森と湖の国【スウェーデンの世界遺産】全15か所をご紹介!

森と湖の国【スウェーデンの世界遺産】全15か所をご紹介!

北欧諸国の中で最も広い国土を持つスウェーデンには湖と白樺の森が点在しており、人々は自然と共に暮らしています。スウェーデンの広大な国土に有する世界遺産は、文化遺産13件、自然遺産1件、複合遺産が1件あります。

面積は約45万平方キロと、日本を一回り大きくしたイメージのスウェーデン。南北に細長い国なので、場所によって自然や気候、人までも違いがあるのが特徴です。さっそく、ユネスコに登録されている世界遺産全15か所をご紹介していきましょう。

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森と湖の国【スウェーデンの世界遺産】全15か所をご紹介!

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1.エーランド島南部の農業景観

世界遺産「エーランド島南部の農業景観」

南北に細長いエーランド島には、石灰岩に覆われた平原「Stora Alvaret」が広がっています。生物多様性、そして先史時代からの人類の試行錯誤の歴史とが評価され、2000年に「エーランド島南部の農業景観」という名称で世界遺産登録されました。

やせた石灰質の大地は農作業などには適さないものの、他では見られないような生態系がみられます。不毛の土地で農業ができる土地は、海岸沿いにわずかしかありませんが、人々はそこに根気強く草を植え牧畜を営んできたのです。島の東岸のAlbyは先史時代に集落があり、当時の木造小屋の跡や、狩猟した動物たちの加工品も発掘されています。

2.ビルカとホーヴゴーデン

ビルカとホーヴゴーデン (スウェーデンの世界遺産)

ストックホルムから西へ約30kmほどのところに、メーラレン湖があります。

メーラレン湖に浮かぶビェルケ島に、バイキング時代の都市遺跡「ビルカ」があり、スウェーデン最古のキリスト教集会所の遺跡も残っています。アデルスユー島には、バイキングの王族の墓や王宮の遺跡「ホーヴゴーデン」があります。

この2つの町の遺跡は、バイキング社会に関する貴重な場所として、1993年に世界遺産に登録されました。バイキングの伝統的な建物は木造が多く、保存状態が良い遺跡を発見するのは難しいため、大変貴重な資料となっています。

3.ルレオのガンメルスタードの教会街

ルレオのガンメルスタードの教会街(スウェーデンの世界遺産)

ガンメルスタードは、北スウェーデンのボスニア湾に面した港町、ルレオの郊外にある小さな村です。ロシアとの領土争いの末、14世紀にスウェーデン領土となったこの地方は、ロシアへ国境を示すために石造りの教会を建てました。

その教会を取り囲むように、424軒の小さな木造家屋が建っています。これら巡礼者のための宿泊施設として建てられた木造家屋群は、現在も同じように利用されているんですよ。また夏の観光客向けのカフェやお土産屋さんとしても使われています。

ガンメルスタード教会街は当時の典型的な街作りの形を知ることができる場所で、保存状態がよく現役で使用されていることなどから1996年に世界遺産に登録されました。

4.ヘルシングランドの装飾農家群

ヘルシングランドの装飾農家群(スウェーデンの世界遺産)

ヘルシングランドは、緑豊かな松の森林に囲まれた中央スウェーデンのバルト海沿岸にある地方。ここにある美しい装飾農家群では、職人の技と伝統の歴史を目にする事ができます。

18世紀から19世紀に作られた1000を超える農家のうち、一般公開されているのは約50の農家。その中でも豪華な内装が施された7つの木造農家が、2012年に世界遺産に登録されました。

これらの家屋は、亜麻の栽培や森林開発で富を得た農家のもの。壁に張られたキャンパスや織物、木造の天井や壁に直接描かれた絵などの装飾が特徴です。そのデザインは地域性と民族性が混じり、今流行の北欧スタイルに通じる雰囲気も加味された感じのオシャレな建物。これらの農家を効率良く見て周るには、現地のツアーに参加するのがオススメです。

5.エンゲルスバーリ製鉄所

エンゲルスバーリ製鉄所(スウェーデンの世界遺産)

ストックホルムから北西に約120kmほど行った町に、エンゲルスバーリ製鉄所があります。17世紀ごろ、地域住民の経済活性化を目的として建造された製鉄所は、200年にわたって成長拡大を続けました。18世紀頃にはスウェーデンの経済を牽引する一大製鉄所にまで発展。同国の経済的なリーダーの地位を確立したのです。

ここには製鉄所の他に、雇用主の邸宅、従業員の住宅、事務所、水車、粉砕機、送風機などが数多く残っており、エコミュージアムの一部として見学できます。17世紀から19世紀の産業について知ることができる価値ある場所として、1993に世界遺産に登録されました。

