イギリス - スタンリーについて

スタンリーはイギリスのフォークランド諸島の首都に当たる都市です。別名でポート・スタンリーとも呼ばれ、東フォークランド島のポート・ウィリアムという小さな入り江の奥に立地しています。ただ、フォークランド島の領有権については、アルゼンチンとの間に対立も存在し、アルゼンチン側はスタンリーのことをスペイン語でプエルト・アルヘンティーと呼んでいます。人口は2006年度時点では2115人で、町の規模はさほど大きくはありません。しかし、フォークランド島内に絞っていえば島内最大の町です。19世紀のイギリス植民地時代に建てられた物が多く、昔のイギリスの港町の雰囲気を楽しむという点では色々なメリットがあります。1987年には、ランドマークとも呼べるフォークランド諸島博物館や、ガバメントハウスができ上がっています。他にも、1892年に建てられたクライストチャーチ大聖堂などもランドマークと呼ぶのに相応しいです。ゴルフ場や戦争記念博物館等もあり、小さな町の中に数多くの見所があります。スタンリーの気候については、1年を通じて寒いことが最大の特徴です。ただし一定の寒さというわけではなく、夏は寒くて冬は更に寒くなると考えて下さい。加えて年間を通じて強風がかなり吹き、曇りの日がとても多いことも特徴です。港町であるため海からの風が吹くときには、かなり激しく吹き荒れます。気温は大体2度から13度の間を行き来しますが、0度未満や16度以上になることは稀です。ケッペンの気候分類ではツンドラ気候になります。町に長期滞在するような時には防寒対策が必須であり、夏場であったとしても相当に肌寒く感じると思って下さい。風が強い土地柄のため、体感温度は実際の気温よりもかなり下がってくるでしょう。寒さの類で体調を崩しやすいという人で長期滞在の予定があるような場合には、十分な対策をとっておくことを強くおすすめします。スタンリーの歴史は古く、発端は1763年にさかのぼります。この頃フランスのルイ・アントワーヌ・ド・ブーガンヴィルが、現在はバークレイサウンズと呼ばれる付近に島の中心地となるポートルイスを築いたのが始まりでした。フォークランド諸島の植民地化の始まりでもあります。その後のイギリス植民地時代に1843年から1848年までを知事を務めることになるになるリチャード・ムーディ知事が、新たな入植地探しの計画を発動させ、イギリス軍のフランシス・ロードン・モリア艦長とジェームズ・クラーク・ロスと共に島で5ヶ月間過ごしました。この時期に、当時の首都だったポートルイスの直南にあるポートジャクソンに彼らは目を付けます。彼らの目を引いた理由には、寄港する船舶に十分な水深があって、座礁の心配なく安心して港に使えるということがあり、最終的には土地の名前をイギリス伯爵のエドワード・スミス＝スタンリーにちなんで、スタンリーハーバーとします。その後、1843年から1845年にかけて、首都をポートルイスからスタンリーハーバーへ移転することになるのですが、この移転計画に関する入植者の評判はさんたんたるものでした。ムーディー知事は最悪の選択をしたということで酷評が飛び交い、当初スタンリーハーバーは停泊地の機能を発揮しなかったのです。この状況が劇的に変化したのは、1849年の元イギリス海軍の退役軍人であるチェルシー年金受給者の結婚した30人がやってきてからで、入植した彼らはスタンリーの港の開発と防衛の発展に力を尽くします。その結果、スタンリーハーバーはようやく現在にまで続く町としての機能を発揮できるようになりました。その後の1982年に勃発したフォークランド紛争では、スタンリーはアルゼンチン軍に一時的に支配されました。スタンリーと関係する戦いでは、スタンリー奪還のためにイギリス軍が準備行動に動いたケント山の戦いや、6月11日と12日に勃発した外郭防衛線の戦い、そして町への総攻撃となった6月13日と14日の戦いが有名です。当時の戦いの様子は、市内にある戦争記念博物館で詳細を見ることができます。スタンリー内の観光については、市内のホテルに宿泊しておけば主だった観光地は大体回れます。特定の地域に出向きたいというようなことがないのでしたら、大きい町でもありませんし、フォークランド島全体を回ることはさほど難しくはありません。治安の方も楽しい旅行をする分には一般的な海外防犯意識があれば十分です。