ワリアアイベックスの棲む山岳地帯、エチオピアの世界遺産シミエン国立公園

画像出典: Giustino (CC BY 2.0)

ワリアアイベックスの棲む山岳地帯、エチオピアの世界遺産シミエン国立公園

エチオピア北部にある「シミエン国立公園」は、1978年に初めて登録された12件の世界遺産のうつの1つ。標高4620mのエチオチア最高峰「ラス・ダシャン山」を中心とする4000m級の山々が連なる国立公園で、「アフリカの天井」とも呼ばれています。シミエン国立公園はアフリカの大地溝帯の一部であり、2500万年前の地殻変動や火山、浸食で形成された深い渓谷や断崖絶壁などが存在します。

昼夜の寒暖差が非常に激しい過酷な山岳地帯には、厳しい自然環境に適応すべく独自に進化したヒヒやヤギなどの固有種が棲んでいます。貴重な動植物が生息する生態系と、素晴らしい景観を中心にシミエン国立公園の魅力をご紹介しましょう。

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ワリアアイベックスの棲む山岳地帯、エチオピアの世界遺産シミエン国立公園

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シミエン国立公園とは?

出典: Lip Kee (CC BY-SA 2.0)

「シミエン国立公園」は、かつてヨーロッパ大陸とアフリカ大陸が繋がっていたということを証明する貴重な高地ヤギ「ワリアアイベックス」の保護を目的として、1969年に国立公園に指定されました。さらに、ユネスコが世界遺産第一号としてほかの11の世界遺産とともに登録。自然美と生物多様性の保全を評価した自然遺産です。

アフリカの天井いわれるほどの厳しい高地に、ワリアアイベックス、ゲラダヒヒ、シミエンフォックス、ビシニアジャッカル、サバンナダイカー、チョウゲンボウなどの固有種や絶滅危惧種に指定された動物や鳥類などが生息。さらに、1日の寒暖差が夏と冬ほどもある過酷な山岳地帯にもかかわらず、2000年以上にわたって農耕をしながらこの高地で暮らしている人たちもいます。

しかし農地開拓や密猟などによって生態系が破壊され、1996年、危機遺産に登録されてしまいました。ようやく2017年に解除されましたが、その経緯を忘れることなく、貴重な大自然と希少な動物たちの保全に努めなければなりません。

シミエン国立公園へのアクセス

出典: P.Fabian

日本からエチオピアの首都アディスアベバへ直行便はありません。ソウルや北京、イスタンブール、ドバイなどを経由して、アディスアベバへ向かいます。アディスアベバのボレ国際空港からゴンタール空港まで国内線で約1時間。

ゴンタール空港からシミエン国立公園は、車で約3時間。シミエン国立公園のトレッキングやキャンプには、ガイド付きのツアーを利用しましょう。

※2018年4月現在、シミエン国立公園やゴンタール空港を含むエリアは外務省の海外安全情報でレベル2に分類されています。治安が落ち着いてから、旅行の計画を立てるようにしてください。

シミエン国立公園のおすすめポイント①:切り立った断崖絶壁

出典: Miles Astray

シミエン国立公園は、アフリカ大陸を南北に縦断する「大地溝帯」の一部。約2500万年前の隆起と火山活動により形成された山岳地帯には、最大約1500mという断崖絶壁があります。この切り立った断崖絶壁の景色は、まさしく世界遺産にふさわしい絶景です。

シミエン国立公園のおすすめポイント②:貴重なワリアアイベックス

高地ヤギである「ワリアアイベックス」は、この山岳地帯が国立公園に指定されるきっかけとなった動物。ヨーロッパ大陸のアイベックス(ヤギ亜科)と同系統であることから、ワリアアイベックスの存在自体が、かつてヨーロッパとアフリカが地続きだったことを証明しています。

愛らしい表情で見る人々に癒しを与えてくれるこのヤギは、ヨーロッパ大陸とアフリカ大陸が繋がっていたときに、エチオピアへ渡ってきたと考えられています。ワリアアイベックスは、シミエン国立公園を訪れた際にぜひ出会いたい動物ですね。

シミエン国立公園のおすすめポイント③:ゲラダヒヒ

出典: zlikovec

体長約50~70cmほどの「ゲラダヒヒ」は、公園内の随所で見られる人気者。かつて、エチオピアの別の場所からほかのヒヒと争って敗れたためにここへ逃れてきたと言われています。夜間は数百頭もの群れをつくって絶壁の窪みなどで眠り、身を守っているゲラダヒヒたち。シミエン国立公園の切り立った崖が、外敵から守ってくれているのです。

ゲラダヒヒはとても賢く、約30種もの言語を持ち、ヒトの声に似た鳴き声や表情などでコミュニケーションを図っていると考えられています。また、争いを嫌うため、話し合いで解決しているという、まさしくヒトに近い動物といえるでしょう。

◎まとめ

出典: Jasmine Halki (CC BY 2.0)

標高4000m級の高地にある世界自然遺産「シミエン国立公園」をご紹介しました。ここに生息する動物、植生、光景などどれも素晴らしいものですが、日中は30度を超え、夜間は氷点下になるという寒暖差の激しい山岳地帯です。服装や準備を万全に整えるとともに、高山病対策を十分に行って、トレッキングやキャンプなどのツアーを満喫してくださいね。

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