6.ヴァールベリのグリメトン無線局

ヴァールベリのグリメトン無線局(スウェーデンの世界遺産)

ヴァールベリのグリメトン無線局には、無線通信の歴史の中で非常に貴重な「アレキサンダーソン式無線機」があります。現存するものの中で唯一動作することを評価され、2004年に世界遺産登録されました。

ハッランド県ヴァールベリの郊外に位置する超長波送信局の場所は、ヨーテボリから南へ約70km。アンテナは高さ127mの自立型鉄塔6基の間に渡されたワイヤで構成されているため、巨大な送電用鉄塔のように見えます。

この無線局の建設が決定されたのは、第1次世界大戦が起こり、安全で素早くアメリカと交信する必要が出てきた1920年。当時の最新技術を採用して、1922年から1924年にかけて建設されました。1996年に廃止になりましたが、毎年アレキソンデーの祝日にはモールス信号の記念放送が行われています。無線好きにはたまらないこの世界遺産は、夏の間のみ見学可能です。

7.ハンザ同盟都市ヴィスビュー

ハンザ同盟都市ヴィスビュー(スウェーデンの世界遺産)

ヴィスビューはバルト海に浮かぶゴットランド島北西に位置する町です。ゴットランド島は中世初期までバイキングの地でしたが、その後ヴィスビューが都市として発展。13世紀から14世紀頃には、ハンザ同盟の重要な中心都市の一つになりました。

ハンザ同盟は、中世後期から近世初期に北ドイツを中心にバルト海沿岸の貿易を独占し、北欧の経済を支配した神聖ローマ帝国に忠誠を誓う複数の都市で構成された同盟です。後に300年間デンマークに占領されましたが、1645年からスウェーデン領になりました。

市街は全長約3.5kmの城壁でぐるりと囲まれていて、映画『魔女の宅急便』の街のモデルになったひとつともいわれています。ハンザ同盟時代のに建てられた建造物や廃墟が200以上残されていて、街歩きが楽しいヴィスビューの街は、1995年に世界遺産に登録されました。

8.ファールンの大銅山地域

ファールンの大銅山地域(スウェーデンの世界遺産)

スウェーデン中部ダーラナ地方にあるファールンは、かつてスウェーデン最大の銅山があった場所です。17世紀には全世界の銅の生産量の3分の2を占めていたほどでした。

目をひくのは、1687年に起きた大崩落事故の跡。地表の直径約400m、深さ約100mの巨大な穴があいています!

事故の起きた日は、年に2度だけある休日だったため、奇跡的にケガ人が1人も出なかったのは本当に幸いでした。ただこれは無計画な採掘の結果で、この事故をきっかけにさらに深い所に地下坑道を掘るようになったそうです。

ファールンの銅はヨーロッパ中に運ばれ、フランスのヴェルサイユ宮殿の屋根にも使われています。現在は廃坑していますが18世紀に作られた従業員用の住居や聖堂などの遺構があり、ガイド付きツアーで内部の見学も可能。2001年に世界遺産登録されたファールンの大銅山地域で、アドベンチャー気分が味わってみませんか。

9.カールスクルーナの軍港

カールスクルーナの軍港(スウェーデンの世界遺産)

カールスクルーナはブレーキンゲ地方にある都市です。この地方は1658年にスウェーデン領になり、のちに当時のスウェーデン王カール11世の命により計画的に都市が建設されました。

現在でも、スウェーデン海軍の軍事基地と港があります。都市開設以来300年間、どの国からの攻撃も受けなかったので、当時の貴重な建造物が今なお完全な形で残されています。カールスクルーナの軍港は、1998年に世界遺産に登録されました。

カールスクルーナ港には多数の群島があり、その姿はまるで自然の要塞のよう。スウェーデン本土にかかる橋は1本のみで、それぞれ群島とはフェリーで結ばれています。

10.ターヌムの岩絵群

ターヌムの岩絵群(スウェーデンの世界遺産)

スウェーデン西部のブーヒュースレーン地方にあるターヌムスヘーデは、人口1600人の小さな街です。しかし1972年、青銅器時代の岩石線画が刻まれた平面岩が発見されたことで、一躍有名になりました。

100枚ほどのパネル画に約3000の岩石線画が描かれている非常に珍しい物で、最初の一枚は、建設工事中で発破を仕掛けようとして偶然発見されました。線画のモチーフはボートやワゴン、様々な道具や武器、そして狩りの場面などで、青銅器時代の人々の生活を知る貴重な資料になります。

ターヌムの岩絵群は6か所が世界遺産として登録されており、そのうち観光しやすいのはヴィートリッケ、アスプバリエット、リッスレビー、フォッスム の4か所です。公共交通機関を利用する場合ヴィートリッケが便利。ターヌムのヴィートリッケ博物館まではターヌム駅から、徒歩で約5kmです。

