「監獄島」と呼ばれる人類の負の遺産、南アフリカの世界遺産ロベン島

画像出典:South African Tourism

「監獄島」と呼ばれる人類の負の遺産、南アフリカの世界遺産ロベン島

南アフリカ共和国には、人類が犯した過ちを二度と繰り返さないように残された、負の遺産があることをご存知でしょうか?それがロベン島であり、別名「監獄島」とも呼ばれています。
その理由はこの島の大部分を、刑務所やハンセン病患者の隔離などに利用してきたという歴史が挙げられます。現在は収監の大きな要因であったアパルトヘイトも撤廃され、博物館として一般公開されているロベン島ですが、今でもその刑務所など負の遺産を感じることができるスポットは存在しています。
今回は、そんな南アフリカの世界遺産、ロベン島についてご紹介いたします。

目次

「監獄島」と呼ばれる人類の負の遺産、南アフリカの世界遺産ロベン島

ロベン島とは?

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ロベン島とは南アフリカ共和国西ケープ州ケープタウンから約12㎞沖合のテーブル湾にある島で、ハンセン病患者の隔離や政治犯の強制収容所が設置され「監獄島」と呼ばれているスポットです。現在は島内にあるロベン島教会をのぞいたすべてを政府が所管しており、島全体を博物館として整備しています。この島の歴史は17世紀末から始まっており、周囲の海流の強さから脱出が困難なところと見出されてからロベン島はその大部分が刑務所として使用されることになりました。当時はオランダの植民地の様々な政治的指導者が収監されていましたが、その後1836年から1931年まではハンセン病患者の隔離のために使用され、1959年以降は政治犯の強制収容所として利用されることとなったのです。また有色人種隔離政策であるアパルトヘイトの政策が行われてきた際は、ネルソン・マンデラやウォルター・シスルなども収監されていました。1996年に刑務所は閉鎖され1997年には政府の管理下で博物館として一般公開、1999年には世界遺産に登録され現在に至りますが、このロベン島は過去の人類が犯した過ちを二度と繰り返さないために残されたとても重要な負の遺産として世界中から注目を集めています。

ロベン島へのアクセス

南アフリカのケープタウンの沖合に浮かぶ小さなロベン島へのアクセス方法は、フェリーとなっています。ケープタウンのウォーターフロント地区から約30分ほどで到着いたしますが、このフェリーがよく揺れますので船酔いが心配な方は事前に対策しておくことをおすすめします。なおこの揺れもロベン島が「監獄島」として利用された一つの要因である強い海流によって引き起こされているものですよ。またロベン島では自由行動が許されておらず、刑務所内の見学などをのぞいて大型バスでの移動となります。ちなみにフェリーの乗り場であるケープタウンに日本から向かう場合は直行便が運航しておらず、ロンドンなどで乗り継ぎが必要となりますのでご注意ください。

ロベン島のおすすめポイント①:刑務所

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「監獄島」と呼ばれるロベン島の最大の見所は、刑務所が挙げられます。当時どのような過酷な環境で生活していたかを肌で感じることができますよ。この刑務所ではアパルトヘイトを撤廃へ導いた指導者であり、元南アフリカ8代大統領のネルソン・マンデラも1964年から約18年間収監されていたことでも有名ですよね。実際にネルソン・マンデラが収容されていた部屋も見ることができますので、是非じっくり見学してみてください。わずか2畳ほどの広さに1枚の毛布とトイレ用のバケツしか置いていない独房で差別開放への情熱を燃やし続けながら18年間収監されていた事実を目の当たりにすると、いろいろ考えさせられますよ。またこの刑務所では、収容されていた人からも話を聞くことができます。当時の過酷な環境などを直接本人から聞くことができるのは、いくら写真や文献で勉強していても及ぶことのない貴重な体験ですよ。是非ロベン島の刑務所に訪れた際は、どのような過酷な環境で耐え抜いてきたかを知り、人類の犯した罪を再認識してみてください。

ロベン島のおすすめポイント②:サッカー場

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意外と思われるかもしれませんが、ロベン島の刑務所にはなんとサッカー場が併設されています。それは1967年頃に囚人たちが交渉の末に建設を勝ち取ったもので、唯一サッカーによってストレスを解消させていた娯楽施設という位置づけとなっています。またサッカーリーグ「マカナ・サッカー協会」を設立して、毎週サッカーのリーグ戦を開催していました。なおストレスを解消するだけでなく、サッカーを通じて差別に抵抗していました。そしてアパルトヘイトが撤廃され、2010年には南アフリカが開催国となって盛り上がりを見せた南アフリカワールドカップでは、開催式にネルソン・マンデラも出席したことで世界中から注目を集めました。人類の負の遺産であるロベン島に唯一存在した娯楽であるサッカーの世界大会が南アフリカで開催されたことは、非常に重要な意味を持つのです。是非ロベン島に訪れた際は、このような背景を理解して刑務所だけでなく併設されたサッカー場にも注目してみてはいかがでしょうか?

◎まとめ

南アフリカの世界遺産、ロベン島についてご紹介いたしました。「監獄島」と呼ばれ、人類の負の遺産として世界中から注目を集めているロベン島では、過去犯してきた人類の罪や、人種差別について深く考えさせられますよ。是非南アフリカ観光の際には、そんなロベン島に足を運んでみてはいかがでしょうか?

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