イスラム教徒が残した世界遺産キルワ・キシワニとソンゴ・ムナラの遺跡群

画像出典:Jorg Hackemann/Shutterstock

イスラム教徒が残した世界遺産キルワ・キシワニとソンゴ・ムナラの遺跡群

アフリカ大陸の東側に位置するタンザニアには、「野生動物の楽園」と呼ばれるセルー動物保護区やマサイ族が暮らしているンゴロンゴロ保全地域、バルーンサファリを楽しめるセレンゲティ国立公園、アフリカ大陸の最高峰キリマンジャロ山など、大自然を堪能できる観光スポットが目白押し!
これらはタンザニアの世界遺産としても登録されており、全7つあるうちの3つが自然遺産、3つが文化遺産、残る1つが複合遺産となっています。

今回ご紹介する「キルワ・キシワニとソンゴ・ムナラの遺跡群(Ruins of Kilwa Kisiwani and Ruins of Songo Mnara)」は、1981年に登録された世界文化遺産です。同じく世界文化遺産に登録されているザンジバル島のストーン・タウンのように、金と奴隷の貿易で栄えた街として知られています。
それでは「キルワ・キシワニとソンゴ・ムナラの遺跡群」の魅力についてご紹介しましょう。

目次

イスラム教徒が残した世界遺産キルワ・キシワニとソンゴ・ムナラの遺跡群

キルワ・キシワニとソンゴ・ムナラの遺跡群とは?

出典: travelview/Shutterstock

タンザニアの世界遺産「キルワ・キシワニとソンゴ・ムナラの遺跡群(Ruins of Kilwa Kisiwani and Ruins of Songo Mnara)」は、インド洋上に浮かぶ面積14平方Kmの小さなキルワ・キシワニ島と、その南部に位置するソンゴ・ムナラ島で形成されています。

かつて金と象牙、奴隷の貿易で栄えたキルワ・キシワニ島は12世紀から15世紀に最盛期を迎え、ついには東アフリカ沿岸部で最大の都市へと発展しました。16世紀初頭にポルトガル領となるもその後アラブ人により再び奪還され、オマーンとドイツの支配を経てイギリスの保護下に置かれるなど、波乱の運命を辿ることとなったキルワ島。今でも街中には、最盛期時代の11世紀から15世紀に建てられたモスクや宮殿、要塞などが廃墟となって残されています。

様々な記録が残されているキルワ・キシワニ島とは異なり、ソンゴ・ムナラ島は今も謎に包まれたまま。
14~15世紀に繁栄したという事実は判明しているものの、それ以外は何も明らかになっていないのです。
マングローブの森の中に隠れるように佇む遺跡群を見てみたいと思いませんか?
イスラム文化とスワヒリ文化、そして手付かずの自然のコラボは一見の価値がありますよ。

キルワ・キシワニとソンゴ・ムナラの遺跡群へのアクセス

キルワ・キシワニを訪問するためには許可証が必要です。まずは、許可書を発行する事務所があり観光の拠点となるキルワ・マソコ(Kilwa Masoko)を目指しましょう。タンザニア最大の都市ダル・エス・サラーム(Dar es Salaam)からは、飛行機かバスでのアクセスが可能。飛行機はマフィア島経由となりますが、毎日1便運航しており所要時間も80分と少ないので便利ですよ。

バスで行く場合は、ダル・エス・サラームからリンディ(Lindi)またはムトワラ(Mtwara)行きのバスに乗り経由地のナングルクル(Nangurukuru)で下車します。所要時間は約6時間。朝6時にダル・エス・サラームを出発するバスが毎日運行していますよ。ナングルクルからキルワ・マソコまでは、タクシーまたはダラダラ(ミニバス)で約40分です。

キルワ・マソコに到着したらキルワ島とソンゴ・ムナラ島に上陸するための許可書を発行してもらい、船やガイドもその場で手配しましょう。事務所にはツーリストも併設されており、いくつかツアーも組まれているのでそちらを利用するのもおすすめです。

キルワ・キシワニとソンゴ・ムナラの遺跡群のおすすめポイント

◆キルワ・キシワニ島

出典: David Stanley/Flickr

キルワ・キシワニ島は9世紀に商人であったアリ・ビン・アル=ハサンに売り渡された後、数世紀にわたり交易の拠点として成長を遂げました。主にジンバブエからは黄金や鉄が、タンザニアからは象牙や奴隷が、アジアからのは織維、宝石、陶芸品、香辛料などが持ち込まれ取引されていたのです。

マフダリ家の支配下で東アフリカ沿岸部最大の都市となったキルワ・キシワニの影響力は、アフリカ大陸南東部に位置するモザンビーク共和国にまで及んだそうですよ。30年以上もかけて世界中を旅したというモロッコ出身の偉大な旅行家イブン・バットゥータも1330年頃にキルワ島を訪れ、「最も華麗な街の一つ」とその美しさを絶賛したのだとか。

その後、ポルトガルの支配下に置かれるようになり徐々にイスラム勢力は衰退していきましたが、今でもイスラム教徒のコミュニティがあるキルワ・キシワニ島には、グレート・モスク(Great mospue)やマクタニ宮殿(Makutani Palace)などたくさんの遺跡が残っています。

◆ソンゴ・ムナラ

出典: Iain Cameron/Flickr

14世紀から15世紀頃に繁栄していたと言われているソンゴ・ムナラ島。この島には5つのモスクやアラブ人の居住地が廃墟となり残っていますが、それらに関する記録がほとんど無いため、今もなお全てが謎に包まれたままなのです。島を覆うようにマングローブが生い茂るソンゴ・ムナラ島は、キルワ・キシワニに比べて観光客も少なく、大自然を楽しめる秘境のような場所になっています。

◎まとめ

タンザニアと聞くと野生動物や大自然を想像しがちですが、実は歴史を紐解く重要な観光スポットもたくさんあるんですよ。世界遺産「キルワ・キシワニとソンゴ・ムナラの遺跡群」では、イスラム文化の影響を色濃く受けたタンザニアの歴史と繁栄の様子を垣間見ることができます。
まだまだ謎の多い世界遺産ですが、だからこそ不思議な魅力にあふれているのかもしれませんね。

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