岩窟教会から世界最古の人骨まで!9ヶ所あるエチオピアの世界遺産

画像出典:Kenneth Dedeu

岩窟教会から世界最古の人骨まで!9ヶ所あるエチオピアの世界遺産

東アフリカの内陸国・エチオピアは、アフリカ最古の独立国です。サハラ以南のアフリカではナイジェリアに次いで二番目に人口の多い国となっています。世界遺産は9ヶ所登録され、岩窟教会群や城塞都市、歴代の皇帝の宮殿など多種多様な世界遺産が特徴です。また、人類で最古と言われている「ルーシー」という人骨化石が見つかった「アワッシュ川下流域」も登録されています。それでは一つずつ見ていきましょう。

目次

岩窟教会から世界最古の人骨まで!9ヶ所あるエチオピアの世界遺産

目次を閉じる

1. アクスム

「アクスム」は紀元前2世紀頃に栄えたアクスム王国の中心地。1980年に世界文化遺産として登録されました。エチオピアの北部、ティグレイ州の標高2100mの高原にある世界遺産です。アクスム王国は交易で栄えたキリスト教国。最盛期には現在のソマリアやスーダンまで広がる広大な領地を持っていました。

アクスムには多くの歴史的重要な考古遺跡群が数多く残されていて、歴代のエチオピア王たちの巨大な石碑や墓標のベリスク、色鮮やかなステンドガラスで覆われている「シオンの聖マリア教会」は必見。他にも「シバ女王の浴槽」や「シバ女王の宮殿」、「バゼン王の墓」など観光名所が多く、世界遺産と同時にエチオピアの重要な巡礼地になっています。

2. シミエン国立公園

「シミエン国立公園」はエチオピア北部、アムハラ州にある国立公園です。1978年に世界自然遺産として登録されました。その後、人口の増加や行き過ぎた開拓などによって自然の生態系が損失。1996年には「危機遺産」にも追加されましたが、様々な改善計画が評価され2017年には登録リストから外れました。

高山が連なり「アフリカの天井」とも呼ばれているシミエン国立公園は、2500万年前の火山の噴火で流れ出した溶岩によって作り出され、1000m級の断崖絶壁がそそり立つ絶景の世界遺産です。ゲラダヒヒやワリアアイベックスなど、この地特有の動物も多く生息していて、保護が望まれています。また、シミエン国立公園はトレッキングスポットとしても有名。シーズン中は多くの人々が訪れる世界遺産となっています。

3. コンソの文化的景観

エチオピアの南部にある「コンソ」は、標高800mから1800mほどの山岳地帯にあります。広大で乾燥した荒涼地域で、厳しい環境で400年以上暮らしてきた少数民族コンソ族の生活様式が、世界遺産として認められ登録されました。ぜひ訪れてほしい世界遺産です。

コンソ族は厳しい自然と共存しながら自給自足の生活を続け、独特の風習や文化を作り上げました。エチオピア正教やキリスト教を信仰する人が多いエチオピアで伝統的な信仰を守り、「ワーガ」と呼ばれる木彫りの像を門に置くなど独特な儀式を守っています。石垣の要塞のような集落を作っているのも特徴です。

4. 歴史的城塞都市ハラール・ジュゴル

「ハラール」はエチオピア東部、ハラリ州の州都です。2006年に「歴史的城塞都市ハラール・ジュゴル」として世界遺産に登録されました。ハラールはジュゴルと呼ばれている城壁に囲まれた、イスラム教の都市。87のモスクと102の霊廟があり、16世紀から19世紀前半にかけてはイスラム教の「第4の聖地」でした。

ハラールは何世紀もの間、エチオピア各地やアフリカ各地、アラビア半島などを結ぶ交易の中心地として栄えました。そのためハラールの町にはアフリカとイスラムの伝統が混在し、建築物や都市設計などに特色が見られます。19世紀にインド商人たちが建てた家屋や質の高い手工芸、家屋の内装などにも、ハラール独特の文化が見られ世界遺産として登録されました。

5. オモ川下流域

エチオピアの南西部に流れる「オモ川」の一部が、1980年「オモ川の下流域」として世界遺産登録されました。この地域は人類の進化を探る上で、貴重な化石が大量に出土したことで知られています。発掘調査は1930年代から行われ、モホ・ハビリスが使用したと考えられる、約250万年前の打製石器が発見されました。打製石器の中では人類最古です。

