名称:南アフリカの人類化石遺跡群(Fossil Hominid Sites of South Africa)
住所:南アフリカ
アフリカ大陸の南端に位置する南アフリカ共和国には、8つの世界遺産があります。4つの文化遺産、3つの自然遺産、そして1つの複合遺産からなるこれらの世界遺産では、かつての文明の面影や、手つかずの大自然を見ることができます。
現在は経済的な発展が著しいことで知られていますが、大都市が築かれている一方で、美しい自然風景や文化もまだまだ残っています。ここでは、南アフリカ共和国の思わず息をのむような世界遺産について見ていきましょう。
目次
南アフリカ共和国8つの世界遺産|豊かな自然と古代の面影を訪ねよう!
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1.南アフリカの人類化石遺跡群
南アフリカ共和国の北東部に位置する「南アフリカの人類化石遺跡群」は、アウストラロピテクスなど、歴史上重要な古代人類が多く発見された遺跡群です。350万年前にもさかのぼる時代の人々の暮らしの貴重な史料が出土する、考古学的に重要な世界遺産となっています。
この世界遺産は、「スタルクフォンテイン、スワルトクランス、クロムドライおよび周辺地域」「マカパン渓谷」「タウング頭蓋化石出土地」の3つのエリアから構成されていますが、中でも、「スタルクフォンテイン、スワルトクランス、クロムドライおよび周辺地域」内のスタルクフォンテイン洞窟は、「人類のゆりかご」とも呼ばれる場所。非常に多くの種類の人骨が発掘されており、現在も調査中である洞窟の見学ができます。
また、近くには博物館もあり、貴重な化石とともに人類の歴史を学べます。
2. ロベン島
ロベン島は、かつて刑務所、ハンセン病患者の隔離病棟、強制収容所などに使われた島です。刑務所が閉鎖された現在は、島全体が博物館・世界遺産となっています。
南アフリカの英雄・ネルソン・マンデラも収容されていたことで有名なロベン島。彼が実際に使用していた部屋も見学できます。施設内部のガイドは南アフリカの元政治犯が行っており、刑務所内での生活について、詳しい話を聞くことができます。
また、ロベン島では負の世界遺産としての面だけでなく、豊かな自然も必見。南アフリカを含め2か国にしか生息しないケープペンギンが見られるほか、海洋生物がたくさん暮らしています。悲惨な歴史を学んだあとは、生き物たちに癒されるのもいいですね。
名称:ロベン島(Robben Island)
住所:Private Bag, Robben Island, Cape Town Central 7400
3. マプングブエの文化的景観
11世紀から13世紀にかけて、現在の南アフリカ共和国を中心に栄華を築いた中世都市の遺跡「マプングブエの文化的景観」。最大で9000人が住んでいたとされ、インド洋交易で大きく栄えたかつての姿をほぼそのままの形で今に伝えています。王家などの有力者が住んだ「マプングブエの丘」を中心に、丘のふもとの部分にもいくつもの集落が点在する世界遺産です。
交易の相手国はインドや中国の王朝で、輸出品は金や象牙、輸入品はガラスの装飾品や器など。これらの豪奢な品々も多く発掘されていて、在りし日の強大な王国の面影を残しています。
南アフリカ政府のアパルトヘイト政策もあり、黒人王国の隆盛を示すこの遺跡は忘れ去られていました。しかし、南アフリカで黒人解放が進むにつれて遺跡の価値への注目度も高まり、2003年に晴れて世界遺産となりました。
名称:マプングブエの文化的景観(Mapungubwe Cultural Landscape)
住所:Limpopo province, 22º 11' 33" S 29º 14' 20" E
4.リフタスフェルトの文化的・植物的景観
リフタスフェルトは、遊牧民であるナマ人が伝統的な生活を守って暮らしている砂漠の土地。文化的な価値が評価され、「リフタスフェルトの文化的・植物的景観」という名称で文化世界遺産として登録されています。
その独特の生活様式は南アフリカ唯一のもので、簡易な住居を移動する先々に設置するのが特徴です。また、この土地固有の植物が多く生息しており、それもこの世界遺産の価値を一層高めています。これらの貴重な植物は、ナマ人の暮らしとも密接に関わっています。
環境は南アフリカの中でも大変ハードで、夏は気温50度を超えることもあるのだそう。水は少なく、まるで火星を思わせるような独特の風景が残っています。この環境の中で育ったユニークな植物の中には、ナマ人の信仰の対象となったものもあります。
また動物も多く、ヒョウやヒヒなどの哺乳類はもちろん、鳥や爬虫類などもたくさん生息しています。南アフリカの過酷な自然の中でも、豊かな生命が息づいていることを感じさせてくれる場所です。
