インドの世界遺産・全35スポット|一度は見てみたい有名観光名所

インドの世界遺産・全35スポット|一度は見てみたい有名観光名所

インドの世界遺産は2019年までに、文化遺産27・自然遺産7・複合遺産1の合計35スポットが登録されています。そのどれもが興味深い場所ばかりで、見ごたえたっぷり。インドの国土は広く、言葉も文化も宗教もとんでもないくらいバリエーション豊かで、それらがごちゃ混ぜになっている混沌さも大きな魅力です。カルチャーショックが連続するインドの世界遺産全35か所をご紹介します。

目次

インドの世界遺産・全35スポット|一度は見てみたい有名観光名所

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1.タージ・マハル

タージ・マハル(インドの世界遺産)

インドで一番有名な建造物といっても過言でない「タージ・マハル」。北インドのアグラにはタージ・マハルを一目見ようとインド国内はもとより世界中から沢山の観光客がやってきます。ムガール帝国5代皇帝シャー・ジャハーンが愛する妻ムムターズ・マハルの為に建てた総大理石の白亜の霊廟がタージ・マハルです。

1632年の着工から常時二万人の労働力を投入し、22年もの歳月をかけて1653年に完成した時には、国庫は空っぽになっていたという恐ろしい話が伝わっています。四分庭園と4本のミナレットを従えた霊廟は緻密な計算により、完璧な左右対称を誇っています。1983年に世界遺産に登録されました。

2.エローラ石窟群

エローラ石窟群(インドの世界遺産)

エローラ石窟群は5世紀から10世紀にかけて作られた仏教12窟、ヒンドゥー教17窟、ジャイナ教5窟からなる石窟寺院群です。仏教、ヒンドゥー教、ジャイナ教はどれもインドで生まれた宗教ですが、これら3つの宗教建築が同じ場所に並んでいるという世界でも類を見ない場所なんです。

エローラ石窟群の中で最も有名なものが、ヒンドゥー教石窟であるカイラーサナータ寺院。巨大な一枚岩から掘り出した石窟寺院は高さ32メートル、幅45メートル、奥行きは85メートル。200万トンの岩を100年かけて彫り込んだというから、想像を絶します。ちなみにインドの他の石窟群であるアジャンター石窟群、エレファンタ石窟群はエローラ石窟群と併せてインド三大石窟群と呼ばれ、3か所ともに世界遺産に登録されています。

3.ハンピの建造物群

ヴィルパークシャ寺院(インド世界遺産ハンピの建造物群)

ムンバイの南東に位置するハンピ。14世紀にヒンドゥー教のヴィジャヤナガル王国が王都に定め、多くの宮殿やヒンドゥー寺院が建てられ栄華を極めました。その後1565年のターリコータの戦いでムスリム5王国連合軍に敗れ、廃墟と化してしまいました。

残された40ほどの歴史的建造物の価値から1986年に世界遺産に登録されています。現役寺院で彫刻が美しいヴィルパークシャ寺院や、ヴィジャヤナガル様式の最高傑作と言われるヴィッタラ寺院など見どころがたくさんありますよ。

4.ブッダガヤの大菩提寺

ブッダガヤの大菩提寺

出典: suronin / shutterstock.com

今から約2500年前に釈迦が悟りを得てブッダになった場所、それがブッダガヤの大菩提寺(マハーボーディー寺院)です。仏教発祥の地であるブッダガヤはネパールのルンビニ、インドのサールナート、クシナガルと共に仏教の四大聖地に数えられ、世界中から多くの僧侶たちが訪れる場所になっています。

大菩薩寺の本殿では、悪魔を退散させる降魔印を結び、チベット仏教の影響を受けた黄色い袈裟を纏った金色の釈迦如来像が参拝者を出迎えてくれます。52メートルの大塔の脇には巨大な菩提樹があり、その下には釈迦が悟りを得たという金剛宝座があります。ブッダガヤの大菩提寺は、2002年世界遺産に登録されました。

5.アジャンターの石窟寺院群

アジャンターの石窟寺院群(インドの世界遺産)

