カナダ - チャーチルについて

チャーチルは、カナダ・マニトバ州の北部にある街です。ラブラドル海へと続く広大なハドソン湾を北東に臨むところに位置しており、西には都市名の由来となったチャーチル川が湾に向かって流れています。秋になると内陸から沿岸へとホッキョクグマが移動する姿を見られるため、「世界のホッキョクグマの首都」の異名を持ちます。チャーチルの面積は、東京都世田谷区より少し小さい53.96平方キロです。人口約900人は、主にエコツーリズムを特色とする観光業に従事する他、街の内外の住民の健康的な生活をサポートするチャーチル・ヘルス・センター、極北の自然環境や機構を研究する北部研究所などで勤務しており、小規模ながら他にはない個性を持つ街です。厳しい寒さを特徴とする大陸性気候をしており、1年を通じて降雨量が少なく夏と冬や昼夜の気温差が大きくなっています。1年を通じて気温が低く夏である7～8月でも平均最高気温が18度前後と涼しいです。また10～4月までは最高平均気温がマイナスになることがほとんどで、真冬である12～3月まではマイナス13～21度まで下がるため厳寒という表現が最適でしょう。ベストシーズンはベルーガの群れが現れる7～8月、オーロラやホッキョクグマの移動する10～11月になります。チャーチルのランドマークは、砦跡のケープ・メリーです。街から北へ延びるケープ・メリーロードの突き当たりにチャーチル川へ向けて城壁の跡が残されており、古く錆びた大砲と砲台を見学できます。対岸にあるプリンス・オブ・ウェルス・フォートはハドソン湾を守り、ケープ・メリーはチャーチル川への侵入を防ぐために建設されました。7～8月になると川を泳ぐベルーガの大群が現れるため、絶好の観察ポイントとなっています。是非訪れてほしい観光スポットが、地域の歴史を詰め込んだイサニタク博物館です。現地で生活していた先住民にまつわる文化財や資料を展示しており、街ができる前の歴史も知ることができます。古くは紀元前1700年までさかのぼるほど充実しており、世界で屈指のイヌイット博物館といえるでしょう。展示物としては先住民らが使っていた生活家具や狩り道具、はるか昔の石器類や地域で生息している動物の剥製、工芸や彫刻などの先住民アートも見学できます。チャーチル・ノーザン・スタディーズ・センターは、エコツーリズムの拠点です。施設では極北研究だけでなく、あらゆる方に向けて教育機会を提供しており、施設内には極北を学ぶプログラムとして北極圏の森林と海洋やツンドラ環境を学ぶ基礎的なコースと、大学クラスの知識を学ぶスチューデントコースがあります。施設内にはホテル施設も備えており、周囲のハイキングもできます。いずれも有料サービスですが、幻想的なオーロラの見学機会を与えてくれるエコツーリズム施設です。施設を利用する際には、香りの強い化粧水や香水などを利用することは控えてください。ミス・ピギーの飛行機事故跡も見学できます。南北に伸びる空港滑走路の北、約1kmのところにC46飛行機の残骸があります。1979年11月13日午前9時30分、離陸直後にエンジントラブルが発生、空港に戻ろうとしましたが、起伏の激しい地表に着陸してしまいました。幸いなことに3人の乗組員は、わずかに負傷する程度ですみました。当時の残骸が撤去されないまま残されており、観光スポット化しています。C46の内部などを見ることができますが、50年以上経て老朽化が進んでいるため注意してください。チャーチルで最も人気を集める観光が、日帰りのツンドラ・バギー・アドベンチャーです。極北の起伏ある道路に対応した40人乗りの大型特殊バギーに乗り、手つかずのまま自然が残されているわすワプスク国立公園内を見学できます。ツアーでは、家族でゆうゆうと移動するホッキョクグマや車を眺める好奇心旺盛な表情すらもしっかりと観察できるほどです。日帰りツアーは1年のうち7～8月、10～11月に行われており、季節ごとに違った感動を呼び起こすことでしょう。7～8月のツアーでは、僅かに植生する草木とい荒々しい地表を単独で行動するホッキョクグマ、真っ白な毛をしたホッキョクギツネ、鋭利な角を持つカリブーなどが姿を見せます。10～11月は雪が降り積もる景色の中、耳をツンと立てたホッキョクノウサギや前身が白いシロハヤブサなどと出会えます。この他にも数日に渡るパッケージツアーをも用意しており、目的に合わせて利用できるのです。