カナダ - オタワについて

オタワ/カナダは、かつてインデイアンのウタウエ族の土地として知られていました。1613年にフランス人の探検家が訪れていますが、1800年まではオタワに定住者はいませんでした。最初の定住者はアメリカ人フィルモンライト一族で、オタワ川のハル側で滝を利用した製粉所や製材所を営んでいました。彼は1806年に切り取った木材を角材にしてケベックまで筏に組んで運んでくるといったことを仕事にしました。これが林業の始まりです。英米の1812年戦争では、セントローレンス川での航行が危険となったためモントリオールからアッパーカナダの軍隊への連絡や物資の供給のために、運河の開削が進められました。1826年にリドー運河が軍の技師ジョンバイ中佐によって着工され、1832年に完成しました。オタワと呼ばれる前は、バイ中佐の名をとってバイタウンが町の名前でした。1850年代はモントリオール、トロント、キングストン、ケベックなどの都市が新しい連邦カナダの首都の座を争いました。その論争は大変に厳しいものでしたが、ヴィクトリア女王はバイタウンを選び首都にふさわしい名称として、急遽オタワという名前に変えました。ですがその選択には誰もが満足はしませんでした。トロントの新聞記者は、『最も北極点に近い木材村』と書きました。しかしアメリカの新聞は、オタワの有利な点を認めて『侵略者の攻撃を避けるために好都合な地である。なぜならそこを見つけるためには、大変につらい行程の末、森の中で行方不明になってしまうから』と皮肉っていました。1859年に工事が始まった国会議事堂は1867年には完成し、新しい連邦カナダの象徴として今日に至っています。ウエリントン通りから接近できるパーラメントヒルは、名前は丘ですがこの呼び方は誤った印象を与えてしまいます。実際の国会議事堂は、オタワ川を見渡す切り立った断崖に建っていて、そこからオタワ川を見下ろさなければ丘であることがわかりません。このヒル一帯は、1859年に英国の軍隊から購入したことで知られています。当時は兵舎が建っていて、運河建設のために使用されていました。国会議事堂としては1866年に始まり完成は1867年です。現在の3つのゴシック形式の砂岩でできた建物は、すべてが建設当時のものではありません。1916年の火災によって中間の建物が破壊されてしまいまい、再建されたのは1920年です。その中央に建つピースタワーは、第一次世界大戦で戦死したカナダ人の慰霊塔として、1927年に増築されたものです。議事堂の前にあるセンテニアルフレームでは、その中央に火が灯っています。連邦結成から最初の100年を記念して、1966年のニューイヤーイヴの真夜中から燃え続けているのです。オタワは、空港から市内まで車で約20分です。市内交通はバスだけですが、主要なところは網羅しています。タクシーは流しが少ないので、ホテルの前で捕まえたほうがいいでしょう。オタワは首都ということもあり博物館が多く、その内容が大変に充実しています。国立自然博物館、カナダ戦争博物館、通貨博物館、国立科学技術博物館、国立航空博物館などが代表的なところです。オタワ川の対岸にあるケベック州のハルには、国立文明博物館があります。ここではカナダの歴史や文化に関した資料が展示され、そのほとんどが実物大というのが特徴で先住民族のコーナーが充実しています。カナダの文明史が、音と映像によっても理解することができるのです。リドー運河は、オタワからオンタリオ湖のキングストンまで約200キロに渡る運河です。歴史的に重要な遺産としての運河であり、現在はクルーズ用になっています。両岸はサイクリング道路と歩道で、夏はジョギングや散歩を楽しむ人も多くいます。アッパーカナダヴィレッジは、1860年代のオンタリオの生活を反映している開拓村で、村内では19世紀の鍛冶屋や印刷所がそのまま使われ、パンやチーズが当時の方法で作られているのです。かつてのオタワは食事情が悪く、外食は川向こうのハルへ出かける人も多くいましたが現在では政府関係の社交のための高級レストランも多くなり、ファーストフードやカフェ、レストラン、学生が利用する庶民的なお店もたくさんできてきました。議事堂から徒歩で行けるリドー・センターや歴史のあるバイウオードマーケット、そして歩行者天国となっているスパークス・ストリート・モールがショッピングの中心となっています。