アジアとヨーロッパの接点、魅力あふれるトルコの世界遺産16選

画像出典:Mehmet Cetin

アジアとヨーロッパの接点、魅力あふれるトルコの世界遺産16選

トルコ共和国はアジアとヨーロッパを繋ぐ場所にある国。昔から東西の交通の要所として、また文化の交流地として栄えて来ました。北は黒海に南は地中海、西はブルガリア、ギリシャ、東はジョージアなどに接し、多くの国に囲まれた自然豊かな国です。

トルコでユネスコの世界遺産に登録されているのは文化遺産が14件、複合遺産が2件で合計16件。2016年には「アニの考古遺跡」が新しく登録され注目されています。そんなトルコの世界遺産をご紹介します。

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アジアとヨーロッパの接点、魅力あふれるトルコの世界遺産16選

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1. イスタンブールの歴史地区

出典: Seqoya

最初にご紹介するトルコの世界遺産は「イスタンブールの歴史地区」。トルコ最大の都市イスタンブールはヨーロッパとアジアの境界に位置し、独特の文化を育んで来ました。旧市街にある歴史的建造物群など、4つの保護地区が世界遺産に指定されています。

ビザンツ建築の最高傑作と言われている教会堂「アヤソフィア」や、オスマン・トルコの繁栄のシンボル「トプカプ宮殿」を有する遺跡公園地区。「ブルー・モスク」と呼ばれる美しい「スルタン・アフメト・ジャミィ」や「地下宮殿」もこちらにあります。オスマン建築の代表作と言われる「スレイマニエ・モスク」があるスレイマニエ・モスク地区や、大城壁地区。さらにゼイレク・モスク地区など見どころは限りない町です。

2. ギョレメ国立公園とカッパドキアの岩窟群

出典: kudla

ギョレメ国立公園とカッパドキアの岩窟群は、トルコのほぼ中心にある世界遺産です。トルコのカッパドキアには「妖精の煙突」と呼ばれる奇石が並び、幻想的な風景が広がっています。これらの奇石は降り積もった火山灰や溶岩が風雨によって浸食され、何万年もの歳月をかけて生み出されたもの。カッパドキアでは早朝の気球による観光ツアーがおすすめ。眼下に広がる広大な世界遺産を見ながらの空中散歩は圧巻です!

トルコのギョレメ渓谷は、7~13世紀にかけてオスマン・トルコの迫害を逃れたキリスト教徒が隠れるように住んでいた場所。洞窟には聖堂や修道院が作られ、信仰を守ったと言われています。この地域にはギョレメ野外博物館やキノコ岩が谷一面に広がるパシャバー、地下都市など多くの見どころがあり、興味深い世界遺産となっています。

3. トロイの考古遺跡

出典: Standret

次のトルコの世界遺産はトロイ遺跡です。エーゲ海に面するトルコのイリオスにある遺跡で、トルコの世界文化遺産として登録されています。ホメロスの「イリアス」に伝えられるギリシア神話で「トロイア戦争」があったところとして知られていますが、ドイツ人のシューリマンが1871年に発見するまでトロイアの王宮の位置は分かりませんでした。

トルコの世界遺産であるこの遺跡は9層に重なり、戦争や地震、火災による崩壊、そして新たな建設と繁栄を繰り返したトルコの歴史を見ることができます。残念なことにシューリマンの乱暴ともいえる発掘調査により、貴重な遺跡の多くが破壊されてしまい、現在は遺構が残るのみとなっています。かの有名な「トロイの木馬」が遺跡の入口に再建されてるのが目印です。

4. ヒッタイトの首都 ハットゥシャ

出典: Cem OZER

次のトルコの世界遺産はヒッタイトの首都ハットゥシャ。トルコの首都アンカラの東約150kmにある遺跡で、紀元前17~前13世紀に栄えたハットゥシャは世界遺産に登録されています。

ヒッタイトは鉄製の武器を使用して勢力を拡大した騎馬民族で戦闘力に優れ、バビロニア王国やエジプト王国を脅かす存在でした。標高1000mの高原に8kmにもおよぶ城壁を作り、神殿や王宮を兼ねた壮大な城塞を残しています。大きな遺跡群が点在し、周囲の風景も素晴らしく、とても見ごたえがある世界遺産です。王の門などのオリジナルはアンカラのアナトリア博物館でみることができます。またルーブルや大英博物館などでもヒッタイトの出土品を見ることができます。

5. ディヴリーイの大モスクと病院

出典: emre ander

ディヴリーイの大モスクと病院は1985年に登録されたトルコの世界遺産。ディヴリーイはトルコのシヴァス県にある町で、13世紀頃に大モスクと病院が建設されました。世界遺産があるディヴリーイは、ヒッタイト後期から続くトルコでも最古の町としても知られています。

