イギリス - ダーリントンについて

ダーリントンという地名を、そういえばどこかで聞いたことがあるという人はいるでしょう。しかし具体的にどのような都市であるか、ちょっと思い出せないという人もいるかもしれません。この都市は、実は鉄道発祥の地なのです。またシャーロック・ホームズファンの人であれば、ここの地名が入った替え玉事件についてご存知の人もいるでしょう。このダーリントンの気候は、夏が短く冬が長いという特徴があります。夏は比較的快適な気候で平均気温は20度ほどです。冬は寒く、イギリスの冬らしい曇天が続きます。しかし冬が寒いといっても平均気温が氷点下にまで下がるようなことはそうありません。降水量は年間を通して一定しており、冬には雪が降ることもあります。春から夏は晴天が多いです。そのため旅行するのであれば、春から秋にかけてのシーズンがいいでしょう。このダーリントンがあるのは、イギリス北東部のダラム州、スカーン川とティーンズ川の合流点近くです。ダーリントン自体は人口10万人程度と規模は小さいのですが、付近に炭田や鉱山がある関係で、19世紀に入ってから工業が発達しました。この石炭を運ぶために作られたのが、世界最初のストックトン・アンド・ダーリントン鉄道です。この都市のランドマークとしては、市の中心部にあるマーケットホールの時計台があります。その他にはラビー城やウォルワース城も市のシンボル的存在です。マーケットホールには長い歴史があり、屋根付きの市場と屋外の店とがあり、屋根付きの方は元々はタウンホールで1864年に営業が開始されて以降イベントも色々行われています。ラビー城は14世紀に建てられましたが、その後何度か城主が変わり、内部も破壊された状態でした。今のラビー城は18世紀から19世紀の建築様式ですが、厨房だけは14世紀のものが残っています。ウォルワース城は16世紀に建てられた城で、今はホテルとレストランになっています。ここは敷地内に猛禽類センターがあってハヤブサなどの訓練風景を見学することができ、鳥に餌付けをすることや、手に乗せたり止まらせたりすることも体験できるので、鳥との触れ合いを楽しみたい人にお勧めのスポットです。その他に聖カスバート教会にも行ってみるといいでしょう。ここは12世紀に建てられた教会で、尖塔が如何にも中世の教会といった印象です。木立の中にこの教会が建っている様は、さながらタイムスリップしたような気分になれます。もちろん鉄道の発祥地だけあって、鉄道関係のスポットがおすすめです。まずダーリントン鉄道博物館はノースロード駅の昔の駅舎が利用されていて、当時の看板や調度品、駅員の制服などが展示されています。そして、19世紀に石炭を搭載して走った蒸気機関車も見ることができます。この蒸気機関車は、鉄道マニアなら必見といってもいいでしょう。それからダーリントン駅も観光スポットの1つに数えられます。ロンドンのキングスクロス駅から2時間30分で到着するこの駅は、1887年に作られたドーム型の屋根や、ヴィクトリア朝の装飾が美しいです。鉄道博物館のあるノースロード駅からは一駅の距離で、徒歩だと30分ほどです。この駅からバスでモルトンパークまで行くと、レンガで作られた機関車があります。これもなかなか見事なので、ダーリントン駅や鉄道博物館まで来たのであれば、立ち寄ってみるのもいいものです。イギリスというとロンドン、あるいはスコットランドのエジンバラなどが真っ先に観光地として思い浮かぶかもしれませが、このダラム州のように、日本ではあまり知られていない土地でも、独自の魅力が感じられるものになるでしょう。ロンドンに行って、その後エジンバラを観光したいという時に、北東部にあるこの都市に立ち寄って、鉄道が走り始めた頃の雰囲気に思いを馳せるのもいいのではないでしょうか。ダラム州全体でいえば、ダラム大学とダラム大聖堂が有名で、ここは『ハリー・ポッター』のロケにも使われた場所です。ダーリントンの最寄空港はダラム・ティーズ・バレー空港ですが、イギリス国内の便はあまりなく、ヨーロッパ大陸諸国との便が多くなっています。特にフランスとの便が多いので、フランスからダーリントンへ行く場合は飛行機、イギリス国内からの場合は鉄道と使い分けるといいでしょう。やはり鉄道発祥の地へ行くのなら、鉄道を利用して窓の外の景色を楽しみたいものです。