名称:Al Qal'a of Beni Hammad
住所:Commune of Maadid Bechara, M'sila, Algeria
公式・関連サイトURL:http://whc.unesco.org/en/list/102/
北アフリカにあるアルジェリアは日本にとって旅行先としてあまり人気のある国ではありません。しかしだからこそ、ここアルジェリアはあまり観光客で混んでいないお薦めの観光スポットが沢山あるんです。その一つが世界遺産のベニ・ハンマード要塞です。
標高1000mの山の麓に広がる城壁の中にはイスラム朝の宮殿・モスクやミナレットがあり、これらの遺跡はアルジェリアで最初に登録された世界遺産です。現在残っている遺跡からこのベニ・ハンマード要塞の町は当時とても繁栄を誇っていたと思われますが、その後破壊され現在は残念ながら廃墟となってしまっています。そびえ立つ長い城壁や遠くからでもはっきりと見える高いミナレットは、訪れる観光客を圧倒させてくれること間違いないですね。
そんなアルジェリアで最初の世界遺産ベニ・ハンマード要塞を紹介いたします。
目次
山の麓にそびえ立つミナレットが美しいベニ・ハンマード要塞
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ベニ・ハンマード要塞とは?
出典: Michel-georges bernard (CC BY-SA 3.0)
世界遺産のベニ・ハンマード要塞はアルジェリアの北部、ムシラ近郊にあります。ホドナ山岳の標高1000m以上の斜面に建つ城壁に囲まれたベニ・ハンマード要塞は、ハンマド朝の首都として1007年に築かれたとか。確かに背後は高く険しい山がそびえ立ち、城塞の前は隠れる場所のない荒地ときたら町を外敵から守るにはうってつけの場所ですよね。
ベニ・ハンマードは交易によりとても栄えましたが、その後ムワヒッド朝に征服され1152年は壊滅してしまいました。150年にも満たない短い時間ながらベニ・ハンマードが繁栄していた様子を、現存している遺跡から想像することができます。それらの遺跡が1980年に世界遺産に認定されました。
一部破壊されているものの現存する城壁は7kmにもなり、豪華な宮殿や建築当時アルジェリアでも最大のモスクやミナレットが、ここを訪れる多くの人達にハンマド朝の栄華を感じさせたことでしょう。残念ながら現在はモスクとミナレットそして宮殿の一部の跡が残っているだけです。また、この世界遺産のベニ・ハンマードで発掘された宝飾品や陶器類はアルジェやコンスタンティーヌの博物館で見ることができますよ!
ベニ・ハンマード要塞へのアクセス方法
アルジェリアの首都アルジェまでの直行便はありませんので、アジア主要空港または中東主要空港での乗り継ぎが必要です。
首都アルジェから距離で300km車で4時間前後です。またはアルジェ航空の国内線でセティフという町まで行き、そこからなら距離100kmちょっとなので車で2時間程です。
ベニ・ハンマード要塞のお薦めポイント①:モスクとミナレット
出典: Michel-georges bernard (CC BY-SA 3.0)
遠くから見てもポツンと目立つ建築物、それが世界遺産ベニ・ハンマードのミナレットです。ミナレットとはモスクのすぐ傍に建ち、イスラム教の礼拝の時間などを知らせるための塔です。このベニ・ハンマードのミナレットは20mもあり、美しい装飾が施されています。装飾が施されているミナレットは非常に珍しく、またこのミナレットがモデルとなりその後マラケシュや他の国でも建築されるようになったとか。
またミナレットとともにあるモスクは世界遺産に相応しく、アルジェリア国内2番目の大きさを持つモスクの遺構があるそうです。東西56m南北64mにもなる巨大モスクが必要な程、当時ここには大勢の人が住み、栄えていたという証拠ですね!
ミナレットは登ることができますので、ぜひ上から世界遺産のベニ・ハンマードの絶景を楽しんで下さいね!
ベニ・ハンマド要塞のお薦めポイント②:宮殿跡
出典: Michel-georges bernard (CC BY-SA 3.0)
アルジェリアで初めて登録された世界遺産ベニ・ハンマード遺跡は、イスラム文化を代表するハンマド朝が繁栄していた様子を今に伝えてくれます。山頂近くにあるエル・バハール宮殿でははわざわざイラクから取り寄せたと言われている彩色のタイルで美しく飾られていたそうです。アーチや回廊からも当時の華やかな宮殿が想像できます。
またエル・メナット宮殿は先住民であったベルベル人の建築様式とイスラム建築様式が融合したとても珍しい貴重な世界遺産の一つです。大理石で装飾された宮殿の豪華さには、当時訪れた人がハンマド朝の富を感じたことでしょうね。
町を囲んでいる城壁は一部破壊されているものの、7kmにも及んでいます。しかし、近年では城壁の風化が問題視されており、どのように景観を維持しながら城壁を保護していくか考慮する必要があるそうです。いずれにしても現在のアラブ世界に多大な影響を与えた、世界遺産のベニ・ハンマード遺跡ですよ!
ベニ・ハンマド要塞を訪れる際の注意点
アルジェリアでは2013年にガスプラントで日本人も含めた大勢の人々がテロによって殺されています。ベニ・ハンマードへ行く際には十分注意して下さい。
また、アルジェリアは国民の99%が厳しいイスラム教徒です。ラマダン時期は日中レストランやお店が閉まっていることもありますので注意下さい。またむやみにイスラム教徒の女性の写真を撮ることは控えて下さい。軍事施設や警察施設関連の写真撮影も禁止です。違反するとカメラやビデオを没収されることもありますのでご注意下さい。
まとめ
アルジェリアで最初に世界遺産に登録されたベニ・ハンマード要塞はいかがでしたか?穴場ながら交通の便や治安を考慮してか非常に訪れる観光客が少ない場所です。強固な城塞があり富んだ町だったにも関わらず、たった150年後足らずで破壊されてしまうなんて歴史の波は残酷だというのを感じさせますね。風化が問題となっていますが、未来まで残せるようにしっかりと保護・保存をしてもらいたい遺跡ですね!