大モスクはルーム・セルジューク朝のアフメット王が建設を命じ、付属する病院は妻が建築を命じたもの。イスラムとアナトリアの伝統を融合させた様式が特徴で、扉口は植物・幾何学文様で飾られています。また、大モスクのドームを支える16本の石の円柱には、精緻な双頭の鷲などの動物模様、植物模様、文字などのレリーフが施されていて、見ごたえのある世界遺産となっています。

6. クサントス・レトーン

出典: yanugkelid

トルコ南部の地中海に面するアンタルヤにはたくさんの古代遺跡があります。その中で世界遺産に指定されているのは、レトーンとクサントスの遺跡です。トルコの世界遺産に登録されているクサントスはヒッタイトを滅亡させた海の民。何度も征服・破壊されましたが、紀元前6世紀から7世紀まで栄えました。ギリシア神話に登場する下半身が鳥で上半身が女性の「ハーピーの墓」が知られています。ここにあるのはレプリカで、オリジナルは大英博物館に所蔵されています。

クサントスから約6km離れたレトーンは、女神レト(レートー)が、ゼウスの子アルテミスとアポロンを生んだ場所ともされていて遺跡が残されています。1988年にクサントスとともにトルコの世界遺産として登録されました。

7. ヒエラポリス・パムッカレ

出典: muratart

ヒエラポリス・パムッカレはトルコ語で「綿の宮殿」という意味で、トルコ西部・デニズリ県にあり、トルコの世界遺産として登録されています。温泉地である「パムッカレ」と、パムッカレの丘の一番上にある遺跡「ヒエラポリス遺跡」からなります。

世界遺産のパムッカレは世界的にも珍しい石灰棚で、.鍾乳石でできたまっ白な台地が広がっています。石灰の純白と青い空の織り成す絶景は、多くの観光客を魅了しています。棚の一部は観光用に開放されていて、広大な風景を眺めながら足湯につかることができます。ヒエラポリスは台地の上にあるローマ遺跡で、トルコの世界遺産。ローマ時代の浴場や列柱、神殿跡が残されています。

8. サフランボル市街

出典: gayebilim

サフランボルはトルコ北西部の黒海沿岸地方にある都市で、香料のサフランから名付けられたと言われています。トルコの伝統的な建造物が建ち並び、トルコで最も古く美しい街と言われ、トルコの世界遺産として登録されています。

世界遺産のサフランボルは、黒海と地中海を結ぶ交易の要塞としてオスマン・トルコ時代に発展した街。13〜17世紀に建てられた歴史的建造物はとても見ごたえがあります。モスクやハマム(トルコ式浴場)、キャラバンサライ(隊商宿)、17世紀のキョプリュリュモスクや18世紀のイゼットメフメットパシャモスクと図書館、アラスタ・バザールなど、多くの見どころがある世界遺産です。

9. チャタル・ヒュユクの新石器時代遺跡

出典: fpolat69

チャタル・ヒュユクは、トルコ・アナトリア地方南部のコンヤ平原にある新石器時代から金石併用時代の遺跡で、トルコの世界遺産として登録されています。最下層は紀元前7500年に作られたと考えられていて、「世界最古の都市遺跡」と称されることも。

トルコの世界遺産チャタル・ヒュユクは川を挟んで2つの遺丘(テル)から成り、東側のテルは14層の文化層が確認されています。西側のテルは東側より小さく、2層にわたる彩文土器の発達した文化層が確認されています。トルコの世界遺産チャタル・ヒュユクには、5000人から8000人程の人々が住んでいたといわれ、住居跡のほかに天井画やレリーフ、彫刻などが残されています。

10. セリミエ・モスクとその社会的複合施設群

出典: Mehmet Cetin

セリミエ・モスクは、トルコのエディルネにあるオスマン・トルコ時代に建設されたモスクの1つで、トルコの世界遺産として登録されています。皇帝セリム2世の命により1568年から1574年に建設され、イスラム建築の最高傑作とも言われています。

世界遺産のこのモスクはキュッリイェと呼ばれる病院、学校、図書館、浴場などの集まった複合施設の中心に位置しています。スクは4基の高いミナレットに囲まれ、街のどこからでもドームが見れるような構造になっています。内装はゴールドの装飾が施され、優美で繊細なアラベスク文様や、ステンドグラス、イズニックタイルの可愛い花のデザインなど、一見の価値がある世界遺産です。

11. オスマン帝国発祥の地ブルサとジュマルクズク

出典: EvrenKalinbacak

ブルサとジュマルクズクは2014年6月にトルコの世界文化遺産として登録されました。標高2543mのウル山の麓に広がる自然豊かな街ブルサは、14世紀初頭にオスマン・トルコの最初の首都が置かれた土地。その東に約10kmのところにあるジュマルクズクはブルサを支えた後背地として栄えました。

ブルサは初代皇帝オルハンの陵墓を初め、多くのモスクやイスラム教学校、公衆浴場、貧民のための食堂などが残されているトルコの世界文化遺産。ブルサとともに世界文化遺産に指定されたジュマルクズクには伝統的な家並みが残っていて、現在、建物の多くはお店やレストランとして利用されています。

