タジキスタンの治安は改善傾向にあるものの、国境付近は要注意！

中央アジアの真ん中に位置するタジキスタンは、国土の半分以上が標高3,000mを超える山岳地帯です。絶景スポットとして知られるパミール高原や高地にある温泉など、一度は訪れたい観光名所が目白押し！
しかし残念なことに、日本の外務省をはじめとした国際的な評価では、タジキスタンの治安は非常に悪いとされています。ここでは、そんなタジキスタンを訪れる際に注意すべき点などをご案内していきます。

1.不安定な国内政治

タジキスタンは、かつて旧ソ連の一部でした。1991年のソ連崩壊後にロシアから独立したものの、国内はそのまま安定せず内戦が勃発。その後、内戦は終結しましたが、国内に反政府勢力が残り治安は不安定なままでした。

2011年には主な反政府勢力が一掃されたと言われていますが、その後も選挙を撹乱するための爆弾テロなどが度々発生しています。国際的な評価で治安が悪いとされる理由は、この不安定な政情にあると言えるでしょう。内戦やテロはどうしようもないトラブルですので、渡航の計画は慎重に立ててください。

2.国内インフラ整備の遅れ

旧ソ連崩壊後に独立したものの、内戦が頻発したことにより国内のインフラ整備が滞っています。それが現在も尾を引いており、いまだに道路や通信、上下水道などが通っていない地域が多く残されているのです。治安の良し悪しとは別ですが、旅行者も落石や雪崩、感染症などには要注意ですよ。

また、政治が安定せず経済の流れもいびつだったため、貧富の格差が拡大しています。特に都市部では治安の乱れの原因となっており、富裕層を狙った窃盗や強盗などの犯罪が多発。必ずしも旅行者を狙った犯罪ではありませんが、一般的な治安の悪さにもつながっています。

3.アフガニスタンとの国境エリアは要注意

タジキスタンは南側をアフガニスタンと接していて、それが治安にも大きな影響を与えています。アフガニスタンの混乱に乗じて、タジキスタン国内の反政府勢力も南部の国境近くに潜伏しているのだとか。実際に国境付近では、反政府勢力による銃撃戦が起きています。

南部は非常に治安が不安定であることから、外務省が発信する海外危険情報で「レベル3：渡航中止勧告」に指定されています。この辺は交通インフラも整っておらず、問題が起きても簡単に移動できない場所でもありますので、決して近寄らないようにしてください。

4.国際犯罪組織も潜んでいます

アフガニスタンとの国境付近では、越境してきた犯罪集団による事件が問題になっています。密輸業者も武装しているため、タジキスタン治安機関との間で銃撃戦が発生することも。また、アフガニスタンからの侵入や反政府勢力の鎮圧のため、この地域には多くの地雷が設置されています。地域住民がその地雷の犠牲になっている例もありますので、絶対に立ち入らないようにしましょう。

5.一般的な国内の治安状況

ネガティブな情報ばかりをご紹介してしまったので、「もはやタジキスタンを訪れるのは無理なのでは？」と思われるかもしれません。しかし、これまでにお伝えした状況は、すべて国内政治や国際情勢の影響による大きな事件です。国内の治安状況、つまり一般国民の暮らしはまた別のものがありますよ。

首都ドュシャンベや、古都ホジェントなどの主要都市部の治安はさほど悪くありません。スリや置き引きなどの被害はありますし、夜間が少々物騒であることは事実ですが、一般的な旅行中の警戒を怠らなければ危険は感じない程度の治安です。気を引き締めつつ観光を楽しんでください。

6.山岳地帯の治安状況

タジキスタンは国土のほとんどは山岳地帯で、町や村は人が住んでいてもかなりの小規模です。まだまだ観光客は少ないので外国人に不慣れな雰囲気ですが、イスラム教徒が多く非常に親切な習慣が根付いています。タジキスタンが治安の悪い国と評価されていても、一般の町や村が危険な訳ではないのです。

ただ、山中を移動するには整っていない道路を通る必要があり、土砂崩れなどのリスクもあります。また、反政府勢力や地雷の脅威があるのもお忘れなく。一面だけでは判断できないのが、タジキスタンの治安とも言えますよね。

◎まとめ

タジキスタンの治安は、簡単には判断できません。それぞれの都市や村の治安は問題なくとも、国内政治や国際状況によって一気に命の危険を感じるほどの状態になることもあるからです。隣国から国境を超える際は、日本大使館やタジキスタン大使館が相談に乗ってくれますので、慎重に情勢を見極めて安全な旅行を楽しんでくださいね。

タジキスタンの治安は改善傾向にあるものの、国境付近は要注意！