【世界遺産】アウグストゥスブルク城と別邸ファルケンルストとは?

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【世界遺産】アウグストゥスブルク城と別邸ファルケンルストとは?

ドイツのケルンとボンの間にある小さな町ブリュール。なんの変哲もない田園と地方都市の風景のなかに、突如として贅の限りを尽くした壮麗な宮殿が現れます。18世紀初頭に造営され、1994年までは迎賓館としても利用されていました。

ロココ調の宮殿も、バロック様式の庭園も、当代随一の技術者や設計者の手による傑作ぞろい!建設を命じたケルン大司教クレメンス・アウグスト・フォン・バイエルン自身は、聖職者としても政治家としてもはなはだ評判の良くない人物ですが、そんな彼の名声を唯一救っているのが、このアウグストゥスブルク城にみられる芸術上の貢献といわれています。

また、アウグストゥスブルク城から並木道を1kmほど歩くと、狩猟用の館ファルケンルストがあります。こちらはうって変わってこぢんまりとしていますが、それでも美しい建物であることには違いありません。

目次

【世界遺産】アウグストゥスブルク城と別邸ファルケンルストとは?

ブリュールのアウグストゥスブルク城と別邸ファルケンルストとは?

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アウグストゥスブルク城とファルケンルストの建設を命じたクレメンス・アウグスト・フォン・バイエルンは、バイエルン選帝侯ヴィッテルスバッハ家の出身で、ケルン大司教の地位にありました。ケルン大司教もまた七選帝侯の1つであり、バイエルン選帝侯を継いだ兄カール・アルブレヒトは神聖ローマ皇帝にも即位しています。

こうした名族中の名族の出でありながら、クレメンス・アウグストは政治にも聖職にも関心を示さず、愛妾を囲い狩猟にかまける生活を送っていました。そんなお坊ちゃん権力者の発案から生まれたのが、何人もの一流の建築家・芸術家が携わった豪奢な宮殿と、狩猟用の館というわけです。

クレメンス・アウグスト自身は60歳で亡くなるまで地位を失うことはありませんでしたが、彼の放蕩による政治の停滞は、領民にたいへんな負担を強いるものだったといわれています。当時の技術と芸術の粋を極めた世界遺産の宮殿は、多大な犠牲の上に完成したものなのです。

ブリュールへのアクセス

アウグストゥスブルク城は、ブリュール駅のすぐ目の前にあります。ブリュール駅へは、ケルン中央駅から在来線の普通列車で20分ほどで到着します。アウグストゥスブルク城の南には広大な庭園があり、その先の並木道をさらに1kmほど歩くと、もう1つの世界遺産である別邸ファルケンルストに着きます。

ファルケンルスト周辺には公共交通機関はないので、時間や体力に余裕がない場合は、アウグストゥスブルク城と庭園の観光にとどめておくのも選択肢の1つでしょう。

ケルン中央駅の目の前には、これまたドイツを代表する世界遺産ケルン大聖堂があるので、1日で2か所の世界遺産を無駄なく回ることができます。

アウグストゥスブルク城と別邸ファルケンルストのおすすめポイント

1. アウグストゥスブルク城

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ブリュールの駅を降りるとすぐ目の前に、ドイツ・ロココ様式傑作の城といわれるアウグストゥスブルク城が姿を現します。もともとは中世の小さな館で、2度の改築により1727年に今のような壮麗な宮殿となりました。

最大の特徴は、入ってすぐのところにある階段室。同じく世界遺産のヴュルツブルクのレジデンツを設計したことで知られるバルタザール・ノイマンが手掛けたものです。インテリアの創作を得意としたというノイマンの階段は、手すりの金色の装飾や高い窓から降り注ぐ日の光とそれに照らされた室内など、天蓋の支えをできるだけ排除した空間設計になっています。

また、このアウグストゥスブルク城には日本語のオーディオガイドもあります。部屋や装飾の説明だけでなく、当時の文化や歴史の背景なども詳細に説明してくれますよ。なお城内は写真撮影は禁止となっていて、かつガイドツアーのみでしか見学できません。

2. 別邸ファルケンルスト

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別邸ファルケンルストは狩猟用の館として1740年に建設された小さな宮殿で、アウグストゥスブルク城からシュロス庭園を抜けた先に位置します。内部はアウグストゥスブルク城と比べるとだいぶシンプルですが、それでも1階の漆の間には豪華な装飾や調度品が揃っていて一見の価値ありですよ。

ファルケンルストはロココ様式だけでなく、クレメンス・アウグストの好みを反映して中国趣味(シノワズリ)も混在しているのが大きな特徴です。

また、吹き抜けになっている階段室の壁のタイルには、当時の鷹狩のようすが描かれています。アウグストゥスブルク城と同じく日本語のオーディオガイドがあるので、見どころを余すところなく回ることができるでしょう。

3. シュロス庭園

出典: Kai Engelhardt

アウグストゥスブルク城と別邸ファルケンルストを繋ぐシュロス庭園は、フランスの造園家ドミニク・ジラールが設計したフランス・バロック様式の庭園でス。この様式ではフランスを除くと、5本の指に入るほど広大で美しい庭園といわれています。綺麗に手入れされた緑の植え込みや、随所に設置されている噴水などが見どころで、観光客だけでなく地元市民の憩いの場としても愛されている観光スポットです。

また、庭園内には小鳥やウサギ、リスなども生息しているので、運が良ければその可愛らしい姿を目にすることができるでしょう。さらに園内には州立美術館や劇場、プラネタリウムなどもあるので、あわせて立ち寄ってみてください。

◎まとめ

ドイツ有数の観光名所ケルン大聖堂からほど近い世界遺産「ブリュールのアウグストゥスブルク城と別邸ファルケンルスト」をご紹介しました。

その巨大な宮殿はただ豪華だというだけでなく、当時の一流の芸術家たちを動員して築き上げた傑作中の傑作といえます。ドイツ地域にとどまらず、フランスやイギリスの技術者も招いて建造された美の複合体アウグストゥスブルク城。ドイツのラインラントを旅行する際はぜひ立ち寄ってみてくださいね。

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