メキシコ伝統の文化・風習である「死者の日」について、2024年現在の最新情報をご紹介します。
「死者の日」。死者の魂がこの世に戻り、同じ日を過ごすという日本における「お盆」に近いイベントとなります。街中や家庭の祭壇ではマリーゴールドで彩られ、先祖の霊を飾り付けたり、ガイコツを置くことも。映画「リメンバー・ミー」の物語でも取り上げられたことで知られています。
本記事では2024年における死者の日の日程や、都市ごとの違い、実際に当日はどんなことをするのか、ぜひチェックしてみてください。
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【2024最新】メキシコの死者の日とは?|リメンバー・ミーにも登場!
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死者の日って何?
「死者の日」とは、中米の国メキシコで行われる1年に1度の伝統的なイベントです。11月1日から2日にかけて行われますが、2024年も同じく11月1日・11月2日が「死者の日」となります。
死者の日と日本語の文字にするとちょっと怖そうですが、死者や先祖が現世に帰ってくる日であり、日本でいうとお盆に近いイメージ。ただし日本のお盆と違って「死者とともに楽しく過ごす」という、暗さはなくむしろお祝いに近い1日です。10月31日が前夜祭となります。最終日である2日は最も盛り上がる日。お墓に集まって先祖について語り合ったり、お酒を飲んだりともろもろの内容で過ごすようです。
街中にはマリーゴールドが飾られますが、これはメキシコ(アステカ文明)が古来から崇める太陽神をイメージしているため。町中にマリーゴールドのオレンジ色が溢れることで、よりお祭り感を出しています。また、死者が戻ってくる際の道しるべにもなるそう。お墓もマリーゴールドで装飾され明るい雰囲気に包まれます。
他にも、日本でいう仏壇にあたる「オフレンダ」があちこちに出現し、故人の写真やドクロ、生前好きだったものなどが飾られます。家庭だけでなくレストランや広場にも設けられるので、当日はあちこちで目にすることになりますね。
仏壇や祭壇にドクロと聞くとどこか物騒なイメージですが、オフレンダ自体はカラフル。ドクロもグロテスクなものではなく、どこか可愛らしくポップなものとなっています。
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死者の日の歴史
メキシコの国をあげての一大イベントである「死者の日」ですが、いつからあったかなど、その起源については明らかになっていません。
ただし紀元前500年~1000年ごろから祖先のガイコツを飾る習慣があり、さまざまな形で死者の日の祝祭があったようです。
メキシコ(当時はアステカ文明)では古代から冥府の神を信仰し、やがてその信仰は「死者の貴婦人、カトリーナ」と呼ばれるドクロの女性へと変わります。その後はキリスト教も流入。現地文化と外来宗教が融合した結果、現在の「死者の日」の形となりました。
毎年死者の日には顔にスカルメイクを施し、ドクロ顔になって上述した「カトリーナ」の仮装をする人で溢れます。10月末のハロウィンと前後することから、ハロウィンパーティー感覚で楽しんでいる方もいます。
死者の日はどこで行われる?
「死者の日」は首都メキシコシティを始め、さまざまな都市で行われます。開催当日はメキシコのどの都市を訪れても「死者の日」を体験できるでしょう。
中でも「死者の日」が盛り上がることで有名な都市は「ミスキック」「オアハカ」「ハニツィオ島」の3都市で、いずれも「死者の日」を体験する際は特におすすめとなっています。
以下では、それぞれおすすめの都市でどんな「死者の日」が行われているのか見ていきましょう。
・ミスキック
ミスキックはメキシコシティから車で2時間ほどの場所にある町で、気軽にアクセス可能な点から人気な都市です。
ミスキックで行われる「死者の日」は特に賑やかであるとされ、露店の数も多く仮装パレードも開催されるなど見どころ満載です。
多くのマリーゴールドが飾られているのはもちろんですが、一番の見どころ教会墓地の装飾です。多量のキャンドルに灯されたオレンジ色の幻想空間が出現します!美しすぎるお墓の景色を楽しみましょう。
・オアハカ
オアハカはメキシコシティから車で7時間ほどかかる都市です。首都から離れてはいるものの、もっとも伝統的な「死者の日」が体験できる都市と言われています。
「死者の日」がもっとも盛り上がるのがアオハカともされており、オフレンダにも気合が入っているなど町全体がお祭りムードに包まれています。
ドクロの数も最も多く、夜間にはパレードもあり。墓地には多量のキャンドルが灯されます。前述したミスキックと同じく、幻想的な明かりが夜の墓地を包む光景は必見です。
日本のお盆では考えられない「お墓のデコレーション」によるご先祖様の出迎え。どんな飾りが施されるのか、まったくことなる死生観に触れやすいのもオアハカの魅力です。
・ハニツィオ島
続いてご紹介するハニツィオ島も、伝統的な「死者の日」が楽しめることで注目される街です。ハニツィオ島は島ですが海に浮かぶ島ではなく、湖である「パツクアロ湖」に浮かぶ島です。メキシコシティからは車で4時間、船で20分ほどの距離となっています。
ハニツィオ島はメキシコ国内でも伝統が残る地域とされており、島内には共同墓地があります。「死者の日」当日は全体がマリーゴールドに彩られ、煌々と輝くキャンドルによって輝きます。
「死者の日」としての見どころはミスキックやオアハカと同じですが、島が大きくないので各地を巡りやすく、のんびり屋台を見てみるなどお祭り感覚を楽しめる点がおすすめです。
ただしハニツィオ島のあるミチョアカン州は治安状況がよくありません。夜間、人気のないところへ一人で歩くなど、リスクのある行動は控えましょう。
死者の日は「リメンバーミー」でも取り上げられた?
死者の日はメキシコ特有の伝統・風習ですが、ピクサー映画である「リメンバー・ミー」が公開されて以降、世界的に知られるイベントになりました。
作中では「死者の日」が取り上げられており、死者の日の雰囲気やそのイベントの意義が全編を通してわかります。
生者全員に忘れられたり、遺影が飾られず消えてしまうことを「第二の死」と表現されています。それ故に、死者にとっては家族・親戚との結びつきがとても重要です。
死は生きることの延長であり、死してもなお違う世界である意味生き続け、「死者の日」には生者の世界へと帰る。日本とは異なる死生観が反映され、物語のポイントにもなっています。