所要時間は、約6時間となります。
長時間の運転が不安な方には、空路を利用してガスペ空港まで行きレンタカーでガスペ半島を周るのがおすすめです。便数は1日1~2便と少なめですが、90分程でガスペに到着することができますよ。
ちなみに、ガスペ半島の主要観光スポットは、どれもハイウェイ132号線沿いに点在しています。
ミグアシャ国立公園のおすすめポイント
◆脊椎動物の化石たち
出典: James St. John/Flickr (CC BY 2.0)
デボン紀を代表する魚類をいえば主に8種類が有名ですが、そのうちの6種類が「ミグアシャ国立公園」から化石として出土しています。最初の化石は1842年にエイブラハム・ゲスナー(Abraham Pineo Gesner)が発見したもので、「魚類の時代」と呼ばれるデボン紀の化石は革命的な発見とも言われたのだとか。
併設されている「自然歴史博物館」には、顎骨を持たない「無顎類(むがくるい)」や甲殻を持つ「板皮類(ばんぴるい)」、お腹と背中の部分に硬い棘がある「棘魚類(きょくぎょるい)」、そして脊椎を持たない「無脊椎動物」などたくさんの魚類の化石が展示されています。中には立体的な状態で見つかったり、糞や血管、神経の痕跡などもよく見られるほど綺麗な状態で見つかったのものあるそうですよ。
脊椎動物の化石は地球上の70ヶ所以上で見つかっていますが、種類の多さや、保存状態が良さに関してはこのミグアシャ国立公園がトップクラス!デボン紀の化石が見られる唯一の世界遺産なのです。
◆自然あふれる絶景
出典: jean francoeur/Flickr (CC BY 2.0)
魚類の進化をずっと見守り続けてきたのが、シャルール湾と豊かな森林です。化石を観察しに訪れるのも良いですが、せっかくなので美しい景色も堪能しちゃいましょう。おすすめは日が落ちる夕暮れ時。辺り一面がピンクやオレンジに染まる様子は、思わず写真に収めたくなるような絶景ですよ。どこまでも続く空とビーチのコントラストが、よりミグアシャ国立公園の魅力を引き立ててくれます。
また、広大な面積を持つ公園内ではキャンプや釣り、狩猟、カヌー体験、ハイキング、クロスカントリーと一年中アクティビティーを楽しむことが可能。クロスカントリーに必要なスキー板と靴は無料でレンタルできるので、手ぶらで遊びに来ても安心です。日本ではなかなか体験できない雪道のハイキングを楽しんでみませんか?夏とは違ったミグアシャ国立公園の姿もまた絶景ですよ。
◎まとめ
日本ではあまりメジャーではない世界遺産「ミグアシャ国立公園」ですが、豊かな自然と魚類の進化の過程をこの目で見ることができるとても貴重な場所です。ここで発掘された化石はどれも形が鮮明なので、小さなお子様でもきっと楽しめるでしょう。
昔ながらの伝統や生活様式を残すガスペの街並みにも注目してみてくださいね!