インド三大石窟群の一つアジャンターの石窟群は、マハラシュートラ州デカン高原の北西部にあります。ワゴーラ川周辺の断崖を550メートルに渡ってくり抜いて作った大小30からなる仏教石窟寺院で、1983年に世界遺産登録されています。その歴史は古く、紀元前2世紀前後には開窟されていたといわれています。

当初は上座部仏教または南伝仏教、小乗仏教と呼ばれる時代で、その後放棄されていましたが3世紀から5世紀に大乗仏教が普及するに伴って再び開窟されました。この時代には柱や天井に彫刻や絵が描かれるようになり、説話のレリーフなどは文盲の人にも教えを説く役割を果たしました。その後ヒンドゥー教が広まっていきグプタ朝がヒンドゥー教を国教とした事で、この石窟寺院群は7世紀から8世紀頃に再び放棄され、密林の中に埋もれていったのです。

6.ラージャスターン州の丘陵要塞群

ラージャスターン州の丘陵要塞群(インドの世界遺産)

インド北西部ラジャスタン州には世界最大級の砂丘地帯が広がっています。この辺りには8世紀頃からラージプート族が住み、ヒンドゥー教を主体とした独自の文化を築いていました。この砂漠地帯はインド、ペルシャ、トルコをはじめ多くの民族が行き交う要衝だったので、丘陵地帯に堅固な要塞を築きオアシス都市を作ったのです。ラジャスタン州の各地には時代の違う要塞や城がいくつも残されています。

ジャイサルメール・フォートは12世紀に作られ、黄色の砂岩で築かれた難攻不落の城は数百年に渡り、ジャイサルメールの町を守ってきました。城内には今も3000人の人々が暮らしています。

チットールガル・フォートはラージプート諸王国のひとつ、メーワール王国の都城でした。首都が移されたあと廃墟と化しましたが、城跡には2つの塔だけが残されていて登ることができます。チットールガルは他にもパドミニ宮殿、ラナ・クンバ宮殿やミーラー・バーイ寺院など、多くの建築物が残っています。

7.デリーのフマユーン廟

デリーのフマユーン廟(インドの世界遺産)

インドの首都デリーの中心部に建つデリーのフマユーン廟は、ムガル帝国第二代皇帝フマーユーンの霊廟です。フマーユーンは22歳でムガール帝国の2代目として父から王位継承。しかし国には問題が山積みで、父が築いた領土の大部分を10年で失ってしまいます。失意の中流浪を続けていた33歳の時に19歳のペルシャ人、ハミーダを見染めて結婚します。ペルシャの支援を受けデリー奪回に成功しましたが、1556年に階段を踏み外して転落、亡くなってしまいました。

ハミーダは亡き夫の為にヤムナー川のほとりに壮麗な墓廟を作るように命じ、9年の歳月をかけて完成したものがフマーユーン廟です。チャハルバーグ(四分庭園)と呼ばれる四つの区画に分けられた正方形の庭園で、王妃の出身地ペルシャの影響を色濃く受けています。約100年後に建設されたアグラの「タージ・マハル」に影響を与えたといわれ、インド初のムガール様式霊廟として1983年世界遺産に登録されています。

8.サーンチーの仏教建造物群

サーンチーの仏教建造物群(インドの世界遺産)

インド古代史の中で最初の統一国家であるマウリヤ朝の、最盛期を築いた第三代王アショーカ王は、紀元前3世紀頃、8万4千もの仏舎利(釈迦の遺骨)を安置するストゥーパを作りました。そのうちの8つがサーンチーに建てられ、現在3つが残っています。それぞれ第一塔、第二塔、第三塔と名付けられ、アショーカ王の石柱などが見どころです。14世紀以降は廃墟となり忘れ去られていたものが発見されたのは1818年。

盗掘者などにより荒されていましたが、1912年からイギリスの考古学者ジョン・マーシャル卿の発掘調査により全貌が明らかに。インドの仏教遺跡において非常に重要な物として、ストゥーパや周辺の建築物が1989年世界遺産に登録されました。

9.大チョーラ朝寺院群

大チョーラ朝寺院群(インドの世界遺産)

南インドのタミルナードゥ州中南部にある2つのブリハディーシュワラ寺院、そしてアイラーヴァテシュワラ寺院を合わせ「大チョーラ朝寺院群」として世界遺産に登録されています。これらは9世紀から13世紀にチョーラ朝の王たちにより建造されたヒンドゥー寺院です。

