台北は台湾こと中華民国の首都で、政治や経済、文化、金融、教育、ビジネスの中心です。台北市は、その周囲をぐるっと囲う新北市と合わせて台湾の最大都市圏を形成しています。台北市は12の区から成っていて、新北市と合わせると41もの行政区があります。
今でも台北は発展を続けていて、台湾大学や師範大学、中央研究院などの高等教育機関が台北市に設置されています。北東にある「内湖サイエンスパーク」には、台湾全土のニュースメディアや通信センターが集約されています。また、台北101のある信義区は、台北経済のシンボルともいえる場所。台湾で欠かせない夜市も、台北市内には数多く点在しています。
それでは、そんな多くの顔をもつ台湾市について、エリアごとに簡単にご説明しましょう。
中正区
台北駅のある中正区は、台湾の政府機関が集まる中心的なエリア。かつて台北府城があったところで、現在の台北市では南西部に位置しています。
台北市政府と市議会は、信義区に移設される前は中正区に置かれていました。さらに、台北駅は台湾最大の交通拠点となっています。政治・経済の中心的エリアで、2010年に開催された「台北国際花博覧会」では、キワタが中正区の区花となりました。
中山区
中山区は中正区の北側に伸びるエリア。孫文(孫中山)の屋敷(現在の国父史跡紀念館)があったことから命名されました。中山区は台北駅にも近く、早くから開発されたエリアです。街の中心を中山北路が通り、その先には台北を代表するホテル「圓山大飯店」がそびえています。沿道には多くのホテルや銀行が立ち並び、台北を代表するメインストリートです。平行する林森北路も、紅燈区として知られている繁華な通りになっています。
基隆川の北側は、1990年代半ばから高級住宅として開発が進められてきました。また、台北市立美術館も中山区にあります。台北観光でこの区の土を踏まないことはないというくらい、重要なエリアといえます。
信義区
信義区は、台北の南東に広がるビジネスの中心地。台北市政府や台北市議会、そして高層タワー「台北101」で有名なエリアです。もともとは松山区の一部でしたが、松山区の人口が多くなりすぎたため、1990年に分割されました。
信義の商業ゾーンにはデパートが立ち並び、多くの企業が本社を置いています。台北を代表する観光名所となった「台北101」は、世界で5番目に高い超高層ビルです(2017年3月現在)。そのため、台湾で最も国際的なエリアであるとして、台北の裕福層が数多く信義区に集まっています。こうして新たな発展の段階に入った信義区では、新しい都市計画に基づいて街が整備されています。都市づくりの段階で景観にも配慮されていることから、台北の歴史的な中心エリアと異なり、美しい街並みが魅力となっています。
士林区
基隆河の北岸に広がる士林区は、近代国際台北のなかにあって緑の多いエリア。なんと北東には「大屯火山群」と呼ばれる山々がそびえています。標高1120メートルの雄大な七星山や里山の風景がのどかな竹子湖、阿蘇の草千里を思わせるような擎天崗大草原など、自然の観光スポットも点在しています。
台北市街に近いところには有名な観光名所も多く、世界三大博物館の国立故宮博物院や蒋介石が住んでいた「士林官邸」は台北観光の定番といえるでしょう。また、台湾といえば夜市が有名ですが、士林区には台北でも一、二を争う規模の士林夜市があります。地下鉄淡水信義線を利用すれば台北中心部からもアクセスが良く、隠れたグルメスポットなども多いエリアです。
◎まとめ
中正区、中山区、信義区、士林区と、台北市内の4つの区をご紹介しました。地域ごとに趣が異なるので、エリアごとに観光してみるというのも面白いかもしれません。
台湾は、かつては日本の統治領だった時代もあり、高齢者の中には日本語が話せる人も多くいます。全体的にも親日的といわれ、どのエリアを歩いても不快な思いをすることは少ないでしょう。台北観光でどこからどう楽しむべきか、参考にしていただければ幸いです。