カナダ - カネルについて

クイネルはカナダ南西部の太平洋岸に位置するブリティッシュ・コロンビア州に属する町です。ケイネルはブリティッシュコロンビア州の中でも北中部に位置しており、古来から現地人が漁業などで生計を立てていた寒村でした。現地人たちは、「ユーダ・ユケル」（現地語で水上で早朝にボートで旅する人）と自称していたほどで、周辺の河川などで漁業を古来から営んできたようです。もっとも一般的には隣接した地域に居住していたセカネー族が、彼らクイネル族に名づけた「キャリアー」（carrier）のほうが一般的に知られていました。
クイネルがあるブリティッシュコロンビア州は、カナダ西部に属し西を太平洋に東をロッキー山脈にかこもれています。東はアルバータ州、南は国境を挟んでアメリカのワシントン州・アイダホ州・モンタナ州に接しています。州北部の三分の二の地域とロッキー山脈にはほとんど人が居住していません。州の南部の沿岸地域は、太平洋を流れる黒潮の影響で温暖気候に分類され降水量も多いようですが、クイネルなどの他の地域は亜寒帯気候に属します。ロッキー山脈がはしっていることから、森林面積が豊富で、6000万ヘクタールに及び州の三分の二の面積に相当するほどです。森林を中心に形成される自然は多様性に富み、豊かな生態系が息づいています。
ケイネルのあるブリティッシュコロンビア州は、食料や木材・鉱物資源が豊富なことで知られていますが、ヨーロッパの探検家が訪れたのはようやく18世紀の中頃になってからのことです。彼ら欧羅巴の探検家はラッコ毛皮貿易を求めて、太平洋沿岸から訪れるようになりました。1778年にはジェームズクック船長が、北極海から太平洋経由でアジアに向かう経路の開拓をしようと、この地域に到達し、その後にイギリス人入植が続きますが、1513年以来、スペインの太平洋沿岸支配宣言を交付していた経緯からイギリスと衝突し、交戦状態にはいります。その後1794年には、ヌートカ条約締結で現在のブリチッシュコロンビア州はイギリスの支配権が確率することになったのです。
その後は太平洋沿岸から内陸部の航路開拓への関心が高まり、1808年にはサイモンフレーザーが太平洋からの航路を求めて、現在のフレーザー川を探検します。探検目的はモントリオールに本店を構えた北西会社の依頼に基づくもので、実際にはフレーザー川は航路には危険すぎることが判明したものの、多数の先住民族と交易関係を取り結びロッキー山脈以西で毛皮交易の礎をくずことになりました。祭文・フレーザーは自分たちが発見した最初の支流を、事務官ジェームズ・モーリス・クイネルにちなんでクイネルと名づけました。その後はフレーザー川とその支流との分岐点で発達したコミュニティーもクイネルの名まえで呼ばれることになります。
その後の1857年にはフレーザー川で金鉱が発見され、ゴールドラッシュが到来し採掘権を求めて人々が殺到しました。1859年になるとクイネルにまで採掘者の波が押し寄せています。1861年にはウィリアムズクリークで有望な金鉱が発見されたことで、さらにゴールドラッシュブームに拍車がかかり、さらに町尾の規模は拡大しバーカービルの町が誕生することになりました。ゴールドラッシュのピーク時には東海岸のシカゴ以西、西海岸のサンフランシスコ以北で最大規模の人口を誇ったと評されるほどでした。植民地政府は採掘を支援するために、より安全で安価に輸送する手段を確保するべく、「カリブワーゴンロード」の兼摂を推進します。建設当初はこの道は、リルエットからソーダクリークを結ぶまでの距離で、バーカービルに到達するにはクイネルで船便に乗り換える必要がありました。このような地理的関係からクイネルは、金鉱への主な経由地・集積地となり、1863年には測量が終了し企業も人も増えることになります。
このようにクイネルは各地から富を求めてコミュニティが形成されたことから、創設当初から多文化コミュニティとしての性格を色濃くしています。先住民は1860年の天然等の大流行で人口が激減したこともありますが、狩猟や最終でテリトリーを移動する生活様式を継続しつつも入植者と交易の機会をもつことも多くありました。他方で1860年には中国人労働者がクイネルのバーで働いていたようです。それらの店舗は現地で栽培される農産物などの販売も取り扱うようになり、現在の色とりどりの花などを目にすることが出来る現在のケイネルの原風景になりました。