11世紀初頭に首都タンジャーヴールに建てられたブリハディーシュワラ寺院は、当時世界一の規模を誇った南方型寺院の最高峰で、英名をビッグテンプルと呼ばれる程。本堂の頂部にはシカラと言う半円型の石が置かれています。シカラは人間界と神界の境界をあらわすもので、その重さは80トン!どのようにして持ち上げたのか、方法は現在も謎のままです。チョーラ朝の繁栄、そして建築技術がいかに進んでいたかを今に伝えている世界遺産です。

10.エレファンタ石窟群

エレファンタ石窟群(インドの世界遺産)

ムンバイの東約10キロ、ボートで約40分程にあるエレファンタ島。ここにはインド三大石窟の1つ、エレファンタ石窟があります。7つの寺院がありますが、状態が良いのは第一窟のみ。他は残念なことに16世紀ポルトガル統治下にここを訪れたポルトガル人が、ほとんどを破壊してしまいました。島の名前もポルトガル人が象という意味のエレファンタと名付けたもので、もともとはガーラプリ島と呼ばれていました。

石窟群は6世紀から8世紀頃の建造物といわれていますが、碑文などがないために正確な年代は不明。石窟の見どころは、壁に掘られた高さ5.7mもあるシヴァ神の三面上半身像。ヒンドゥー美術として価値が高く、世界遺産登録の要因の一つになりました。エレファンタ石窟群は1987年世界遺産に登録されています。他にも踊るシヴァ神や半男半女の姿で描かれたレリーフなど、その素晴らしい彫刻類や巨大な神殿など見ごたえのある石窟群です。

11.ファテープル・シークリー

ファテープル・シークリー(インドの世界遺産)

ファーテープル・シークリーは、16世紀ムガール帝国第三代皇帝アクバルが、古都アグラから遷都して築いた都で、勝利の都という意味があります。皇帝アクバルはアグラを拠点に勢力を伸ばし、インドのほぼ全土を手中に収めました。歴代皇帝の中でも最も人気がある皇帝で絶大な力を持っていましたが、世継ぎに恵まれなかったのが唯一の問題でした。

そこでシークリー村に住むイスラムの賢人を訪ねたところ、5年以内に3人の子供に恵まれるという予言を受けたといいます。その予言通り、三年連続で男児を授かった事に感謝して、遷都したのがファーテープル・シークリーです。

デリーからアグラに遷都したのにアグラ城の完成を待たずに、ファーテープル・シークリーに遷都したのは、一説には皇帝がアグラの暑さに辟易していたからだと言われています。インドの木造建築様式を取り入れたイスラム建築という新たな建築様式を生み出した新都でしたが、皇帝は14年住んだだけで現在のパキスタン領であるラホールに都を移しています。ファーテプル・シークリーは1986年に世界遺産に登録されました。

12.パッタダカルの建造物群

パッタダカルの建造物群(インドの世界遺産)

カルナータカ州北部にあるパッタダカルには、6世紀から8世紀に建てられたヒンドゥー寺院が9つあります。南方型と北方型両方の様式の異なるヒンドゥー寺院が混在する遺跡である事が評価され、1987年に「パッタダカルの建造物群」として世界遺産に登録されています。これらの寺院はチャールキヤ朝の宗教建築最盛期を示すもので、インド東部や中部の寺院にも大きな影響を与えているといいます。

南方型とは、ピラミッドの形をした直線的な稜を持ち、先端を空に向けた砲弾型、ヒマラヤを模した高い塔状の様式が北方型。中でも最大規模を誇るヴィルーパークシャ寺院の壁や天井には、隙間がないほどのスケールのシヴァ像が彫刻されています。荘厳な本堂が見ものですよ。

13.カジュラーホの建造物群

カジュラーホの建造物群(インドの世界遺産)

カジュラーホの建造物群は10世紀から13世紀、ガンジス川中流域で栄えていたチャンデーラ朝により建造された寺院群。当時は85もの寺院がありましたが、現存するのは25のみです。13世紀にイスラム勢力に脅かされるようになり、14世紀には全土を征服されています。偶像崇拝を禁止するイスラム勢力により、寺院にある彫刻の大部分は破壊されてしまいました。

