フランス - カストルについて

カストルは、フランス南部のオクシタニー地域圏タルヌ県の街です。この地は著名な政治家であるジャン・ジョレスの生誕地です。近年では、フランスラグビー界で何度も優勝した、ラグビーチーム「カストル・オランピック」の本拠地としても知られています。また、夏季には音楽や演劇などの様々なイベントが開かれ、多くの人を惹きつけます。こちらでは、そんな魅力的な都市カストルをご紹介します。

3世紀ごろ、最初のキリスト教宣教師がやって来て修道院を建てたのがカストルの街の始まりです。以降、スペインのサンティアゴ・コンポステーラへの巡礼の中継地点として、重要な宗教都市として発達しました。

宗教戦争が続き、1595年、アンリ4世が公正な裁きをするために、カトリック教会とプロテスタント教会の裁判員で構成される判事会を設立しました。この時期は、まさにカストルのルネッサンス時代で、美しい大邸宅が作られ、文学アカデミーには地元の文学者が名を連ね、羊毛、皮革、紙といった工業の発展にもつながりました。

地中海と中央山塊の端に位置するカストルは、海と山の両方の影響を受けた独特の気候です。冬場には付近の同じ標高の土地よりも寒く、夏場には30度を超える気温となります。時には35℃を超える気温はフランスとしては非常に珍しく、地中海性気候の影響で空気は乾燥した状態になります。また、降水量が多いこともこの地の気候の特徴で、春から冬にかけて雨は多く、特に5月は雨の季節です。
風が強いことも特徴で、年間を通じて強風が吹きます。秋には100㎞/ｈの暴風が吹き荒れることもあるため、注意が必要です。

中央山塊の南端に位置する人口約41万人のこの都市の面積は、わずか98です。夏のフェスティバルが開かれるシーズン中は、毎晩2000人ちかくの人々が訪れるため、小さな街ではあるものの、様々な交通手段があります。
カストル・マザメ空港は、パリからをはじめとして国内線の発着空港です。市内からは車で10分ほどと、アクセスのしやすい空港です。鉄道駅もあり、高速道路も整備されています。

コンパクトな街を散策するには、カストル一大きい教会、サン・ブノワ大聖堂がランドマーク的存在です。それでは、この街の観光スポットをいくつかご紹介しましょう。

・サン・ブノワ大聖堂
この大聖堂は、9世紀にベネディクト会によって建てられた修道院の跡地に建てられました。宗教戦争などを経て、2度にわたり破壊されましたが、18世紀に再建されました。現在では9世紀の創建当時のものは鐘だけしか残っていませんが、美しいバロック様式の大聖堂は、1953年に歴史的建造物に指定されました。

・ノートルダム・ド・ラ・プラット教会
バロック様式のオレンジ色の屋根のこの教会は、この街で一番古い教会です。心地よいカリヨンの音色が、街中でも聞こえてきます。階段を上って上部のカリヨンのある場所を見学することも可能です。

・ゴヤ美術館
市庁舎の２階にあるゴヤ美術館は、スペインの宮廷画家として世界にその名をはせたゴヤの作品や、スペイン絵画を集めた美術館です。規模は決して大きくはありませんが、ゴヤの最大の作品と言われた「フィリピン臨時政府」などの作品や自画像、版画が展示されています。フランス国内ではルーブルに次ぎ、スペイン絵画のコレクションを誇る、一見の価値のある美術館です。
窓からは、有名なル・ノートルの手による美しいフランス庭園「エヴェシェ庭園」が見えるので、是非眺めを楽しんでください。

・ジャン・ジョレス博物館
ジャン・ジョレス広場からすぐのところにある、この博物館は、フランスの歴史において重要な人物、ジャン・ジョレスのゆかりの品々が展示されています。
ジャン・ジョレスは第一次世界大戦に反対しただけでなく、フランスの政教分離の草案を執筆するなど、すぐれた政治家として歴史にその名を残しました。
手書きの文書や著書など、哲学の教師でもあったジョレスの人となりを知ることができます。

・シドーブル
中央山塊に位置するこの地には、シドーブルと呼ばれる花崗岩の奇石群が見られる場所があります。街の中心から少し離れていますがツアーもでています。散策の後にピクニックをするのもいいですね。お子様連れにもおすすめです。

カストルに滞在するなら、街の中心部がおすすめです。周りはレストランやお店がたくさんありますし、観光スポットへもすぐ行くことができます。アグー川沿いのこの街独特の風景をポン・ヌフより眺めたり、街を散策するにも便利です。

カストルは決して危険な街ではありませんが、やはり日本と同じというわけにはいきません。貴重品は肌身離さず持つ、現金はなるべく持ち歩かない、荷物を置いて席を立たないなど、最低限の事には気を付ける必要があります。安全に留意して、楽しい旅にお出かけください。