幕末~明治期の庄内地方の建築が集結!鶴岡市「致道博物館」の観光ガイド

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幕末~明治期の庄内地方の建築が集結!鶴岡市「致道博物館」の観光ガイド

山形県鶴岡市は歴史の深い街で、情緒ある昔ながらの風景を味わえる人気の観光地です。かつて庄内藩が栄えていた地であることから、幕末期から明治時代にかけて造られた建造物が多く残っています。その中でも致道博物館は、重要文化財に認定されている貴重な建物や庭園などが豊富です。今回は、致道博物館の起源や見どころなどについて詳しく解説していきましょう。

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幕末~明治期の庄内地方の建築が集結!鶴岡市「致道博物館」の観光ガイド

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致道館と致道博物館

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まずは、致道博物館の起源についてご紹介します。致道博物館の由来となった致道館を知ることで、知識を深めていきましょう。

■致道館とは?

致道博物館の名称の由来とされる致道館とは、1805年に創立された学校です。庄内藩酒井家9代目の忠徳(ただあり)によって建てられたもので、学びによる政治・経済の発展を目的としていました。いくつもの講堂が連なる広い敷地で学習が行われ、生徒数は約350名と多くの学生が学んでいたそうです。

■致道館の仕組み

現代の学校では1年ごとに学年が上がっていきますが、致道館では学習の進度に合わせて進級する仕組みとなっています。学習の方法は自習が主となり、現代でいう小学校から大学院までの学習を行っていました。当時使われていた書籍や資料などは、致道博物館に保存されています。

酒井氏庭園

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ここからは、致道博物館にある貴重な建物や庭園などについてチェックしていきましょう。最初にご紹介するのは酒井氏庭園で、国指定名勝に認定されている美しい庭園です。

日本庭園には様々な種類がありますが、酒井氏庭園は築山林泉庭園に分類されます。築山林泉庭園とは大きな池と林・書院などが一続きになったもので、酒井氏庭園も書院と融合している所が特徴の庭園です。いつ誰によって造られた庭園かは不明ですが、趣深い風景が楽しめると高い評価を得ています。

御隠殿

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次に解説するのは、1863年に庄内藩酒井家11代目の忠発(ただあき)によって建てられた御隠殿です。庄内地域にある歴史的建造物を認定する、日本遺産「サムライゆかりのシルク」の構成文化財に登録されています。

■御隠殿の特徴

御隠殿は江戸屋敷を解体・移築して建てられたものであり、鶴ヶ岡城三の丸御用屋敷に建てられました。玄関と奥の座敷は当時のまま残され、広々とした座敷は能を楽しむために作られています。

施設内には酒井家で使われていた調度品や鎧などが展示され、江戸時代の鶴ヶ岡城下に関する知識を学ぶことも可能です。

■庭園を見ながら抹茶を楽しむ

先ほどご紹介した酒井氏庭園とつながっているため、御隠殿の中から美しい景色を望めます。三餘室(さんよしつ)という茶室では抹茶をいただくこともでき、庭園を眺めながら味わえばほっと心も温まるでしょう。

旧西田川郡役所

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1881年に建てられた旧西田川郡役所は、歴史ある洋館として高く評価されている建造物です。当時では洋風造りが珍しかったという、旧西田川郡役所について詳しく見ていきましょう。

■旧西田川郡役所の建築様式

当時庄内地域で洋風の建造物を手掛けていた高橋兼吉は、鶴岡出身で西洋建築を学んだ人物として知られています。旧西田川郡役所は大工の石井竹次郎と共に建てられ、養蚕指導や繭の品評会などが行われていました。1969年には、重要文化財に認定されています。

旧西田川郡役所の建築様式はルネサンス様式であり、玄関や階段などにヨーロッパの雰囲気が感じられます。ルネサンス様式とは、15世紀頃からイタリア・フィレンツェで始まった古典時代を理想とした建築様式を指すものです。

■展示品

施設内の展示は、戊辰戦争で使われた品々や、庄内地域の考古学資料などを見ることができます。当時着られていた服や使われていた物なども展示されているので、昔の人々の暮らしを伺えるでしょう。

旧鶴岡警察署庁舎

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旧西田川郡役所と同じく洋風建築として残されているのは、旧鶴岡警察庁舎です。こちらも高橋兼吉が設計を手掛けており、爽やかなスカイブルーの外壁が特徴となっています。一度は白色の外壁になりましたが、2017年9月から行われた修理工事の際に建設当初の水色に塗り替えられました。

外観だけでなく内装にも洋風のデザインが施されており、洗練された様子から警察の威厳が感じられます。基本的にはルネサンス様式が用いられていますが、他の建築様式を組み合わせている部分もあり興味深い建造物です。

旧渋谷家住宅

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旧渋谷家住宅は、民家でありながら重要文化財に認定されている歴史ある住宅です。雪の多い山形県の中でも豪雪地帯として知られる田麦俣にあった住宅で、当時の状態をそのまま保存するため致道博物館へと移築されました。屋根裏部屋付きの3階建て住宅で、どこか懐かしい雰囲気が漂っています。

かつて田麦俣では養蚕業が盛んであったため、養蚕作業をする場所が広く設けられています。作業場や収納場所はもちろん、当時の暮らしを感じられる風景がそのまま残されている点も見どころです。旧渋谷家住宅は現代では珍しい茅葺屋根の家なので、外観にも着目してみるとより楽しめるでしょう。

旧致道館や鶴ヶ岡城も巡ってみよう

最後に、致道博物館の周辺にある観光スポットについても解説していきます。致道博物館の名称の由来となった致道館は今も残されており、旧致道館として学生が使っていた門や講堂を見ることができます。さらに、庄内藩の城である鶴ヶ岡城も魅力的で、城だけでなく神社や公園、資料館なども楽しめるスポットです。どちらも致道博物館のすぐそばにあるので、合わせて巡ってみてはいかがでしょうか?

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