西群、東群、南群に分かれていて、もっとも良く残されているのが西群。寺院のレリーフには隙間がない程の動物や男女が絡み合うミトゥナの彫刻が施されていて、一つとして同じものはないといわれています。豊穣祈願が込められているという無数の彫刻は図案の面白さだけではなく、クオリティも高く一日あっても足りないくらい見ごたえがあります。カジュラホ自体は小さな村ですが、ライトアップのショーや、カンダリアダンスショーなどもあり観光客にとって楽しめる世界遺産です。

14.ゴアの教会群と修道院群

ゴアの教会群と修道院群(インドの世界遺産)

16世紀のゴアはポルトガル領で、首都リスボンを模して作られヨーロッパ並みの街並みが広がる美しい都市でした。現在その街並みは消え、当時の面影が残る教会群と修道院群が1986年世界遺産に登録されました。見どころはゴアの地にキリスト教を普及した宣教師、フランシスコ・ザビエルが眠るボム・ジェム聖堂、アッシジサンフランシスコ修道院教会、セ・カテドラルなど。ゴアはポルトガル植民地時代は東方世界におけるキリスト教化の中心地でした。

植民地政府の支配権が明らかになってからは、キリスト教への改宗運動が高まり、多くのヒンドゥー寺院が破壊されています。交易の為にやってきたポルトガル人を含め、人口は20万人までに達しましたが、17世紀に蔓延したマラリアとコレラにより町は荒廃し、総督により首都は9キロ西にあるパナジに移されました。放棄された都市は新都市と区別する為にオールドゴアと呼ばれています。

15.マハーバリプラムの建造物群

マハーバリプラムの建造物群(インドの世界遺産)

インド南部タミル・ナードゥ州カーンチプラムにある、マハーバリプラムは6世紀以降東西貿易の拠点として発展し、海岸と岩山に数多くの寺院や彫刻を作りました。花崗岩の岩山を掘削して作った石窟寺院や岩壁彫刻、石彫寺院、最初の石造寺院と言われる石積みの海岸寺院などはインドにおける中世建築発祥の地の建造物として重要だと認められ、1985年世界遺産に登録されています。

特に有名なのは5つのラタと呼ばれる石彫寺院で、当時の木造寺院を模して壁面にライオンや象などが刻まれている特異な遺跡として知られています。建造群は徒歩圏内に点在しているので、見事な岩壁のレリーフや寺院の彫刻を見ながら、のんびりと散策するのにピッタリ。ココナッツやアイスクリーム売りが店を出し、土産物屋が並ぶのどかな雰囲気の世界遺産です。

16.コナーラクのスーリヤ寺院

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12世紀末に西方から攻めてきたイスラム勢力に対抗し続けたガンガ王朝が、インド東南部でイスラム勢力を打ち破った勝利の記念に建てた、太陽神スーリヤを祀る寺院がコナーラクのスーリヤ寺院です。

美しいビーチを持つ小さな村コナーラクにあり原型をとどめていない寺院。この寺院を有名にしているのは壁面を彩るヒンドゥー彫刻です。太陽神スーリヤが7頭の馬にひかれる馬車に乗ってきたというインド古代文学「ヴェーダ」をモチーフにした馬車が彫られ、基壇の両側面に12ずつ合計24固付けられた高さ3mもの車輪が目をひきます。

建設に1万2千人の労力を要し、膨大な資金を投入した寺院も、本殿部分は基礎を残すのみで倒壊しています。完全な形で残されている拝殿も、石で入り口が塞がれている事から、砂地では巨大な重量を支えきれなかったのではないか、と推測されています。コナーラクのスーリヤ寺院は1984年に世界遺産に登録されています。

17.アーグラ城塞

アーグラ城塞(インドの世界遺産)

ムガール帝国全盛期の権力を象徴するアーグラ城は、デリーからアグラへと遷都したムガル帝国第3代皇帝アクバルにより建てられました。その後3代に渡り皇帝の居城となりましたが、現在見られるほとんどの部分は、第五代皇帝シャー・ジャハーンの時代に造られた物で、彼の好みの白い大理石造りの華麗な宮殿が造られています。

