LCC(格安航空会社)とは?メリット&デメリット!ANA/JALとの違いを解説

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LCC(格安航空会社)とは?メリット&デメリット!ANA/JALとの違いを解説

2000年代に入り、世界中で数多くの新しい航空会社が誕生しています。その原動力となっているのが、LCCと呼ばれる格安航空会社です。その名のとおり、これまでの一般的な航空会社と比べて、格段に割安な航空券を販売しているLCC。とはいえ、安いからには理由があるわけで、まったく何も知らずに利用すると、思わぬ出費や失敗につながってしまうこともあるんです。LCCとはいったい何なのか、この記事でその基本から注意点までわかりやすく解説します!

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LCC(格安航空会社)とは?メリット&デメリット!ANA/JALとの違いを解説

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LCCとは?

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LCCは「ロー・コスト・キャリア(low cost carrier)」の略で、日本語では直訳して「格安航空会社」といいます。それに対し、JALやANAのような従来の航空会社は「フルサービスキャリア」ないし「レガシーキャリア」と呼ばれますが、こちらは必ずしも定着した名称ではありません。

かつては使用できる機材も限られていたことから、各国の航空会社がカルテルを組み、高額な運賃で無競争に近い経営が行われていました。時代が進むと航空券の値下げを求める声が強まりましたが、アメリカのように広大な国土と大きな需要のある地域を除いては、新興の低価格航空会社が普及することはありませんでした。

1990年代に入ると、東南アジアの急激な経済成長や社会のグローバル化が進み、カルテルの維持がほぼ不可能となります。これを受けて世界中で航空業界への新規参入が進み、価格競争も加速。たくさんのLCCが誕生し、そして淘汰されている環境が生まれたのです。

LCC(格安航空会社)の一番の特徴はもちろん航空券の価格の安さであり、徹底したコスト削減がそれを実現しています。インターネットの普及により、チケットの販売や空港での手続き等にかかるコストが大幅に減少したことも、LCCの台頭の要因の1つです。今日では、フルサービスの大手航空会社が新しくLCCを立ち上げたり、子会社化したりする例も散見されます。

LCCとフルサービスキャリア、それぞれのメリットとデメリット

フルサービスキャリアとLCCを比較する際には、「サービスは充実している代わりに割高」な前者と、「サービスがシンプルな代わりに割安」な後者という2つの軸が基本となります。上げ膳据え膳の高級旅館か、すべてがセルフの格安ビジネスホテルに泊まるかの違いのようなものといえば分かりやすいでしょうか。

ただし飛行機については、乗り慣れていないとどこが異なるのか見えにくい部分もあるでしょう。双方のメリットデメリットを具体的に挙げると、以下のようになります。

LCC

<メリット>
・とにかく安い
・余計なサービスがない

<デメリット>
・荷物を預けるのに料金がかかったり、条件があったりする。
・機内での食事やドリンクはほとんどが有料
・空港のチェックインカウンターがフルサービスキャリアより遠いところにある
・キャンセルができない、またはキャンセル料が高めの設定
・シートがやや狭め
・マイレージサービスがない会社がほとんど

フルサービスキャリア

<メリット>
・機内食やドリンクなど機内サービスが充実
・シートが比較的ゆったりしている
・マイルが貯まる航空会社が多い

<デメリット>
・価格設定が高め
・乗り降りに時間がかかることがある

このように列挙すると、LCCはデメリットだらけのように見えてしまいます。ですがそれらはすべて、格安の航空券を実現するためのコストカットの努力なのです。

したがって、「ある程度のサービスは我慢するからとにかく安く飛行機に乗りたい!」という人にとっては、願ったりかなったりの航空会社ということになります。またデメリットに載せたなかでも、たとえば機内サービスが簡素な点については、飛行機での飲食や暇つぶしがとくに必要ない人にはむしろメリットといえるでしょう。

LCCを利用する際の注意点

安さがウリのLCCですが、上手に利用しなければ、かえってフルサービスキャリアよりも高くついてしまう事態もありえます。以下、とくに注意すべき点についてみていきます。

◆預け荷物は有料がほとんど

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機内に持ち込む手荷物のほかに、飛行機に預けるキャリーバッグなどの大きな荷物がある場合、LCCでは注意が必要です。LCCでは基本的に受託手荷物は有料となります。

預ける荷物が重くなるほど料金も高くなり、予約のあるなしでも価格が大きく異なります。そのため、海外旅行などでお土産をどっさり買い込んで、何も知らずにLCCを利用すると、本人よりも荷物の運搬代の方が高くなってしまうようなことにもなりかねません。

受託手荷物の運送料はLCCにとって重要な収入源の1つともなっているため、大きさや重さの測り方も、フルサービスキャリアよりシビアといわれています。背荷物ひとつでバックパッカーのように旅をするのであれば問題ありませんが、ショッピングを楽しんだり大きなキャリーバッグを引いて行く場合は、荷物の預け代を考慮に入れる必要があります。