名称:リフタスフェルトの文化的・植物的景観(Richtersveld Cultural and Botanical Landscape)
住所:Richtersveld National Park, 8290
5.イシマンガリソ湿地公園
南アフリカ共和国で3番目に大きな面積を誇る国立公園が、世界遺産に登録されている「イシマンガリソ湿地公園」です。その広大さから、公園内の植生や生物の分布は非常にバリエーション豊かなものとなっています。
サンゴ礁の広がる海にはクジラやサメ、湖や河川にはカバやワニなどがおり、砂丘の広がる東側や森林のある西側などにも、それぞれの気候に適応した南アフリカの生き物たちが豊かな生命を誇っています。アフリカの生き物と聞いて連想する動物の多くを見ることができる世界遺産です。
また、バードウオッチングや釣り、ダイビングなどの様々なアクティビティも楽しむことができます。「イシマンガリソ」とは現地の言葉で「驚き」を意味しますが、まさにその名の通り、大自然の営みに驚きの連続が待っている世界遺産です。
名称:イシマンガリソ湿地公園(iSimangaliso Wetland Park)
住所イシマンガリソ湿地公園, 南アフリカ
6.ケープ植物区保護地域群
「ケープ植物区保護地域群」は、南アフリカ共和国の南西部に位置する世界遺産です。その群を抜いて豊かな植物相が評価され、世界遺産に登録されただけでなく、「世界六大植物区」の一つにも数えられています。
この世界遺産はアフリカ大陸全体の0.5%、南アフリカの6%にも届かない面積ですが、見られる植物の種類は、なんとアフリカ全体の植物のおよそ20%にも上ります。しかも、ここで見られる8000種類以上の植物のうち、5000種以上はここにしか生息しない固有種。その植生の豊かさは、熱帯雨林をも超えると言われています。
ここに生えている植物の一例としては、お茶などに使われ、南アフリカの輸出品目にもなっているルイボスがあります。また、この地域の植物独特の性質として、夏に起こる山火事に適応していることがあげられます。火災が終わると、それを待っていたかのように一斉に目を出すのです!
名称:ケープ植物区保護地域群(Cape Floral Region Protected Areas)
住所:ケープタウン, 南アフリカ
7.フレデフォート・ドーム
「フレデフォート・ドーム」は、南アフリカ・ヨハネスブルクの南西にある、世界最古かつ最大の隕石衝突の跡。あまりにも大きいので、地上から全貌を把握することは難しい世界遺産です。
隕石が衝突したのは、約20億2300万年前。現在のドームの直径は50kmほどですが、衝突直後は300kmにも及び、深さは25kmにもなったと言われています。また、この時の衝撃で、地表の環境が激変したことを示す地層もあるという、学術上も重要な世界遺産です。
穴の内部は現在は草原となっており、動物や人が暮らしています。また、沢登りやラフティング、ハイキングなどといったアクティビティが楽しめるスポットともなっており、南アフリカの自然を満喫することができます。歴史を物語る世界遺産の中を歩きながら、古代に思いをはせるのもいいですね。
名称:フレデフォート・ドーム(Vredefort Dome)
住所:Venterskroon, Parys, South Africa
8.マロティ=ドラケンスバーグ公園
南アフリカ共和国とレソト王国にまたがる複合遺産です。自然遺産としては多様な生物や雄大な風景、文化遺産としては先住民による岩絵の遺跡が評価され、2000年に初めて世界遺産として登録されました。
荒々しく広がる山脈は、南アフリカで最も高い標高を持ちます。多くの観光客がハイキングやトレッキングを楽しむ人気観光地となっており、山の見せる様々な表情に魅了される人が後を絶ちません。また、絶滅が危惧される希少な動植物も多く、注目を集めています。
多くの岩絵は、南アフリカの先住民族・サン人によって描かれたものです。世界遺産登録範囲内には、600以上の遺跡に約35000の岩絵が残されており、サン人の暮らしを今に伝えています。これらの岩絵は芸術的な価値も高く、神秘的な魅力を放っています。
名称:マロティ=ドラケンスバーグ公園(Maloti-Drakensberg Park)
住所:Mkhomazi Wilderness area, Drakensberg, 3257
◎南アフリカ共和国8つの世界遺産まとめ
南アフリカ共和国の、8つの世界遺産をご紹介してきました。アフリカの豊かな自然や、古代の繁栄を象徴する遺産は、一度は訪ねてみたい価値のあるものばかりです。南アフリカへ旅行される際には、南アフリカの世界遺産にも足を運んでみてくださいね。