名称:Aflaji Irrigation System of Oman
公式・関連サイトURL:http://whc.unesco.org/en/list/1207
中東の国として知られるオマーンは、アラビア半島の東にあり、インド洋とオマーン湾に面しています。砂漠が多く、石油の輸出国としても有名なオマーンですが、紀元前頃から生活に不可欠な水路システムがありました。ファラジと呼ばれており、複数形はアフラジです。オマーンには、生活用や農業用など
3000以上あるアフラジは現在でも利用されています。
その中でも5箇所のアフラジは「オマーンの灌漑 (かんがい) システム アフラジ」として世界遺産にも登録されており、多くの観光客を魅了。今回はそんな昔から存在している高度な技術を利用したオマーンの世界遺産をご紹介します。
目次
高度技術を利用した歴史ある世界遺産!オマーンの灌漑システム・アフラジ
オマーンの灌漑システム・アフラジとは?
オマーンでは、井戸の底を横穴でつなぎ地下水路を使用する灌漑システムがあり、それをファラジと呼んでいます。ファラジは生活用水や農業用水の供給のために利用され、国内だけでも3000以上のファラジが点在。その中の5箇所、ファラジ・アル・カトメーン、ファラジ・アル=マルキ、ファラジ・ダリス、ファラジ・アル=ムヤッサール、ファラジ・アル=ジェーラが、2006年にユネスコの世界遺産に登録されました。
ファラジの歴史はいまだに解明されていない部分が多く、いつ頃から利用されていたかは定かではありません。ただ、わずかな高低差を利用して水を供給するための土木技術の利用や、水が人々に公平に行きわたるように各水路に水を流す時間を日時計でコントロールしていたという近代的な技術の利用など、優れた文明的なシステムでした。さらに国土の8割が砂漠を占めているオマーンにとって、ファラジは重要なシステムであったことも推測されます。
ファラジは何を水源として、どのような供給路で水を運ぶかによって3つのジャンルに区別されています。そのジャンルは流水のない涸れ川を水源としてするものでファラジの約半分が当てはまる「Ghaili」、山中の湧水を水源とする「Aini」、地下水を水源とする「Daoudi」です。
オマーンの灌漑システム・アフラジへのアクセス
日本からオマーンへは、アジアや中東の国を経由し、首都のマスカット国際空港まで行きます。アフラジは、5箇所あるので、それぞれ車で1~2時間ほどで行けますが、バスやタクシーなどが少ないため、予め手配しておくことをおすすめします。
オマーンの灌漑システム・アフラジのおすすめポイント2
ファラジ・アル・マルキ
世界遺産に登録されている5箇所のアフラジの中でも、特に観光客から人気のスポットとなっているのが最大級の規模を誇る「ファラジ・アル・マルキ」です。ファラジ・アル・マルキは、オマーンの首都であるマスカットからニズワへの道中にある都市イズキに位置しており、アクセスの良さも魅力の一つ。
イズキに張り巡らされている水路は、どこまでも続いており、スケールの大きさに圧倒されますよ。いつ頃造られたのか詳しくわかっていませんが、5世紀頃には形成されていたと考えられています。当時の文化と歴史が感じられる世界遺産なので、是非オマーンに訪れた際は、立ち寄ってみてはいかがでしょうか。
ファラジ・ダリス
出典: Richard Yoshida/shutterstock
アフラジの中で、最古と考えられているのが「ファラジ・ダリス」です。マスカットから南西に約160kmの所にあるニズワにあり、近くにファラジ・ダリス・ホテルがあるので、ゆっくり観光したい方にもおすすめ。
ニズワの町は、それほど大きくないのですが、中心部にニズワ・フォートがあり、城壁の中には中東らしいお城が聳えます。町には、ファラジが張り巡らされていることもあり、緑が生い茂って美しい光景。公園の中や所々空いた穴には、水が流れ、乾燥した町のオアシスのような存在です。人々の生活になくてはならないファラジ・ダリスにぜひ訪れてみてくださいね。
◎まとめ
世界遺産オマーンの灌漑システム・アフラジをご紹介しました。土木技術や日時計の利用など文明的なシステムを使い、現在も利用されている貴重な世界遺産です。是非オマーンに訪れた際は、世界遺産オマーンの灌漑システム・アフラジに足を運んでみてはいかがでしょうか。