フランス - アビニョンについて

アビニョンは、フランス南東部に位置する都市で、ヴォクリューズの県庁所在地です。12世紀末に共和制の都市国家となりますが、直ぐにプロヴァンス伯領やトゥールーズ領となりました。1426年に大司教座が設置され、1303年にはアビニョン大学が開かれています。1377年にグレゴリウス11世がローマに戻るまでは、7代にわたり「アビニョン捕囚」が続きました。この間、実質的にキリスト教会の首都となっており、教皇庁の宮殿や大司教館などが設置されています。大司教館はプティ・パレ美術館となっているほか、当地は世界遺産に登録されています。当地で有名なサン・ベネゼ橋は、世界的に有名な童謡の題材にもなりました。

アビニョンは石畳が美しい、中世都市の面影が色濃く残っています。中でも「教皇庁」(パレ・デ・パプ)は殆どの観光客が訪れる人気スポットです。パレ・デ・パプがある中心街は、四方を城壁で囲まれており、その外側に住宅地が広がっています。中心街は石畳の道が縦横無尽に通っており、周囲の建物も中世の趣を残しています。通りではアコーディオンなどが流れ、古き良きフランスのたたずまいを感じられます。パレ・デ・パプの急坂を登ったところには、「ロシェ・デ・ドン公園」があります。ローヌ川の雄大な自然を楽しめるほか、当地の豊かな緑を堪能できます。遠くにそびえる山や街、ヴィルヌーヴ・レザヴィニョンも見ものです。当公園は市民の憩いのスポットでもあり、芝生広場で思い思いに寛ぐ光景が見られます。

「プラス・デ・シャテーニュ」もパレ・デ・パプの近くにあるスポットで、景色の美しさが魅力です。観光客が絶えることがなく、レストランやパン屋などお洒落なお店が揃っています。初夏になると緑が生い茂り、絶好の休憩スポットとなります。ストリートミュージシャンも多く、美しい調べを奏でます。「サン・ピエール教会」は1835年に建てられた、ゴシック様式の教会です。当教会はプラス・デ・シャテーニュの近くにあり、静かな穴場のスポットです。一定時刻になると鐘が鳴り響き、厳かな気分に浸ることができます。ミサが行われる時は、美しい讃美歌が外まで聞こえてきます。サン・ベネゼ橋が架かるローヌ川は、広々とした川幅が特徴です。川辺は散策コースとなっており、地元の住民がランニングなどに興じます。

「時計台広場」はアビニョンサントル駅からアクセスできる、人気の観光スポットです。暖かい季節にはカフェやレストランがテラス席を設け、市民や観光客の憩いのスポットになります。時計台広場の奥には、アビニョンで人気の「オペラハウス」があります。当場所ではオペラの他にも、舞台やコンサート、ダンスなどが開催されています。内部の天井が高く、内装は豪華なクラシカル様式となります。「プラス・ピー」には有名な屋台市場のレ･アルがあります。広い広場では絶えず演奏がなされており、火曜日と木曜日には蚤の市が開催されます。地元の人にとって馴染みのある場所で、観光客も耐えることがありません。蚤の市には本やレコード、アクセサリーなどが並べられます。骨董的な価値の品も少なくないので、意外な掘り出し物に出会えたりします。レ・アルは緑に覆われた外観が特徴で、独特な趣が醸し出されているも魅力です。

レ・アルの裏を進むと、「タンチュリエ通り」に出くわします。運河を擁する当通りは、物静かな雰囲気が漂います。のんびりと散策することができ、癒しスポットに数えられています。かつては辺り一帯が染め物屋街だったため、独特な雰囲気が残っているわけです。映画のロケ地としても有名で、運河沿いにお洒落なレストランやカフェなども店を構えています。見どころの一つが昔ながらの水車で、現在も稼働されているのも見ものです。「アングラドン美術館」はレピュビュリック通りの近くにあり、ゴッホやドガなどの名作を揃えています。建物はこじんまりしていますが、印象派やエコール・ド・パリの名画も展示されています。

アビニョンへのアクセス方法としては、在来線やTGV、バス路線が利用できます。在来線ではアビニョンに近い駅にアクセスできます。TGVの場合は街から少し離れたTGV駅に着きます。そしてバス路線では在来線の駅に隣接するバスターミナルが利用できるわけです。マルセイユ・プロヴァンス空港からのアクセスでは、TGVの利用が便利です。因みにバスターミナルの名称は「PEMアビニョン」となります。当地の気候は、夏は暑くて冬は寒いのが特徴です。冬にはミストラルという寒風が吹くので、底冷えがします。8月から9月にかけては、朝晩でも冷え込みます。当地でホテルに宿泊するなら、ローヌ川沿いがおすすめです。観光アクセスが良好で、見晴らしの良さも理由の一つです。