【岩手の観光】宮沢賢治作品の源泉・イーハトーブの風景地を旅しよう

【岩手の観光】宮沢賢治作品の源泉・イーハトーブの風景地を旅しよう

宮沢賢治が愛した風景として知られる「イーハトーブの風景地」。岩手県内7か所の風景地で、国指定名勝にも指定されています。彼の作品にもたびたび登場するこの土地の風景は、素朴で心温まるスポットとして、全国から多くの観光客が訪れています。この記事では、宮沢賢治とゆかりのあるイーハトーブの風景地の見どころを紹介します。

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【岩手の観光】宮沢賢治作品の源泉・イーハトーブの風景地を旅しよう

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イギリス海岸

岩手県花巻市のイギリス海岸

出典: naonao / PIXTA(ピクスタ)

イギリス海岸は、岩手県花巻市にある美しい河川の風景です。瀬川と北上川の合流する付近に存在しています。白い泥岩層が露出する風景で、自然豊かな場所の「イーハトーブの風景地」の一つです。宮沢賢治は『イギリス海岸』という作品内で「全くもうイギリスあたりの白堊の海岸を歩いてゐるやうな気がするのでした。」と語っています。つまり、この白い泥岩層がイギリスの白亜の海岸を思わせると綴っており、憧れや懐かしさから敬意を込めて「イギリス海岸」と名付けられたと言われています。

しかし近年、ダム工事や河川の工事が進み、川自体の水位が上がってしまいました。そのためその美しい風景も見ることはとても難しくなっています。「イーハトーブの風景地」を巡っていても、出会うことはできないかもしれません。水位の状態によって泥岩層が見られるかどうかという貴重な風景です。

種山ヶ原

種山ヶ原は、岩手県奥州市や遠野市などをまたがる大きな物見山(種山)にある高原を指します。標高は600~870mと高く、ゆるやかな地形で絶景を楽しめる場所です。宮沢賢治はこの風景をとても愛していたと言われています。そのため作品にも多く登場し『風の又三郎』『種山ヶ原』『種山ヶ原の夜』の舞台となりました。

イーハトーブの風景地の一つでもあり、山自体が「史跡名勝天然記念物」として登録されています。エリアは大きく3つに分かれており、物見山とモナドノックスとイベント広場があります。モナドノックスとは山が浸食され平原となったところに、岩など浸食を免れたものだけが残ってできた丘のことです。

そういった自然を楽しみながら、イベント広場ではキャンプなどを楽しむこともできます。絶景に溶け込みながら自然と触れたい人におすすめの風景地です。駐車場や水洗トイレも完備しており、利用しやすい観光地です。車で「イーハトーブの風景地」を巡られる場合も問題ありません。

七ツ森森林公園

七ツ森も平成17年に国の名勝指定受けた、「イーハトーブの風景地」の一つです。宮沢賢治の多くの作品に登場し、影響を与えたと言われています。その土地に根付く自然と美しい風景は、今でも多くの人が訪れる場所です。今では岩手県雫石町が森を整備し、「七ツ森森林公園」として誰でも利用することができるようになりました。

遊歩道や炊事場、トイレなどを完備し散策、登山を楽しめる公園です。しかし利用可能期間は4月から11月の間のため注意しましょう。遊歩道や公園内は散策することができますが、自然を残した作りであるため散策にも十分配慮が必要です。

公園内を散策すれば、宮沢賢治が愛した風景を肌で感じることができます。キャンプ場を完備しているため、1日中楽しむことも。山の上から見る田園風景はまさに絶景です。日ごろの疲れを取れる森林浴としても利用できます。

狼森

七ツ森と小岩井農場の風景

出典: 安藤 鈴紋 / PIXTA(ピクスタ)

狼森は、岩手県岩手郡雫石町にある「イーハトーブの風景地」の一つです。標高380メートルの独立した丘で、国の名勝指定を受けています。宮沢賢治作品の中では、『狼森と笊森、盗森』に登場しています。狼森自体は現在「小岩井農場」にある丘です。

幼少のころ宮沢賢治は、この小岩井農場の農耕に魅了され頻繁に通っていたと言われています。『狼森と笊森、盗森』はイーハトーブ童話である『注文の多い料理店』に収録。その他にもこの小岩井農場を舞台とした作品もいくつか執筆しています。これからも小岩井農場と宮沢賢治の関りを知ることができます。

現在狼森のある小岩井農場は私有地です。そのため、原則観光で中に入ることはできません。しかし小岩井農場のガイド付きツアー「小岩井農場物語」に参加することで、狼森を含めた小岩井農場の自然を楽しむことができます。狼森に限らず宮沢賢治に深く影響した「小岩井農場」に興味のある方は、ツアーを利用しましょう!

