カナダ - マドレーヌ諸島について

マドレーヌ諸島は、カナダ東部にあるセントローレンス湾に浮かぶ12の島嶼からなります。カナダ・ケベック州に属しているため公用語はフランス語であり、12の島嶼の中で最大規模を持つカップ・オ・ムール島が政治行政の機能が集中します。それぞれの島は浅瀬によって僅かにつながっているのも特徴です。マドレーヌ諸島には無人島も含めて12島あり、そのうち住民が住む島は8つです。総面積は東京大田区3つ分よりも広い195平方キロ、約1万3000人が生活しています。主に島内にある鉱山や凍結防止に使われる道路用塩生産などに加えて伝統的な漁業が主要産業となっており、最近では観光にも力を入れているため、内外から多くの観光客が訪れるのです。人口が少ないことからカップ・オ・ムール島の中心街も大空を遮る建物はほとんどなく、美しい景観が広がります。マドレーヌ諸島の気候は、1年を通じて穏やかです。カナダ東部のガスペジー半島と同じ海洋性気候の特徴を持ちますが、セントローレンス湾に浮かぶという位置関係から穏やかです。四季がはっきりしており、春は肌寒さを感じます。夏の平均最高気温は20度を少し上回る程度と涼しく、秋も過ごしやすくなっています。12～3月までは平均最高気温が0度を下回ることもあるため、かなり肌寒いです。ベストシーズンは5～10月の過ごしやすい季節になります。島のランドマークといっていい存在が、アンセ・アラカバンの灯台（Pharedel'Anse-a-la-Cabane）です。島嶼の南部イル・デュ・アーヴル・オーベール島南端に位置しており、日夜セント・ローレンス湾を航行する船を見守っています。鮮やかな真紅を施した尖塔部分とパールホワイト外壁のコントラストが魅力的な灯台は、高さ17.1mあり、青空を背景に美しく映えます。島民の相当数が1855～1880年の間に近辺で難破した船の船上員の子孫と言われており、欧米をつなぐ航路の難所として知られていました。1870～71年に初代にあたる灯台が建設され、2世代目にあたる現在の灯台は1960年代に建てられました。諸島には全部で5つの灯台がありますが、最も美しい灯台としても知られているのです。アーヴル・オー・メゾンは島嶼を代表する美しい景観が広がります。島嶼を走る199号線に沿って北へ移動すると東に白い砂浜のある海岸が見えてきます。この海岸は南北に約20km以上もあり、セントローレンス湾の雄大さを実感できるのです。また島の西側も美しい海岸が延びており、自然が織りなす荒々しく美しい光景を観察したり、海から穏やかな風が頬を撫でます。夏になると内外から訪れた観光客が、ウィンドサーフィンやシーカヤック、カイトサーフィンで満喫するエリアでもあります。南東部にあるラ・プティート湾の北にあるカフェ・デ・ラ・グラーブは、島民の最初の生活拠点になった場所であるため、島の歴史上とても大切な場所です。伝統的な建造物の中にカフェやショップなどが軒を連ねており、島で最もにぎやかな場所の1つです。いずれの建物も石造りで小ぢんまりとしており、とても素朴な雰囲気を感じさせます。エリア自体は狭いですが、すぐ南にはヨットハーバーがあるため、夏になるとマリンスポーツを楽しむ人達で賑わいます。島を訪れたら必ず訪れてほしい観光スポットが、海の博物館（MuseedelaMer）です。ラ・プティート湾の北にある博物館には、島の歴史や文化にまつわる紹介や説明、島民らが使用した家具や食器、漁業具に加えて写真や住宅模型などを収蔵しており、かつての生活に思いを馳せられます。また2008年5月に挫傷したマッコウクジラの骨格が展示されており、その骨格標本の数は215個に及びます。大の大人が3人がかりで3日かけて解体しただけあって、その大きさに驚くかもしれません。ピエ・ドゥ・ヴェンチーズ工場も見学できます。漁業を主要産業とする島が、深刻な不漁に陥った1998年に建設され島民の生活の助けとなりました。工場見学ツアーを受け付けており、ガラス越しにチーズの製造工程を見学でき、知識豊富なスタッフが対応してくれます。ツアーでは酪農場に放牧している乳牛の見学や品種を搾乳など詳しく知る機会となっています。またガイド付きツアーにはチーズの試食も可能、熟成したチーズなどを販売しておりお土産に人気です。農場に入る前にはブーツを履くか、事前に購入しなければなりません。