トルクメニスタンにある中央アジア最大の遺跡!世界遺産「古代メルブ」

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トルクメニスタンにある中央アジア最大の遺跡!世界遺産「古代メルブ」

イランとアフガニスタンの北に位置する中央アジアの国トルクメニスタン。シルクロードが横断するこの国には、中央アジアで最大といわれるオアシス都市の遺跡があります。東西通商の中継点としてだけでなく、はじめは仏教の、のちにイスラム教の拠点としても繁栄しました。

現在は巨大な城壁といくつかの建物を残すのみですが、当時いかにシルクロード交易が盛んであったかを偲ぶには十分!その歴史的な価値の高さから、1999年に「国立歴史文化公園“古代メルブ”」としてトルクメニスタン初の世界遺産に登録されました。シルクロード観光に関心があるなら、欠かすことのできない世界遺産スポットといえるでしょう。

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トルクメニスタンにある中央アジア最大の遺跡!世界遺産「古代メルブ」

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国立歴史文化公園 “古代メルブ”とは?

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メルブは、トルクメニスタンの国土の実に約70%を占めるカラクム砂漠のなかにあるオアシス都市です。その歴史はとても古く、アケメネス朝ペルシャ時代の紀元前6世紀には、既に存在していたといわれています。今も残る円形の特徴的な城壁は、当時からあったものと考えられています。

紀元後3世紀までの間に、円形の城壁「エルク・カラ」の外側に方形の城壁「ギャウル・カラ」が築かれました。さらにその外側にも楕円形の城壁が建設され、2つの城壁の間隔が3km以上にも及ぶという巨大な城塞都市が完成しました。メルブには紀元後1世紀ごろに仏教が伝わったとみられていて、城内には寺院や仏塔があり、仏像や経文が発掘されています。

7世紀にはイスラーム勢力に攻められて降伏し、メルブは中央アジア地域のイスラームの支配拠点となります。11~12世紀のセルジューク朝時代にメルブは最盛期を迎え、人口は100万人に達していたといわれています。11世紀末にはセルジューク朝の王子サンジャルがメルブに王宮を置き、宮廷文化も開花。しかし、1221年にチンギス・ハーンの軍勢に攻められ、住民はひとり残らず虐殺されました。メルブも廃墟と化し、以後復興されることはありませんでした。

国立歴史文化公園“古代メルブ“へのアクセス

メルブは、トルクメニスタンではマリ(Mary)と呼ばれます。現在のマリは同国第4の都市。メルブ遺跡の西20kmほどのところにマリ国際空港があるので、トルクメニスタンの首都アシガバードから飛行機を利用するのがおすすめです。アシガバードへの日本からの直行便はないので、北京かバンコクを経由しましょう。

空港からメルブ遺跡まではタクシーを利用するか、いったんマリ市街に出てツアー会社を探しましょう。

メルブのおすすめポイント①:エルク・カラ

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まずは、世界遺産メルブの始まりの場所「エルク・カラ」を見学しましょう。城壁、というより外輪山のような高く盛り上がった日干レンガ製の円形の塁は、遠くから見ても近くから見ても圧倒されます。城内には建物は残っておらず、遺跡というより巨大なクレーターを見に来たような感じです。

砂漠のなかにこれだけの巨大な都市を築き上げたのですから、メルブが多大な労力のかかるシルクロード交易の商人たちにとって重要な街であったかがわかります。遺跡ではありますが、城壁を越えて内部に入るにはちょっとした山登りになるので、動きやすい服装で訪れるようにしましょう。

メルブのおすすめポイント②:スルタン・サンジャルの霊廟

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世界遺産の遺跡とはいえ建物がなにも残っていないのは寂しい、という人には「ギャウル・カラ」の隣の「スルタン・カラ」にある「スルタン・サンジャルの霊廟」がおすすめです。スルタン・カラも、広大な城壁に囲まれた都市跡ですが、ほとんど更地に近い遺跡のど真ん中に、1つだけほぼ完全な姿の四角い建物があります。

アフマド・サンジャルは、メルブに王宮を置いたセルジューク朝の8代スルタン。中央アジアにセルジューク朝の覇権を確立しましたが、晩年は戦に敗れて幽閉され、メルブに逃亡して再起を図るものの、この地で亡くなりました。

スルタン・サンジャル廟はその後のモンゴル軍の襲撃や地震などの自然災害などにも耐え抜き、現在の世界遺産メルブで唯一現存する建造物となっています。とてもシンプルな建物ですが、そうした歴史を知っていると、当時のメルブの建築技術の高さをうかがうことができて面白いですね。

メルブのおすすめポイント③:ギャウル・カラ

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円形のエルク・カラの外側には、方形に近いギャウル・カラの城壁が巡っています。総面積60平方キロメートルといわれるギャウル・カラの隅々を歩いてまわるのは、ちょっと困難でしょう。

時間に余裕があれば、南東隅の仏教寺院跡を訪ねてみてください。メルブには紀元後1世紀ごろに仏教が伝わり、その後まもなくシルクロードを通って中国にまで伝播したといわれています。すなわち、日本にまで至る仏教伝来において、ここメルブが間接的にですが重要な役割を果たしていたことになります。ここからも、世界遺産メルブがその評価を受けるに足る遺跡であることがうかがえますね。

ギャウル・カラの中心部にはモスク跡もあります。風化した土壁が残るのみですが、メルブ遺跡においては貴重な目に見える遺物となっています。

◎まとめ

トルクメニスタン最初の世界遺産「国立歴史文化公園“古代メルブ”」についてご紹介しました。

紀元前から栄え、シルクロードの通称基地として当時の世界でも有数の人口規模を誇ったオアシス都市。その圧倒的なスケールを実感しに、トルクメニスタンを訪れてみませんか。

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