◆キャンセルや変更ができないプランが多い

LCCの航空券は、キャンセルや変更が不可となっているものが大多数です。キャンセルや頻繁な便変更により収益が不安定化するのを防ぐためで、LCCがギリギリまでコストカットして格安航空券を実現していることの裏返しともいえます。

したがって、もし購入した便に乗れないとなると、その航空券は残念ながら紙切れと化してしまいます。セキュリティの問題から、航空券は他人に転売したり譲渡したりすることはできません。乗るかどうかまだ不確実という場合は、急いでLCCのチケットを予約することは避けた方が無難でしょう。

ただしフルサービスキャリアでも、早割のような特別なプランの場合は、キャンセルや変更に関する規定が通常より厳しいのでこちらも注意してください。

◆直前の航空券は割高

一般にLCCの航空券価格は変動制で、搭乗日と購入日の間が離れているほど、また残席数が多いほど安くなります。逆にいえば、人気路線のチケットを直前に買おうとすると、フルサービスキャリアとほとんど変わらない値段になっていることが予想されます。

かといって、あまり早くに購入しても、その後の都合で乗れなくなったりすれば、前述のとおり無駄な出費となってしまうことも。予定とフライトまでの日数のバランスをうまく取りながら予約しなければならないのが、LCC利用の難しい点の1つでもあります。

◆空港やカウンターが遠い

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ほとんどのLCCは、既存のフルサービスキャリアに対して新参であり、なおかつ設備投資は必要最低限。そのため、空港のなかでもLCCのカウンターは入口から最も離れた場所にあることが多く、場合によってはターミナルそのものが別棟になっていることもあります。

LCCに限らず、飛行機は保安検査場を通過する時間や搭乗口にいなければならない時間が「〇〇分前」という風に決まっていて、これを過ぎると非情にも搭乗できなくなってしまいます。万が一搭乗できなかったとしても、払い戻しや他の便への振り替えなどは一切ありません。

ですので、LCCを利用する際はJALやANAなど通常の航空会社のときよりも、時間に余裕をもって行動した方がよいでしょう。

また、複数の空港をもつ海外の大都市などでは、メインではなく郊外の遠く小さな空港に乗り入れていることもよくあります。あの有名な都市だからあの有名な空港!と早合点してしまうと、そもそも空港が違うという緊急事態に陥ってしまうので気を付けましょう。

◆遅延や欠航での他社便振り替えを行っていない

フルサービスキャリアであれば、航空会社のシステムエラー等でフライトできなくなった場合、他社便への振り替えやホテルの手配といった対応を取ってもらえる可能性があります(※悪天候の場合は不可。航空会社側に過失がある場合のみ。航空会社によって対応の違いあり)。

ですがLCCでは、理由の如何によらず基本的には払い戻しか他の自社便への振り替えしかできません。自社便といっても、LCCは1つの空港でそうたくさんのフライトをもっている訳ではないので、代替手段の手配は自分でしなければならないというのが実際のところです。

LCCはコストを切り詰めるために限られた機材をピチピチのスケジュールで飛ばしていることもしばしば。なのでひとたび何か問題が発生すると、雪崩式にその日のフライトすべてに影響が及びます。LCCを利用する際は、欠航や遅延時の対応についてある程度事前に考慮しておくことも大切です。

日本国内線の格安航空会社

今や世界にはすでに多数のLCCが存在しています。それらすべてを取り上げるのは大変なので、ここでは日本の国内線に就航している格安航空会社について、簡単にご紹介します。

なお、割安な格安券を提供しつつも厳密にはLCCではない航空会社も多いので「非レガシーキャリア(=ANA/JAL以外)」として、以下紹介していきます。

スカイマーク(※LCCではない)

スカイマークは、日本の新規参入航空会社の記念すべき第1号です。羽田空港を拠点とし、北海道から沖縄まで全国11の空港に就航しています。ANA/JALに比べればリーズナブルなので、LCCと思われがちですが、厳密には違います。「フルサービスキャリア」という方が正しいです。

神戸⇔茨城などスカイマークのみが運航している路線があるなど、国内格安航空会社のさきがけとして大きな存在感を放っています。空港カウンターがJALやANAのカウンター近くにあるのも、利用しやすいポイントの1つです。

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ピーチ(※LCC)

関空を拠点とするピーチ・アビエーションは、ANAホールディングスの連結子会社。2019年に成田空港をハブとする同じANA傘下のバニラ・エアと統合しました。こちらの航空会社はLCCです。

愛らしいピンク色の期待が目を引く一方、自動チェックイン機の簡素化や受託手荷物をオプションとするなど、徹底したコストカットもピーチの特徴といえます。就航都市も多く、旅行や出張でシンプルに飛行機を利用したい人におすすめです。