釜淵の滝

夏の花巻・釜淵の滝

岩手県花巻市の花巻温泉近くにある釜淵の滝。宮沢賢治の作品『台川』に登場しており、その美しい風景から今でも人気の風景地です。この滝は高さ8.5mで幅広い岩盤を川の水が、まるで玉すだれのように流れていきます。その流れは滝つぼへと落ちていき、見た人を魅了する絶景です。周辺は自然豊かで、自然と調和する釜淵の滝には思わず見入ってしまう景色です。

四季の移り変わりとともに変化していくこの滝は、夏の緑や秋の紅葉、冬の雪景色と見事にマッチしています。周辺には遊歩道もあり、ゆっくり観光することが可能です。また、花巻温泉も近くにあるため、1日中楽しむことができます。

遊歩道は、温泉街から徒歩10分のところにあり、一周20分の適度な散策コースです。都会では触れることのできない自然に触れ、ストレスを発散することも。温泉と釜淵の滝で癒されたい人におすすめの風景地です。

五輪峠

岩手県花巻市にある五輪峠は、宮沢賢治の愛した峠と言われています。宮沢賢治はかつて交通の要所であったこの峠を、一生に何度も越えたと言われています。峠には五輪の由来ともなった塔が点在しており、宮沢賢治の見た風景を垣間見ることも。

五輪牧野記念碑には、宮沢賢治の詩が綴られています。その詩は、『五輪峠(定稿)』(『文語詩稿 五十篇』)の作品で今では名所の一つです。五輪峠からの眺めはまさに絶景です。周辺の趣ある雰囲気と相まって、作品の中に入ったような気持ちになることができます。しかしあまり整備されていない風景地であるため、観光の際は注意しましょう。また山の上であるため、天候など下調べをして行くようにしてください。

鞍掛山

鞍掛山から眺望する北上地方

出典: トモヤ / PIXTA(ピクスタ)

鞍掛山は、岩手県滝沢市にある標高897メートルの山です。緑豊かな自然は、宮沢賢治が大きく影響を受けた土地と言われています。下から望む鞍掛山は、四季折々で楽しむことができる場所です。現在でも、相の沢キャンプ場内には、鞍掛山が元となった「くらかけの雪」という詩碑が置かれ宮沢賢治の面影を感じることができます。

近年鞍掛山は、登山ブームも相まって登山客で賑わう山となっています。初心者でも登りやすい山道と標高で、リピーターも非常に多いです。また、登山道だけではなく遊歩道やキャンプ場もあり、自然を楽しむのにぴったりなスポットです。

夏にはバードウォッチング、秋には紅葉、冬にはスキーも楽しめる鞍掛山。イーハトーブの風景地を観光する傍ら、山を満喫することも。特に5月から10月にかけては、登山するのに最適です。しかし積雪の多い地域であるため、冬の利用は注意しましょう。

◎まとめ

宮沢賢治の愛した風景地「イーハトーブの風景地」についてご紹介しました。宮沢賢治の作品の源泉ともなった風景の数々は、どれも美しいものばかりです。実際に目の当たりにすることで、宮沢賢治の作品についてより深く知ることができるでしょう。しかし今では、確実に見られるものばかりではありません。岩手県内の各地に存在する絶景の数々を楽しんでみてはいかがでしょうか。

宮沢賢治が愛した風景として知られる「イーハトーブの風景地」。岩手県内7か所の風景地で、国指定名勝にも指定されています。彼の作品にもたびたび登場するこの土地の風景は、素朴で心温まるスポットとして、全国から多くの観光客が訪れています。この記事では、宮沢賢治とゆかりのあるイーハトーブの風景地の見どころを紹介します。

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