11.ドロットニングホルムの王領地

ドロットニングホルムの王領地(スウェーデンの世界遺産)

"北欧のヴェルサイユ宮殿"と呼ばれる優美なドロットニングホルム宮殿は、1991年に「ドロットニングホルムの王領地」としてドロットニングホルム宮殿、宮廷劇場、中国離宮、庭園が世界遺産に登録されました。

17世紀末にスウェーデン王カール11世の母后ヘ、トヴィヒ・エレオノーラの命によって建設されたドロットニングホルム宮殿。現国王カール16世グスタフは、1982年にストックホルム旧市街の王宮から環境のよいこの地に、王家の住居を移しました。現在、王家の住まいを除く一部が公開されていて、内部を見学することができます。

宮殿もさる事ながら、東京ドーム19個分という広大なバロック様式の庭園は壮観です。

12.スコーグスシュルコゴーデン(森の墓地)

スコーグスシュルコゴーデン(スウェーデンの世界遺産)

「スコーグスシュルコゴーデン」とは「森の墓地」という意味です。ストックホルム南部に新しい墓地が必要になり、コンペ形式で設計を募った物で、1917年に建設が始まり1940年に完成しました。

中には5つの葬儀チャペルがあり、年間二千を超えるセレモニーが行われています。北欧人にとって精神的な故郷といえる"森"へ還って行く人間の運命を直感的に悟らせるような建築表現を実現しており、葬儀に参列する遺族の深層心理にまで作用するような建築計画がなされています。

夏季は、墓地内を1時間半程度で周るガイド付きツアーが催行されています。スウェーデン語と英語のみですが、時間が合えば参加してみてください。

13.シュトルーヴェの測地弧

シュトルーヴェの測地弧(ノルウェーの世界遺産)

「シュトルーヴェの測地弧」とは、1816年から1855に掛けて子午線弧長の三角測量のために設置された三角点群のこと。10か国にまたがる珍しい世界遺産です。

ロシアの天文学者リードリヒ・フォン・シュトルーヴェが中心となったこれらの観測点群は、地球の大きさなどを正確に測る上で多大な貢献をしました。当時設置された265か所の測量点のうち、34か所が2005年に世界遺産登録されています。

スウェーデンには、キルナ、パヤラ、エーヴェルトルネオ、ハパランダにあります。
※写真はノルウェーの測量点です

14.ヘーガ・クステンとクヴァルケン群島

ヘーガ・クステンとクヴァルケン群島(世界遺産)

バルト海北部のボスニア湾沿岸にある世界遺産「ヘーガ・クステンとクヴァルケン群島」。ヘーガ・クステン(ハイ・コースト、高地海岸)はスウェーデン、クヴァルケン群島はフィンランドです。

「ヘーガ・クステン」とはスウェーデン語で「高い海岸」を意味し、屹立した断崖と数々の入り江、湖、島々などから成る非常に複雑な景観となっています。氷河が解けることによって土地が隆起する現象が地球上で最も顕著に現れていることから、世界遺産に登録されました。

この一帯は氷河期には巨大な氷床でしたが、溶けていくに従って陸地にのし掛かる重みが軽減。その反動で、年間平均1cmセンチ前後という顕著な土地の隆起(リバウンド現象)が惹き起こされました。2000年の登録当初はヘーガ・クステンのみの登録でしたが、2006年に同様のものとしてのフィンランドのクヴァルケン群島も追加登録されました。

15.ラポニア地域

ラポニア地域(スウェーデンの世界遺産)

「ラポニア」とは「ラップランド」のこと。スウェーデンをはじめノルウェーやフィンランド、ロシアにまたがっている先住民サーミ人が、かつてはトナカイの遊牧をしていた広大な地域のことを指します。国土として、スウェーデンやノルウェーに国境線は引かれていますが、サーミ人は元々同じ生活をする同種の遊牧民ですから、本来は国境はあってないようなものです。

スウェーデン国内のラポニアには、4つの国立公園と二つの自然保護区が域内にあり、スウェーデン政府と、サーミ人が共同で管理しています。ストックホルムからは1000km以上ありますが、飛行機で約1時間半、夏場は白夜、冬場はオーロラ鑑賞と異文化を楽しむ観光地として人気があります。

◎スウェーデンの世界遺産まとめ

スウェーデン ラポニア地域 のオーロラ

長い歴史と素晴らしい自然を持つスウェーデンらしい世界遺産はたくさんあります。ちょっと気軽に観光しには行けないようなものもあるので、的を絞って訪れるようにするのがいいかもしれません。北欧の短い夏の観光シーズンにはホテルや航空券も混みあうので、早めに計画をして楽しいスウェーデンの旅を楽しんでくださいね!

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