名称:Land of Frankincense
住所:Frankincense, Dhofar
公式・関連サイトURL:http://whc.unesco.org/en/list/1010/
オマーンの世界遺産、ドファール地方に位置するフランキンセンスの国土。フランキンセンスとはドファールを中心としたアラビア半島南部に自生する樹木のことです。この樹木からはクレオパトラも愛用したと伝わる、非常に貴重な香料「乳香」が採れることで知られているんですよ。
世界で最も高価な香料の1つとして数えられ、この世界遺産の地ドファールは、その乳香を中心に栄えた貿易の地。そのためオマーンを代表する世界遺産「フランキンセンスの国土」は長い間、別名「乳香の道」の名でも親しまれてきました。今回はそんな貿易で栄えた土地、フランキンセンスの国土についてご紹介します。
目次
かつて栄華を誇った幻の「乳香の土地」!オマーン世界遺産フランキンセンスの国土
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フランキンセンスの国土とは?
世界遺産フランキンセンスの国土の歴史は、紀元前2世紀まで遡ります。古代から中世に至る時期アラビアでは乳香貿易が非常に盛んとなり、この地は大いに栄えたのです。しかし長い年月が経ち、いつしかその存在は完全に忘れ去られてしまいました。
ところが1990年代初期ドファール地方を撮影していた衛星写真で、偶然都市遺跡が発見されます。そして調査の結果2000年に乳香貿易に携わった街や港の歴史的価値が認められて世界遺産になりました。その栄華を彷彿させるウバール遺跡、アル・バリード遺跡、サムフラム遺跡などドファール地方のあちこちに点在する遺跡群がまとめて世界遺産として認められています。
そんな世界遺産が点在するドファール地方には、乳香の採れるフランキンセンスの樹木が約8平方キロにわたって群生していました。現在実物のフランキンセンスの樹は、ワジ・ダウカー乳香公園で見ることができますよ。決して水分や栄養素が豊富でない土地で、力強く生きるその姿には感動すらおぼえます。
フランキンセンスの国土へのアクセス
フランキンセンスの国土に点在する遺跡群へ行くには、オマーンの首都マスカットから飛行機を利用するか自動車をチャーターして砂漠を横断するかのどちらかになります。自動車の場合は約9~10時間の長旅になりますので、よく整備された自動車かどうかしっかり確認してからチャーターしてくださいね。
フランキンセンスの国土のおすすめポイント①:ウバール遺跡
フランキンセンスの国土に含まれる世界遺産の中でも有名なのが「失われた遺跡」という異名を持つウバール遺跡。ドファール周辺に実在した街としてコーランやアラビアンナイトに登場しています。しかしその姿は長い間発見されることなく、存在自体が疑われていた古代都市でした。
90年代にドファール周辺をNASAの衛星が空撮したところ、ルブアルハリ砂漠に広がる交易路を偶然発見。調査隊の発掘が始まって間もなく、大きな要塞跡や当時の人々が交易で得たのであろう陶器などが次々と見つかりました。
要塞跡は地下が空洞になっており現在も湧水が確認されることから、古代都市は地盤沈下によって消滅したと考えられています。
フランキンセンスの国土のおすすめポイント②:サムフラム遺跡
同じく「乳香の道」として世界遺産に登録されたサムフラム遺跡。ドファールのホール・ルーリにある、かつて乳香交易で栄えた古代都市の遺跡です。現在もかつての城壁や神殿跡に貯蔵庫など、多くの歴史的建造物を確認することができますよ。
かつての人々が記した碑文や出土品も多くそれらは都市では移民たちが暮らしていたこと、ドファール地方が乳香の産地であったことなど多くの事実を伝えてくれます。サムフラムが滅びたのは7世紀頃で、それまでは乳香交易の拠点として非常に栄えた都市でした。
砂漠の多いドファール地方ですが、海に面したサムフラム遺跡。かつてはそこに暮らした人々の、現在はそこに生きる動物たちのオアシスとなっています。
フランキンセンスの国土のおすすめポイント③:アル・バリード遺跡と乳香博物館
世界遺産の1つ、アル・バリード遺跡があるのはドファール地方サラーラからさらに東、乳香博物館の目の前です。こちらはドファール地方の世界遺産に含まれる他の遺跡に比べると、かなり観光しやすく整備されています。
目の前に広がるのはかつて都市があったと思われる広大な敷地。重厚な建造物を彷彿させる支柱や土台、城壁が残り、こちらも乳香の交易で栄えたことがよく分かります。後ろに輝くのはアラビア海、かつて多くの人々が乳香を求めてこの海を渡ってきました。
敷地内の乳香博物館にはそんな交易に使用されたダウ船をはじめオマーン・ドファールの歴史、乳香の歴史などが展示品とともに分かりやすく解説されています。乳香博物館も世界遺産に含まれ、乳香に関する貴重な資料は、世界的にも高く評価されています。
◎まとめ
オマーンの世界遺産「フランキンセンスの国土」についてご紹介しました。クレオパトラが愛した香りの原料「乳香」が採れるフランキンセンスの木。滅多にお目にかかることのできない貴重な樹木ですね。その樹が自生し、かつて交易で栄華を誇った世界遺産の古代都市遺跡は砂漠の中で静かに眠っています。香りとともに世界遺産を観光すれば、太古のロマンを感じられそうですね。