東西文化に彩られたタンザニアの世界遺産!ザンジバル島のストーン・タウン

画像出典:Nick Johanson/Shutterstock

東西文化に彩られたタンザニアの世界遺産!ザンジバル島のストーン・タウン

世界遺産「ザンジバル島のストーン・タウン(Stone Town of Zanzibar)」は、インド洋に浮かぶザンジバル諸島の主要島「ウングジャ島(Unguja)」の西海岸に位置する旧市街地です。石造りの街並みが美しいストーン・タウンは、かつてアフリカ大陸からの奴隷や象牙などの輸出で栄えた港町でした。

10世紀頃からアラブ商人が住み着いていましたが、15世紀になるとバスコ・ダ・ガマが発見したインド航路の途中上陸地点となり、そのままポルトガル領へ。さらにオマーンやイギリスなどの支配を経たことから、街中はアラブ系とヨーロッパ系の文化が融合した独特の雰囲気に包まれています。それでは、タンザニアの世界遺産「ザンジバル島のストーン・タウン」についてご紹介しましょう。

目次

東西文化に彩られたタンザニアの世界遺産!ザンジバル島のストーン・タウン

ザンジバル島のストーン・タウンとは?

ザンジバル島(ウングジャ島)は、青い海と白いサンゴ礁に恵まれた美しい島です。元々この地にあったザンジバル共和国と大陸にあったタンガニーカ共和国が併合して、1964年に現在のタンザニア連合共和国が誕生しました。ザンジバル島の中心となるのがザンジバル・シティで、その旧市街が2000年に世界遺産に登録された「ストーン・タウン(Stone Town)」です。

サンゴの石で造られた建築物が並ぶことから「ストーン・タウン」と名づけられたこの街。実はその美しい姿からは想像もつかないほど、悲しい歴史を歩んできているのです。元々はアラブの商人たちが住んでいましたが、大航海時代にポルトガル領となり、その後オマーンの支配を経てイギリス領となります。その間、ザンジバルはアフリカ全土から集められた奴隷と象牙、金などを輸出する港町として繁栄しました。

奴隷売買は輸出だけに留まらず、実際にこの街に奴隷市場を設置し商人に売っていたそうですよ。街中には様々な国の支配下にあったことを表す、東西の文化が入り混じった建築物や、奴隷市場があった痕跡が今もなお残されています。タンザニア本土とは全く異なる歴史と雰囲気を感じられるストーン・タウンは、世界中の人々に人気の観光スポットとなっています。

異国情緒あふれる街中も良いですが、ぜひビーチにも足を運んでみてください。おすすめは夕暮れ時。ザンジバル島の西側に位置するストーン・タウンでは、とても美しいサンセットを見ることができるんですよ!世界遺産「ザンジバル島のストーン・タウン」の名物ともいわれる夕日は必見。周辺にはバーやレストランもあるので、食事を楽しみながらゆっくり鑑賞してみるのも良いですね。

ザンジバル島のストーン・タウンへのアクセス

日本からの直行便はありません。ケニアの首都ナイロビ(Nairobi)かモンバサ(Mombasa)から国際線を利用するか、タンザニア最大の都市ダル・エス・サラーム(Dar es Salaam)から国内線を利用しましょう。ナイロビとモンバサからは毎日4~5便が運航しており、フライト時間はおよそ1時間です。

ダル・エス・サラームからザンジバル島までは、毎日8便運航しているザン航空か高速船を利用するのがおすすめ。フライトなら30分弱、高速船なら90分もあればザンジバルに到着します。ザンジバル空港から街の中心地までは10Km程ですので、タクシーか「ダラダラ」と呼ばれるバスでの移動が便利です。

ザンジバル島のストーン・タウンのおすすめポイント

◆ハウス・オブ・ワンダー

出典: TravelingOtter

1883年に当時のスルタンによって建てられた式典用の宮殿「ハウス・オブ・ワンダー(The House of Wonder)」。東アフリカで初めて電気照明や水道、さらにはエレベーターまで完備された建物であったため、「驚異の館」の意味を表す「ハウス・オブ・ワンダー」と呼ばれるようになったそうです。

1896年8月27日に勃発した世界一短い戦争「イギリス・ザンジバル戦争」で多少被害は受けたものの、ほとんど無傷であったため、1897年に修復されその後はイギリス政府の事務所として利用されるようになりました。かつてはザンジバルで一番の大きな建物と言われただけあって、その姿は威厳すら感じさせます。

東アフリカ最大級の彫刻が施された扉や大理石の床、パネルの壁などとにかく見どころ満載!現在は博物館として一般公開されているので、ぜひ中まで入って見学してみてください。貿易によって繁栄した、世界遺産ストーン・タウンの煌びやかな歴史を垣間見ることができますよ。

◆アングリカン大聖堂

出典: David Stanley

「アングリカン大聖堂(Anglican Church)」は、ザンジバルの歴史そのものを表す建物と言っても過言ではないでしょう。ここはかつて奴隷市場があった場所です。アフリカ全土から集められた奴隷たちは、毎日16時になると長方形の囲いの中に男女別で立たされ、街を行き交う商人たちにまるで家畜のように買われていったといわれています。

1873年6月6日に奴隷市場が閉鎖となると、その跡地に大聖堂が建てられました。7年もの歳月を費やして建てられたという大聖堂は、ゴシック様式とアラビア様式が混在しているのが特徴。扉には素晴らしい彫刻が施されており、教会の内部にはステンドグラスが輝いています。今となってはストーン・タウン屈指の観光名所として人気のアングリカン大聖堂ですが、奴隷市場であった過去が忘れられている訳ではありません。

地下室には今もなお、奴隷たちを収容していた部屋が残っているのです。また、庭にはスレーブ記念碑と共にスウェーデン人彫刻家によって造られた5人の奴隷の石像が立っています。 首に金属製の首輪が付けられた奴隷の姿は、まるでその過去を忘れてはいけないと物語っているよう。ついつい目をそらしたくなってしまいますが、ザンジバルが歩んできた歴史を知るにはうってつけの場所となっています。

◆オールド・ディスペンサリー

出典: commons.wikimedia.org

「オールド・ディスペンサリー(Old Dispensary)」は、ストーン・タウンの歴史的建造物です。 現在は「ストーン・タウン・カルチャー・センター」の名で呼ばれることがほとんどなのですが、20世紀前半に診療所として利用されていたため「オールド・ディスペンサリー(旧診療所の意)」という名が付きました。

世界遺産ストーン・タウンの中で最も細かく装飾された建物の一つで、多文化建築のシンボルとしても有名。主な構造は伝統的なザンジバルのサンゴと石灰岩で作られていますが、ステンドグラスの装飾を施した木製のバルコニーはインド建築の影響を受けており、 ヨーロッパの新古典派の漆喰装飾品もところどころで使用されています。

3階のバルコニーからは、ザンジバル港の景色が一望できますよ!中庭と床をつなぐ橋もとても美しいのでチェックしてみてくださいね。1階部分は土産物店とギャラリーになっており、お土産を買うのにも便利です。

◎まとめ

世界遺産「ザンジバル島のストーン・タウン」は、東西の文化が入り混じる魅力あふれる街です。石造りの美しい街並みはまるでヨーロッパのようですが、アラブ様式とゴシック様式をミックスした建築物やスパイスのマーケット、リゾート地のようなビーチなど様々な顔を持っています。

「地図があっても意味がない」と言われるほど迷路のように入り組んでいるストーン・タウンですが、目的地を決めずぶらりと散策を楽しめるのも旅ならではでしょう。治安も比較的良いので安心ですよ。

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