他にも400万年前のアウストラロピテクス・エチオピクスやホモ・エレクトウスの下顎骨などの化石人骨も発掘されました。現生人類に直結するものだけではなく、枝分かれして絶滅したものなど、250万~400万年前の様々な時代の化石人骨が多数出土しています。極めて重要な文化遺産として世界遺産に登録されました。

6. ティヤ

「ティヤ」はエチオピアの南西部、ソド地方にある農村です。石碑群(ステッレ)が多く残されています。ティヤを含むソド地方だけで160基以上も見つかっていて、その中で36の石碑が1980年に世界遺産登録されました。石碑はいつ何のために、誰が作ったものなのかまだ解明されていません。

石碑のほとんどが半球や円錐型で、大きさは平均して高さ2.5m。中には5mを超すものがあります。世界遺産に登録された石碑の多くは装飾が施されていて、兵士たちの墓標ではいかと考えられています。また、当時、チオピアに住んでいた民族が行っていた儀式と繋がりがあるのではないかとも考えられているようです。この世界遺産は今後の研究が期待されています。

7. アワッシュ川下流域

「アワッシュ川」はエチオピアを流れる第二の川です。ハダール村付近一帯の「アワッシュ川下流域」が1980年に世界文化遺産として登録されました。ここでは1974年に人類最古の猿人「アウストラロピテクス・ファレンシス(ルーシー)」の人骨が発見され、この地は「人類発祥の地」として注目を浴びるようになりました。

他にも大量に先史人類の化石が出土し、人類の進化を研究する上で大きな進歩を遂げたとして、世界遺産に登録されました。ルーシーは約350万年前の人骨で身長は1m、体重30kg、25歳くらいの女性と考えられています。また、アワッシュ川下流域では人骨だけではなく動物の化石などもたくさん発見されました。まさにエチオピアの誇る世界遺産です。

8. ゴンダール地域のファジル・ゲビ

エチオピア北西部、標高2000mを超える高地に中世ヨーロッパを思わせる古城が立ち並んでいます。1979年に「ゴンダール地域のファジル・ゲビ」として世界文化遺産に登録されました。ファジル・ゲビは「王宮」という意味。この地には17から18世紀頃にかけて、エチオピアの首都ゴンダールがありました。世界遺産に登録されているゴンダールは、ソロモン朝のファシラダス皇帝が建設した都市です。

18世紀には10万人を超える人口を持ち、アフリカではエジプトの首都カイロに次ぐ大都市でした。そんなファジル・ゲビには3つの王宮群があり、ゴンダール様式と呼ばれている独特な建築様式で建てられています。特にラス・ミカエル宮殿には「ファシリダス・バス」という巨大な浴室がありました。ここはエチオピアの観光地としても知られていて、貴重な世界遺産となっています。

9. ラリベラの岩窟教会群

「ラリベラの岩窟教会群」はエチオピア高原の北東部、標高3000mの高地に13世紀頃造られました。合計11ヶ所の教会で構成されています。エチオピアは周囲をイスラム諸国に囲まれながらも、アフリカにおいて唯一のキリスト教国として発展した国です。12世紀末~13世紀にかけて多くの教会が造られました。

ラリベラの教会は一枚岩をくり抜いて作られているのが特徴で、岩の中には建物だけではなく窓や部屋、壁画までも作られています。中でも有名なのは「ノアの方舟」とも呼ばれている「聖ギオルギス教会」。十字架の形をしている、ラリベラの代表的なスポットです。また、高さ12mある世界最大級の岩窟教会「メドハネ・アレム教会」も有名。「救世主の家」とも呼ばれ、ラリベラで最も古い岩窟教会でもありますよ。

クリスマスの時期には毎年6万人もの巡礼者がキリストの誕生日を祝福し、観光客もその様子を見学することが可能です。訪れるならクリスマスの時期を狙ってもいいでしょう。

◎まとめ

エチオピアは日本の3倍ほどの国土をもち、東西南北にそれぞれ異なった雰囲気を持つ国です。気候の差も大きく、首都アディスアベバは標高2400m地点にあるので冷え込むことも多くなります。世界遺産の他にも観光スポットが多く、アフリカ大陸の中では人気の観光地の一つとなっていますよ。日本からはまだまだ遠い国ですが、機会がありましたらぜひ観光に訪れてみてください。

国内のエリア一覧

海外のエリア一覧

カテゴリー一覧

エチオピアでおすすめの記事

エチオピアのアクセスランキング