そのシャー・ジャハーンが亡き妻の為に国庫を空にしてまで建てたのが、かの有名なタージ・マハル。後の後継者争いで勝った息子アウラングセーブは父であるシャー・ジャハーンをこの城に幽閉しデリーに移り第6代皇帝を名乗っています。シャー・ジャハーンは幽閉された間からタージ・マハルを眺めながら亡くなったといいます。

18.赤い城の建造物群

赤い城の建造物群(インドの世界遺産)

デリーにある赤い城は、ラール・キラーと呼ばれるムガル帝国時代を象徴する城塞。オールドデリーのシンボルとして毎年8月15日のインド独立記念日にはこの城で首相演説が行われます。タージ・マハル建設で知られる第5代皇帝シャー・ジャハーンがアグーラから遷都し、自分の名を付けた新都市シャー・ジャハーナバード(現在のオールドデリー)に居城として1648年に建てられた建造物です。

2007年に隣接するサリームガル城と共に、「赤い城の建造物群」として世界遺産に登録されました。1857年のインド大反乱時にイギリス軍が駐屯地として接収し、兵舎を作るなど城内を大幅に改造したため、当時の面影は城壁や城門など一部にしか残されていません。

19.ケオラデオ国立公園

ケオラデオ国立公園(インドの世界遺産)

ラージャスタン州にあるケオラデオ国立公園には、ソデグロヅルのような絶滅危惧種や希少種が越冬の為に飛来してきます。最初は窪地に過ぎなかったこの地に18世紀、堤防が築かれ水が満たされ鳥たちが集まるようになり、今では230種類以上の鳥類が生息しています。

この地の領主だったスーラジ・マルの目的は狩猟で、歴代の領主たちがこの地で狩猟をする事が伝統になり、イギリス統治下、インド独立後まで続いていました。オートリクシャやレンタサイクルで国立公園内をのんびりとバードウォッチングしながら散策してみましょう。1982年に国立公園になり、1985年に世界遺産に登録されています。

20.インドの山岳鉄道群

ダージリン・ヒマラヤ鉄道

インドの山岳部を走る3つの鉄道を対象にしている世界遺産です。ダージリン・ヒマラヤ鉄道が世界遺産登録されたのちにニルギリ山岳鉄道とカールカーシムラ―鉄道が追加登録されています。ダージリンヒマラヤ鉄道は、イギリス統治時代の1881年開通。紅茶の輸送と避暑客の為にイギリスが作った鉄道です。

1899年開通のニルギリ鉄道は標高100mのメットゥパラヤムから標高2200mのウダカマンダラムまでの46キロを走る登山鉄道で、16のトンネルと208のカーブ、250以上の橋を通り5時間かけて走ります。カールカーシムラー鉄道は1903年にイギリス統治時代の夏の首都シムラーへの交通機関として開設されました。カールカーからシムラーまでの96キロを美しい景色の中5時間かけて走る人気の鉄道です。

21.西ガーツ山脈

西ガーツ山脈(インドの世界遺産)

インド西海岸沿い、総延長1600キロに渡って連なる西ガーツ山脈。平均標高約1000メートル、最高峰は2695メートルのアナミュディ山です。アラビア海からの湿潤な風は西ガーツ山脈にぶつかり海側に大量の雨を降らせ、デカン高原側には乾燥した風を吹き降ろすのです。インド全域の気候に大きな影響を与えていて、多くの河の水源にもなっています。

熱帯にありながらモンスーンの影響で高山森林の生態系を持ち、アフリカ由来とアジア由来の生物が混在、生物多様性と固有種の多さを誇ります。これらの特徴から2012年世界遺産に登録されています。

22.大ヒマラヤ国立公園

大ヒマラヤ国立公園

インド北部ヒマーチャル・プラデーシュ州クルにある大ヒマラヤ国立公園。ヒマラヤ山脈の西側の連なる山頂、高山植物の草原、河川沿いの21もの森林を含みます。生物多様性のホットスポットの一部で、絶滅危惧種や希少種の生物が生息、2014年に世界遺産に登録されています。ヒマラヤ山脈の名山、エベレストはネパールのサガルマータ国立公園に含まれています。

