名称:ハットゥシャ、ヒッタイトの首都
住所:Hattusha
公式・関連サイトURL:http://whc.unesco.org/en/list/377/
ヒッタイトといえば、人気漫画の舞台としてご存じの方も多いのではないでしょうか?騎馬民族のヒッタイト人が建てたハットゥシャはエジプト、古代バビロニアも脅かした、かつてトルコに存在していた大国です。そのヒッタイトの首都であったハットゥシャの遺跡は1986年に世界遺産に登録され、広々とした大地に大神殿、獅子門、スフィンクス門、王の門、大城塞の遺跡などが残されています。そんなロマン溢れる世界遺産である遺跡を、詳しく紹介しましょう。
目次
世界遺産ヒッタイトの首都ハットゥシャ、トルコに繁栄した大帝国
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ハットゥシャとは
人類史上初めて鉄器を使ったとされる騎馬民族のヒッタイト人。そのヒッタイト人が紀元前1800年頃、トルコ中央部に建てた王国がハットゥシャです。鉄製の武器や軍馬に引かせる軽戦車などを発明し、勢力を拡大。全盛期にはエジプト、バビロニアとともに古代オリエントの3大強国となり、紀元前1600年頃にはバビロニア王国を滅亡に追い込みます。
しかし紀元前12世紀ごろ、「海の民」と呼ばれる東地中海の民族に滅ぼされてしまいます。ハットゥシャの遺跡は20世紀初頭、ドイツの考古学者ウィンクラーにより発見され、1986年に世界遺産に登録されました。アンカラの東約150km、標高1,000mの高原には大城塞、レリーフの刻まれたヤズルカヤ神殿、スフィンクス門など多くの遺跡が残されています。
ハットゥシャへのアクセス
ハットゥシャの遺跡は、トルコの首都アンカラの東約150kmに位置する村ボアズカレの近郊にあります。アンカラからスングルル経由でボアズカレまで車で約3時間ほどです。現地発のツアーもあります。
ハットゥシャのおすすめポイント①大神殿
世界遺産ハットゥシャの遺跡は、かつて全長6kmの城壁に囲まれていました。その中で一際大きく残るものが大神殿。世界遺産ハットゥシャの遺跡に残る最大の遺構で、天候神テシュプと配偶神ヘパトに捧げられた神殿です。現在は礎石しか残っていませんが、かつてはここに日干しレンガで造られた壮大な建物があり、200を超す部屋があったと伝えられています。
世界遺産の大神殿には穀物貯蔵庫もあり、穀物を入れていた壺を見ることができます。当時は非常事態に備えて、大量の穀物のほかにオイルやワインなども保存されていたようです。さらに神殿の北西には復元された城壁があります。出土品などから推測されて造られたこちらは、実は日本も援助しました。当時の様子を伺い知れる、興味深いものですよ。
ハットゥシャのおすすめポイント②ライオンの門とスフィンクス門
南側の城壁には「ライオンの門」と「スフィンクス門」があります。世界遺産に登録されているハットゥシャには6つの門がありましたが、ライオンの門とスフィンクス門は特に知られています。
ライオンの門は口を大きく開けたライオンのリリーフが印象的で、これは悪霊から城壁内を守るためといわれています。左のライオンは最近修復され、右の顔はオリジナルです。スフィンクス門はハットゥシャで一番標高が高く、ハットゥシャを一望できます。現在この世界遺産で見られるスフィンクスはレプリカで、左側のスフィンクスはボアズカレの博物館に、右側のスフィンクスはイスタンブールの博物館にあります。さらにスフィンクス門の下には地下通路があり、そちらが通用口でスフィンクス門は儀式用だったのではないか?と、未だ謎の多い世界遺産です。
ハットゥシャのおすすめポイント③ヒッタイト文字
世界遺産に登録されているハットゥシャでは楔形文字が使われていて、遺跡のあちこちで刻まれた文字を見つけることができます。 また、ハットゥシャからは2万枚もの粘土板が発掘され、楔形文字で古代の戦争などを記した貴重な資料となっているんですよ。その中に「カデシュの戦い」でエジプトのラムセス2世と締結した平和条約が記されたものがあり、これは世界最古の国際条約といわれています。レプリカがニューヨークにある国連本部に飾られ、人類にとってとても重要な意味を持ちます。
このように大きな勢力を持っていたヒッタイト帝国は、紀元前12世紀の終わりごろに突然、姿を消してしまいます。「海の民」と呼ばれる人々に滅ぼされたとありますが、実際には内乱、食糧不足などがあったのではないかと言われているようです。
ハットゥシャの注意事項
世界遺産ハットゥシャの遺跡は外周約6km。坂道も多く、全部回ると2~3時間かかります。暑さが厳しい夏に観光する場合は、暑さ対策も忘れずに。遺跡は車で回ることができるので、上手に利用してくださいね。
◎まとめ
世界遺産ハットゥシャの遺跡をご紹介しました。遺跡には多くの見どころがあり、ゆっくり回るとかなりの時間が必要です。古代のロマンを感じながら、余裕をもったスケジュールでハットゥシャを見学してくださいね。世界遺産ハットゥシャの遺跡にはまだ分からないことが多く、研究が進められています。まだ謎が多く残る遺跡は、行ってみる価値が大いにありますよ!