台湾 - 北竿郷について

北竿郷は、中国大陸にほど近い台湾領の島です。いくつもの島で形成された「馬祖島」の１つにあたります。台北の桃山空港から1日3便が運航しているほか、南部の南竿島に飛行機で着いた後に船で向かうこともできます。空港から街の中心部である塘岐村までは徒歩で5分程度の距離のため、夜に到着しても中心部までのアクセスに困ることはありません。

島そのものが1つの郷（日本の郡にあたる）となっており、塘岐村、后澳村、橋仔村、芹壁村、坂里村、白沙村の6つの村で構成されています。

中国大陸が目の前という立地ながら台湾のサービスが行き渡っており、島内のバスでは台北と同じ「悠遊カード」を使うことができます。また、島内にはセブンイレブンがあり、店内のイートインスペースは貴重な休憩スポットとして人気を集めています。

東部にある「塘岐村」が島内の行政・経済の中心地として機能しています。北竿島周辺には多くの小島が点在しているほか、島内には北竿内最高峰の「壁山」があります。

戦前の日本統治時代に記録が残されており、『二百万分一大東亜航空図三十六号』という地図の中で北竿郷を「長岐島」と表記していたことが分かっています。現在では金門と並び、大陸との対立における最前線基地の役割を持つ重要拠点の1つです。

気候は台湾らしい亜熱帯性気候ですが、台北よりも北に位置することから年間平均気温は台湾本島と比べると若干低くなります。夏は最高で35℃に達する一方、冬には季節風が吹く影響もあって亜熱帯でありながら時には冠雪を観測します。

小さな街の中に、いくつもの魅力的な観光名所を見つけられるのが北竿郷です。特におすすめのスポットをいくつか紹介していきます。

・碧園
午沙ビーチ付近の小高い山の壁面横に建設された公園です。島内に生息している台湾でも貴重な植物を、間近に見ることができることで知られています。殉職した兵士を祀る慰霊塔が設置されているほか、海岸線を見ることができるビュースポットが点在しています。

・芹壁集落
花崗岩の石でできた伝統的な家屋が立ち並ぶ観光スポットです。伝統家屋を利用した民宿やカフェがあり、海風を感じながらゆっくり散策するのがおすすめです。晴れた日には対岸の中国大陸を見ることもできます。

・坂里大屋
白沙港から車で3分の位置にある観光スポットです。馬祖島の特色ある建築様式を今に伝える建物であり、無料で観光することができます。ネジや釘を一切使わない工法を用いており、家内には杉の香りが漂います。島独自の技術力を目にできる貴重な文化遺産です。

・壁山
島内の中心に位置し、馬祖島内で最も一番高い山です。海抜は298mしかないため簡単にハイキングができます。展望台からは后澳村や螺山、海の絶景を見ることができます。天気次第では遠くの無人島を見ることができます。付近には軍用施設があり、そこに向けてカメラを構えないように注意が必要です、

・北海坑道
軍事戦略において船を隠すために作られた坑道です。長さは550メートルに及び、3交代で休むことなく作業をした言われています。塔内の岩は花崗岩という非常に硬いものであり、それを手作業で掘りすすめました。岩盤を海に面していて満潮の影響を受けるため、見学は干潮時の2時間に限られています。

・芹壁村
山と海に囲まれた場所に建てられた石造りの村です。木造建築が中心のアジアの伝統建築において、石造りの家はヨーロッパのような雰囲気があります。村内を登っていくと、天后宮と鐵甲元帥の廟があります。鐵甲元帥はカエル将軍という愛称もあり、現地の信仰が厚い場所となっています。伝説によれば海賊に悩まされた村を救ってくれたのが、酒好きなカエルの神だということで、現地では悩みがあると鐵甲元帥を頼ると言われます。

・楊公八使宮
后澳村に存在する中国式の廟で、台湾で唯一「龍」が飾られていません。楊公八使という人物が村を困らせていた龍を倒した時に龍の巻き添えに海に落ちてしまい、犠牲になったという伝説があります。その伝説から龍を使わずに廟を作られました。

・戦争和平記念公園
后澳村一帯に築かれた軍事拠点の一部が公開されている戦争をテーマにした公園です。戦車や重火器、土嚢といった戦争で使われた品の数々が展示されています。施設の一部は、中に入って見学することも可能です。

台湾の中でものどかな風景を持つ利用であり、治安は良好です。一方で台北のように華やかな夜のイベントはなく明かりも少ないため、不要不急の夜の外出を控えるようにしてください。