大ヒマラヤ国立公園内は環境保護の為に立ち入りが制限されていて、事前の許可が必要です。個人活動はできないので、トレッキングツアーなどに参加して観光する事になります。トレッキングは年間通じて可能ですが、7月から9月初旬の雨季と、12月から2月の降雪シーズンは気候が過酷なため避けた方が良いでしょう。

23.マナス野生生物保護区

マナス野生生物保護区(インドの世界遺産)

マナス国立公園は1985年にカジランガ国立公園、ケオラデオ国立公園とともにインド初の自然遺産として世界遺産に登録されました。インドの北部と一部ブータンに位置するマナス国立公園は、インドで最も重要な自然保護区の一つでアジアゾウ、イッカクサイ、ゴールデンラングール、ウンピョウ、ゴールデンキャットなどが公園内の草原に生息しています。

1980年代から1990年代初頭、民族紛争が起こり密猟が横行。一時は危機遺産に登録されましたが、民族紛争は解決し密猟防止の取り組みも始まり、現在は危険遺産登録は解除されています。ボートでマナス川の川下り、ジープで公園内の散策、象の背中に乗って、様々な方法で観光する事ができますよ。

24.ビンベットカの岩陰遺跡群

ビンベットカの岩陰遺跡群(インドの世界遺産)

中央インドのデカン高原ビンディア山脈の麓。ビンベッドカの岩陰遺跡群には5つの岩塊があり、中には400以上のロックシェルターがあります。これらは中石器時代から有史時代にかけての岩窟住居群だと考えられていて、発見された壁画から大きく分けて7つの時代に分類されています。

古い物は3万年前。壁画には狩猟をする人間の姿や馬に乗って槍を持った男たち、踊っている人々などが描かれていて当時の人々の生活を知る手掛かりになります。動物園岩と呼ばれる一枚岩には象、バラシンガ、バイソン、鹿が描かれ、孔雀や蛇、鹿の姿も。遺跡群は二キロほどに渡って点在しているので、面白い岩絵を見逃す事がないように現地ガイドをつけて周るのがおススメ。2003年に世界遺産に登録されています。

25.ナンダ・デヴィと花の谷国立公園

ナンダ・デヴィと花の谷国立公園

標高7816メートルのナンダ・デヴィはインド内にそびえる山の中では最高峰。主峰と東峰が猫の耳のように見える双耳峰が特徴で、女神ナンダが住むヒンドゥーの聖なる山として守られてきました。宗教的な意義と脆弱な生態系を保護する目的で、頂上と頂上を囲む高峰をナンダ・デヴィ聖域として1983年より地元住民も含めて入山が禁じられています。1988年に世界遺産に登録されました。

インド北部ウッタラカンド州にある花の谷国立公園は、ヒマラヤ山脈西部、標高3500メートル前後に位置する長さ10キロメートル程の大きな谷で、人里れたヒマラヤの奥地の高山植物の宝庫。初夏のころまで深い雪に覆われ、亜高山帯の花畑を形成する最高の条件下にあるため夏はシオガマギク、キンポウゲなどが咲き、幻と言われるブルーポピーなどが咲き乱れます。この美しい花の谷国立公園は、2005年に世界遺産に登録されました。

26.デリーのクトゥブ・ミナールとその建造物群

デリーのクトゥブ・ミナールとその建造物群(インドの世界遺産)

ニューデリーの郊外15キロに位置するインド最古のイスラム遺跡群。奴隷王朝の建国者クトゥブ・ウッディーン・アイバクが北インドを制圧した記念に、1192年に建てたのがモスクに付属する塔(ミナレット)クトゥブ・ミナールです。国内のヒンドゥー教徒たちへイスラムの勢力を誇示する意味もあり、100メートル近い高さのミナレットを建てたと言われています。

地震や落雷による修復の跡があり高さは72.5メートル。世界一の高さといわれていましたが、現在はモロッコのカサブランカにあるハッサン二世モスクのミナレットが200メートルで世界一です。もともとあったヒンドゥー寺院を破壊して石材を利用し、またヒンドゥー教徒の職人に造らせたのではと考えられており、ヒンドゥー様式とイスラム様式が混在する珍しい建物になっています。一帯の遺跡群と合わせて1993年世界遺産に登録されました。