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エア・ドゥ(※LCCではない)

こちらもANA傘下のエア・ドゥ(AIR DO)は、北海道へ行くなら必見の格安航空会社。分かりにくいですがLCCではありません。羽田からは道内6か所の空港へ乗り入れているほか、新千歳へは仙台・名古屋・神戸からのフライトもあります。

DOマイルという独自のマイレージサービスを行っているのも特徴で、出張など定期的に北海道を訪れる予定のある人にはさらにうってつけです。ドリンクが無料なのも嬉しいポイントで、お茶やコーヒーのほか、道産のタマネギを使用したオニオンスープやオホーツクの塩サイダーも飲めちゃいます。

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ソラシドエア(※LCCではない)

ソラシドエアは打ってかわって、九州と沖縄をメインとする格安航空会社。羽田と九州の5都市を結んでいるほか、那覇から九州各地や石垣島、そして名古屋から鹿児島への便も就航しています。

全便がANAとのコードシェアで、ソラシドエアの独自マイル以外にANAマイレージへの積算も可能。受託手荷物の受け入れに個数制限がなく、合計重量20kgまで無料というのも大きな利点です。

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スターフライヤー(※LCCではない)

2002年設立のスターフライヤーは、北九州空港を拠点とする格安航空会社のなかでも異色の存在。半分以上が漆黒に塗装された高級感のある機体が特徴で、シートにも黒の本革を採用するなど大人なフライト空間を創出しています。

タッチパネルの液晶モニターが導入されていたり、USBポートやAC電源が完備されていたりと、お値段以上の座席の快適性が魅力。ハブは北九州空港ですが、羽田や関空、中部、福岡の主要都市間のフライトもあります。

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ジェットスター・ジャパン(LCC)

ジェットスターは、オーストラリアのカンタス航空グループに属するLCCブランドのシリーズ。外国資本を親会社の1つにもちながら、日本国内のLCCとしては断トツの就航都市数を誇っています。

国内線のほかに、フィリピン・中国・台湾・香港と国際線も幅広く運航。カンタス航空は安全面での評価も高く、安心・安定のLCCとして信頼を集めています。

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春秋航空日本(LCC)

こちらは中国のLCCである春秋航空が3分の1を出資して設立された格安航空会社。別称の「SPRING JAPAN(スプリング・ジャパン)」の呼び名でも知られています。

すべての便が成田空港発着で、国内では新千歳・広島・佐賀の3路線を運航。とくに佐賀便や広島便はLCCとしては珍しく、人気路線となっています。また国際線でも、成田から中国5都市へのフライトが就航しています。

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エアアジア・ジャパン(LCC)

エアアジア・ジャパンは、マレーシアの格安航空会社エアアジアを主体として設立されたLCCです。国内線ではJAL・ANAの日本大手2社の出資を受けていない唯一のLCCでもあります。

2017年に運航を開始した新しい航空会社で、2019年現在で就航しているのは中部国際(名古屋)⇔新千歳(札幌)の1路線のみ。ですが名古屋・札幌間が片道4000円台と破格なことから、早くも話題になっています。

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日本に就航している海外のLCCについて

海外の格安航空会社についても、簡単に解説しましょう。

前掲のとおり、LCCで最も注意しなければならないのが、手荷物を無料では預けられない場合がほとんどという点です。顧客獲得競争の激しくなった今日、国外の航空会社ではフルサービスキャリアでありながらLCC並みの低価格で運航しているところもあります。ですので、値段の如何にかかわらず、海外航空券を予約するときは受託手荷物や座席指定が有料かどうかをきちんと確認しておくことが大切です。

LCCは基本的に長距離用の大きな機体を持たないので、日本に就航している格安航空会社はアジアのものがほとんどです。前出のジェットスターやエアアジア、春秋航空をはじめ、東アジアおよび東南アジア等から多くのLCCが日本路線を運航しています。

とくに韓国はLCCが発達している国の1つで、ティーウェイ航空やジンエアー、エアソウル、チェジュ航空など選択肢が豊富。また中国のLCCも多いですが、北京首都航空あたりがサービスもよく人気です。台湾ならタイガーエア台湾、香港なら香港エクスプレス航空が定番。中距離便としては、タイのノックスクートやシンガポールのスクート、ベトナムのベトジェットエアなどもおすすめですよ。

まとめ

LCCは、もはや世界の航空業界で動かしがたい地位を築いています。日本でも新規参入が続いたり、逆に統合が行われたりと、注目すべき動きが次々と出てきています。安さが魅力のLCCですが、きちんとした予備知識をもって利用しないと、思わぬトラブルや損害をこうむってしまうことも。今回の記事を参考に、ぜひ快適でオトクな空の旅を楽しんでください。

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