12. ペルガモンとその重層的な文化的景観

出典: Nejdet Duzen

トルコのペルガモン遺跡は、エーゲ海に近いアナトリアのミュシア地方にある古代都市。ペルガモンのアクロポリス遺跡は、トルコ・クルチャイ平原の標高335mの丘の上にあります。古代ペルガモン王国(アッタロス朝)の首都として栄え、トラヤヌス神殿、治療棟だったテレスフォロス神殿、劇場、柱廊、ギムナジウム、祭壇、図書館など多くの遺跡が残されている世界遺産です。

ヘレニズム美術を代表する建造物で遺跡のハイライトでもある「ゼウスの大祭壇」は、ベルリンのペルガモン博物館に復元され展示されています。ペルガモン遺跡はトルコの誇る世界遺産の一つとなっています。

13. アニの考古遺跡

出典: Linda Marie Caldwell

トルコのアニの考古遺跡は、2016年に新しく登録された世界遺産。アニはトルコ北東部、アルメニアとの国境近くにある町で、古代よりシルクロードの要塞として、また10世紀頃にはアルメニア王国バグラト朝の首都として繁栄しました。アルメニア王国は世界で初めてキリスト教徒を国教化した国として知られていて、アニはアルメニア教会の中心地として栄え、最盛期には1000以上もの教会がありました。

トルコのアニは様々な交易ルートが交わる交通の要所にあり、アニに建てられた宗教建築物・宮殿・要塞は当時の様々な文化の影響を受けたものとして世界遺産として登録されています。20世紀後半から発掘作業が行われ、トルコ政府によって遺跡の保存が進められています。

14. ネムルト・ダウ

出典: thipjang

ネムルト・ダウはトルコ東部・アディヤマン近郊のキャフタから40km 北に位置する標高2,134 mの山のことで、トルコの世界遺産として登録されています。トルコのこの山頂には、コンマゲネ王アンティオコス1世によって作られた、円錐状に積み上げられた墳墓があります。その大きさは直径150m、高さ50mもある巨大なもの。ただし、トルコでは発掘調査が進んでいないので、この世界遺産が王の墓所なのか、宗教儀式の場だったのか正確なところは分かっていません。

世界遺産の墳墓を守る鷹と鷲、ライオンの像や、王の座像、ギリシア・ペルシアの神像など数多くの巨大像が並んでいます。神像は全て首がなく、一説には偶像崇拝を禁ずるイスラム教徒によって落とされたとも言われています。落ちた頭が並んでいる光景は独特の雰囲気を醸し出しています。

15. ディヤルバクルの城塞とへヴセル庭園の文化的景観

出典: umut rosa

ディヤルバクルの城塞とへヴセル庭園の文化的景観は2015年に登録された、トルコの世界遺産。古代ローマ時代に築かれたディヤルバクルの城壁は、万里の長城に次ぐ世界で2番目に長い城壁です。この城壁に囲まれたディヤルバクル旧市街にはへヴセル庭園があり、時代ごとに中心的な役割を果たしてきた城塞都市。ディヤルバクルは、その5,000年の歴史の中で26の文明を生み出してきた、トルコの世界遺産です。

トルコのディヤルバクルの城壁は、長さ5.8km。16のやぐらと5つの門を持ち、中世の軍事建築の見事な代表作です。ヘヴセル庭園は都市への食料供給地として重要な役割を担っていました。また、この世界遺産は多くの固有種が生息してることでも知られています。

16. エフェソス

出典: Andrea Brandimarte

エフェソスはトルコ西部の小アジアの古代都市で、現在のトルコ・イズミル県のセルチュク近郊に位置しています。トルコが誇る世界遺産の一つで多くの観光客が訪れています。地中海に点在する古代ローマ遺跡の中でも随一の美しさを誇り、世界の七不思議にも数えられるアルテミス神殿跡や、パワースポットで知られる聖母マリアの家、使徒ヨハネ最期の地・聖ヨハネ教会など数多くの見所が点在しています。

世界遺産のこの遺跡には一万冊以上の蔵書を持っていたというセルシウス図書館、2万5000人収容可能な大劇場、イエスの母マリアが晩年を過ごしたといわれる礼拝堂などが残されています。またトルコが誇る世界遺産アルテミス神殿は、かつては多くの巡礼者が訪れたと言われています。

◎まとめ

東洋と西洋の文化が織り交ざるトルコは昔から交通の要所として知られ、豊かな文化が花開きました。現在、イスタンブールやアナトリア地方には多くの遺跡が残され、ユネスコの世界遺産に指定されています。また、カッパドキアやヒエラポリスなど自然が作る美しい光景も世界遺産に指定され、多くの観光客が訪れています。東京からトルコまでは12時間半のフライト。少し時間はかかりますがぜひ一度、歴史深い国トルコを訪れてみてください。

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