27.チャンパネール・パーヴァガドゥ遺跡公園

チャンパネール・パーヴァガドゥ遺跡公園

インド西部のチャンパネール・パーヴァガドゥ遺跡公園は大きく二つの地域に分けられます。一つは城壁の中にあるチャンパネール村で、もう一つは南西4キロ地点にある パーヴァガドゥ山の一帯です。チャンパネールは4世紀頃からヒンドゥー王国として栄えていました。15世紀にこの地を征服したスルタン、マフムード・ベガダにより街づくりが行われ、数々のモスクが建てられたのです。

その後16世紀になりムガール帝国のフマユーン帝に敗れ、一帯は廃墟となってしまいました。パーヴァガドゥ山にはヒンドゥー教寺院とジャイナ教寺院があり、多くの人が巡礼として訪れる聖地。チャンパネールからは、乗り合いバスで中腹まで生き、そこから山頂まではロープウェイが出ています。2004年に世界遺産に登録されています。

28.グジャラート州パタンのラーニー・キ・ヴァーヴ(女王の階段井戸)

ラーニー・キ・ヴァーヴ(インドの世界遺産)

インド世界遺産の中では比較的近年に登録されたのがラーニキ・ヴァヴ、別名女王の階段井戸です。慢性的に水不足のグジャラート州には、このパタンだけではなく、あちこちに見られるのが階段井戸。貴重な水を人々に供給するのはもちろん、水の蒸発熱を利用した天然のクーラーの役割もあるのです。

1050年にソランキー朝の王妃が作らせため、女王の階段井戸と言われています。奥行き64メートル、幅20メートル、深さ27メートル、階層としては7層。そのスケールにも驚かされますが、井戸の壁面に掘られたヒンドゥーの神々や説話の彫刻の緻密さと美しさは圧巻です!何世紀も泥に埋もれいて、その全容が明らかになったのは1986年の事。埋もれていたからこそ、破壊されることも風化することもなく、その姿を今に見せてくれているのです。

29.スンダルバンス国立公園

スンダルバンス国立公園のベンガルトラ

スンダルバンス国立公園はバングラデシュとの国境に近い、インド東部の西ベンガル州に位置する国立公園。世界最大規模のデルタ(三角州)地帯の一画で、数多くの希少種や絶滅危惧種の生物が生息しています。1970年代に絶滅の危機に瀕したベンガルトラの保護の為にプロジェクトタイガーという運動がおこり、ベンガルトラ保護地域に指定され、次いで森林保護地区に、そして1984年に国立公園に指定されています。

世界遺産に登録されたのは1987年の事。スンダルバンス国立公園の見学は船上からか国立公園内に三か所ある観察塔からのみですが、西ベンガル州観光開発公団が毎年10月から3月に1泊2日のツアーを開催しているので時間が合えば参加してみてはいかがでしょう、貴重な体験になりますね。

30.ジャンタル・マンタル

ジャンタル・マンタル(インドの世界遺産)

ラージャスターン州の州都ジャイプールにあるジャンタル・マンタルは天体観測の為の施設。天文学者でもあったムガール帝国のマハラジャ、サワーイ・ジャイ・シン二世により、1734年に作られました。彼はジャイプールの町を作り、シティパレスという居城を構えました。

このシティパレスの広大な敷地内には、20もの天体観測器が設置されていますが、特に目を引くのは高さ27メートルの巨大な日時計!中央部分にあるのは、12星座の観測器です。ぜひ自分の星座を探してみてください。他にも様々な観測器がありますがどれも非常に精密で、当時の最先端の天文技術と建築技術を駆使して作られたのがよく分かります。2010年世界遺産に登録されました。

31.カジランガ国立公園

カジランガ国立公園のサイ

インド北東部お茶で有名なアッサム州にある世界遺産、カジランガ国立公園。象に乗ってサイを見るエレファントサファリが人気です。雨季には半分以上が水に浸かるため、オープンは乾季の11月から4月のみ、豊かな自然の中に絶滅危惧種のインドサイや、トラ、鹿、猪、象、水牛などが生息する、野生動物保護公園です。

近くでサイを見たい方にはエレファントサファリがおススメ。広い公園内を堪能したい方にはジープサファリがおススメですよ。エレファントサファリは前日に公園事務所でチケットを購入して翌早朝に出発するシステムで、人数制限がされています。象使いと銃を携えたレンジャーと共に象に乗り、草原の中を進みます。朝焼けの草原でインドサイに出会えるチャンス!1985年、世界遺産に登録されています。

32.チャトラパティ・シヴァージー・ターミナス駅(旧ヴィクトリア・ターミナス駅)

チャトラパティ・シヴァージー・ターミナス駅

インド最大の都市ムンバイの鉄道駅。名前があまりにも長いので略してCSTか、旧名のヴィクトリア・ターミス駅を略したVTと呼ばれる方が一般的です。ヴィクトリア女王治世下に建てられたのでヴィクトリア・ターミスと名付けられていました。インド鉄道創業時に記念すべき第一号列車がこの駅から出発した事で知られており、ヴェネチアゴシック様式で作られた壮麗な姿は、まるで宮殿か博物館のように見えます。

1878年から10年後の1888年に完成しました。歴史的な建築物として、2004年世界遺産に登録されています。時間があれば外観の写真だけではなく、内部も見学してみましょう。木彫りや鉄の装飾に真鍮のレール、大きな階段の手すりなどは、ボンベイ・アート・スクールの学生による作品です。

33.チャンディーガルのキャピトルコンプレックス

チャンディーガルのキャピトルコンプレックス

近代建築三大巨匠の一人「ル・コルビュジエ」はスイスで生まれフランスで活躍した建築家で、現代建築の基礎を築いた人物。世界各地にある建築物の中でも傑作とされる7か国にわたる作品17件が「ル・コルビュジエの建築作品―近代建築運動への顕著な貢献」として2016年世界遺産に登録されました。

インドで選ばれたのはパンジャビ州チャンディーガルのキャピトルコンプレックス。ル・コルジュジエが都市計画を実現させた世界で唯一の町が、チャンディーガルなんです!登録されたのは高等裁判所、議会棟、行政庁舎、オープンハンドモニュメント、影の塔の5つの建物ですが町中には美術館、建築学校、美術学校、モニュメントなどたくさんの作品があります。町全体がル・コルジュジエ作品といっても過言ではないでしょう。

34.カンチェンジュンガ国立公園

カンチェンジュンガ国立公園

カンチェンジュンガ国立公園はインドのシッキム州とネパール東部の国境にあるカンチェンジュンガを含む山々の一部と、その周辺からなります。2016年インドで初めての世界複合遺産として登録されました。複合遺産とは、世界遺産を定める「文化的価値」「自然的価値」の2要素の両方が評価・登録された世界遺産。

カンチェンジュンガは標高8586メートルでエベレスト、K2に次ぐ世界第三位。チベット語で5つの宝を持つ偉大な雪山という意味があり、聖なる山として崇拝されてきました。この地域を含む東ヒマラヤ地域は生物多様性の破壊が危惧されるホットスポットにも指定されていて、中でも豊かな多様性を持つカンチェンジュンガ国立公園は特に重要なエリアとされています。

35.ビハール州ナーランダーのナーランダ・マハーヴィハーラ(ナーランダ大学)の考古遺構

ナーランダ・マハーヴィハーラ(ナーランダ大学)の考古遺構

インド東部のビハール州ナーランダにあるナーランダ・マハーヴィハーラ(ナーランダ大学)は、5世紀に建設された世界最古の大学の一つです。学術的仏教を教える為に作られ、西遊記で有名な玄奘三蔵も学んだといわれています。仏教だけではなくバラモン教や哲学、天文学などの研究施設として最盛期には1万人以上の生徒を有していたと伝えられています。

12世紀にイスラム勢力の侵攻を受け、建物は多くは破壊され蔵書は焼失し、多くの仏教徒が命を落としました。広大な敷地内には11の僧院跡と14の寺院跡が残っており、かつての繁栄ぶりをうかがい知る事ができます。2016年世界遺産に登録されました。

◎インドの世界遺産・全35スポットまとめ

歴史的建造物あり、大自然あり、ちょっと変わった建造物あり、とバラエティに富んだインドの世界遺産。中でも外せないのは、絶景ランキングで必ず上位にランクインする白亜の霊廟タージ・マハルです。

日本人の個人旅行としてはちょっとハードルが高めのインド。パックツアーで効率良く、いくつかの世界遺産巡りをするコースがオススメです。

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